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9話 頑張ったね

「それで、彗月(はづき)くん話って何かな?」


俺は昼休み如月(きさらぎ)さんを呼び出し清水(しみず)の事を相談しようとしていた。

ただ、呼び出した如月さんはいつもの爽やかな感じはなく何処か緊張している様な顔をしていた。


「まぁ、大変言いづらいんですけど.....」

「......はい」

「......放課後にある人も入れて話したいんです」


そう言うと如月さんはポカンとした様な開いた方が塞がらないと言いたげな表情をしていた。


「あの、如月さん大丈夫ですか?」

「ふーん、なるほどね」

「どうしたんですか?」


そう言った如月さんは何処か様子がおかしいと言うか不自然な程に周りの空気が重く感じていた。


「別に、放課後のどこに行けば良いの!?」

「なんか怒ってます?」


そう言うと如月さんは大きなため息をついた後


「そりゃー怒りたくもなるよ!

なんで下駄箱に手紙入れてくかなー

しかもピンク!」

「それの何がダメなんですか?」

「下駄箱に手紙って言ったら告白しかないじゃん」


そう言われて確かにと納得してしまった。

でもそれには理由がありどうにか目立つに如月さんを呼び出すなら下駄箱に入れるしか無くないか

それにピンクなのは偶々、恐らく母親のものを使ったからだ。

それを如月さんに説明すると


「まぁ、大体わかったよ。

でも私の気持ちも考えてよね。

クラスの女子に手紙見られて大騒ぎにだったんだから」


それで朝は少し騒がしいなって思っていたが俺のせいか


「すいません」

「まぁ、別に良いよ

えーと、それである人って彗月くんが追いかけられてた子?」

「まぁ、そうですね

実はその子、如月さんのこと好きらしくて」

「それってラブ的な意味?」

「それは分からないです」

「まぁ、そうだよね」


そう俺がそう言うと何故か即答された。

まるで俺が乙女心を分かってないみたいで不愉快だ。


「ふーん

まぁ、良いよ。私もその子気になってたし

でも、埋め合わせはしてもらうけどね」


そう、小悪魔の様な笑みを浮かべる。

ただ俺はその笑みには気づいていなかった。


「埋め合わせ?」

「そう、まぁ、それは追々決めていこうか

とりあえず私は今日はクラスの女子と食べることになってるから行くよ」

「わかりました」


そして、今日の昼俺は一人でご飯を食べる事になるのだった。


〜♪


迎えた放課後。

俺はいつもの空き教室に入るそこには既に清水有栖(しみずありす)がいた。

結構早めに来たつもりだったんだけど、それより早い清水に驚きつつ中に入る。


「早いんだな」

「あんたが遅いのよ。それで風吹さんはいつ来るの?」


そう俺の時とは打って変わりトーンが1段階高くなりいつも高い声が更に高い声になっている。


「さぁ、でもそろそろ来るんじゃないか?」


元々、俺自体帰りの準備自体遅いので俺が教室を出た時には既に居なかったし、そろそろ来てもいい頃だと思うだけどな

そう思っていると空き教室の扉が開き


「ごめん、遅れた」


そう爽やかな笑みを浮かべながら入ってくる

となりを見ると石の様にガチガチに固まっていた。

俺はどうにか清水を動かそうと脇を膝で突っつく、ただいくら突っついてもロボット様にぎこちない動きしかしていない。

そして、それを面白そうに如月さんは見ている。

すると如月さんは何かに気づいたのか


「君、受験の時の!

実は結構心配してたんだ

安心したよ受かって良かったー」


そう言いながら清水に近づいて行く如月さん

近づかれるにどんどん俯いていき体が震える清水

マジで清水、中身誰かと入れ替わってるのかよ

そう思っていると


「あ、あの」


清水が動き始める。

動きがぎこちないが如月さんに近づいて行く。

そして、制服のポケットから何かを取り出した。


「こ、これ、ありがとうございます。」


そう言って古びたお守りを如月さんに手渡した。


「うん、ありがと。

君の役に立ったんなら良かったよ」


如月さんはそう言った後に受け取りしばらく眺めた後にポケットにしまう。


「あっ、そういえば君の名前聞いてなかったね.....って大丈夫?」


そう言われて隣を見ると緊張の糸が切れたのか操り人形の糸が切れたみたいにそのまま地面にへたり込む。


「だ、大丈夫です。緊張しててそ、それで」

「そうって、もしかして泣いてる?」


清水の俯いた顔からは涙が小降りか雨のように地面に落ちていた。


「な、ないて、ない!です」


そう泣きじゃくるよ声で清水は言う。

そんな清水に如月さんは


「よしよし、頑張ったね」


そう言いながら如月さんは清水の頭を優しく撫でた。

その瞬間、清水は何かが決壊したかの様に泣いた。


「彗月くんハンカチ持ってる?」


そう、傍観している俺に話しかけてくる。

そう言われ俺は慌てて自分のポケットからハンカチを取り出す。


「ありがと」


そう言ったあと、泣いている清水の涙を拭った。


「ほんと、よく頑張ったね」


〜♪


しばらく清水は泣いておりそれが収まったのはしばらく経ってからの事だった。


「もう、大丈夫?」

「は、はい、あのごめんなさいハンカチ汚しちゃって」

「それは彗月くんに言いなよ

ねっ、彗月くん」

「えっ」


そう言って清水はコチラを見てそう言えば居たんだって顔をした後、涙で顔 目の周りが赤い清水の顔に頬が赤みがかっていく。

どうやら、忘れていた様だ。

まぁ、俺も存在感無いなーって思ってたし


「って、何こっち見てんのよ!」


そう言ってお腹を軽く殴られ


「ハンカチは洗って返す。

それと、風吹さんに会わせてくれてありがとう」


そうお礼を言われた。

ただ、俺はその現状がどうにも信じられず目を疑った。

何故なら清水が俺にお礼を言ったからだ


「何よ、その顔」

「いや、何でもない」


そう言って俺も軽く笑った。


「あの、風吹さん」

「ん?」

「改めて私、清水有栖(しみずありす)です」

「よろしくね。有栖ちゃん?」

「えっ」


そう言われて清水は素っ頓狂な声と共に固まってしまった。


「あれ?固まっちゃった。」


その後、清水が動き出すのにしばらくかかるのだった。

その後、動き出した清水はちゃっかり如月さんと連絡先を交換した後、俺も交換する事になった。

ただ、なぜか如月さんに睨まれていた気がするが気のせいだろう


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