7話 変なやつ
平日17時
休日は15時投稿にします。
取り敢えずストックが切れるまで毎日投稿していきます。
「なぁ、剣城、清水有栖って生徒知ってるか?」
「あぁ、先輩に向かってキレたって女の子だな」
5時間目の休み時間に俺は剣城に清水について聞いていた。
昼休みに女子生徒達が言っていた事が気になっていたからだ。
「キレた?」
「そう、運動部では結構有名、前にあった持久走を見てスカウトしに来た陸上部の先輩に上から目線の上にそれ指摘されてキレたって」
「へー」
「てか、どうしたんだ急に惚れた?」
そう、剣城に揶揄うように言われる。
俺はため息をついたあと
「今日、偶然話す機会があってどうゆう人なのかなって」
「珍しいな」
そう剣城は驚いたように言う。
どこに驚く要素があったのだろうか。
俺が不思議そうな顔をしているとそれを察したのか
「清水有栖って一匹狼らしいから
運動できるのに部活にも入らないし誰かと話してるところも見た事がないらしいからな」
「まぁ、意外でも無いかな」
あの様子じゃ難しいだろうな
でも、如月さんの周りにいる子とは仲良く出来そうだけどな
あいつ如月さんガチ勢だしとふと角の方で囲まれている如月さんを見る。
「ん?どうした?」
そう俺がよそ見をしているのか分かったのか剣城は不思議そうな顔をする。
「いや、如月さんとはとことん真逆だなと思って」
「まぁ、言われてみれば確かにな
見た目も真逆なのにな」
そう剣城は納得する。
「まぁ、見た目はめっちゃ可愛いのにな」
「まぁ、ソウダナ」
「なんか、トーンおかしくないか?」
「ソンナコトナイヨ」
正直、清水と間近で会話した俺からはお世辞にも可愛いとは思えなかった。
まるで飼い主には激甘だけど他人が来たら吠える狂犬の様だと思ってしまった。
「あっ、そう言えばあだ名があったな。
狂犬って」
それを聞いた俺は吹き出した。
〜♪
「来たわね!」
俺は放課後、前に清水と約束した空き教室へと来ていた。
そして、今強気に鎮座している姿を見て剣城と話した事を思い出し笑いそうになる。
「なに!ニヤニヤしてるのよ!
文句ある!?」
「な、ないです」
俺は笑うのを必死堪えながら答える。
そして、深呼吸をして気持ちを入れ替える。
「えと、それで」
「それでじゃないわよ!
私、言ったわよね。それで話さないって言ったよね!」
「あれは如月さんから誘われたから」
「は、はぁ!そんなん理由に」
まぁ、流石にそれだけじゃ引き下がらないよね
でも俺はとっておきの言い訳を考えて来ていた。
俺はその言い訳を清水が言おうとしている事を遮るように
「逆に聞くけど清水は如月さんにお昼誘われたら断れるのか?」
「えっ、それは.....」
「無理だよな
なら分かるだろ」
それを言うと如月さんガチ勢な清水は狂犬とは真逆の子犬のように小さくなっていく。
「じゃあ、なんで風吹さんに誘われてたのよ」
「誘われたと言うより隣空いてるって言われたから空いてるって言った。
それだけだ、お前が気にしてるような事は無い」
「じゃあ、なんで」
そう体を揺らしながら聞き取れないような小さい声を発する。
俺は清水に近づき耳を澄ます。
そしてそれを俺は後悔した。
「なんで!風吹さんにあーんなんかされるのよ!」
そう今までにない様な大きい声が耳に響く。
しばらく耳が何も聞こえず金属同士をぶつけた様な音が耳に鳴り響いていた。
「それは」
しばらくして落ち着いた俺はなにかを言おうとしたが何も思いつかない。
なぜならそれは俺が一番気になっているからだ
「なに黙ってるのよ!」
「......」
「アンタは風吹さんのなんなのよ!」
如月さんにとって俺ってなんなんだ?
友達なのか?クラスメイトではあるし
「なんで答えないのよ!」
「なんでって.....俺が一番気になってるからだよ!
マジで、なんであんな行動をしたんだよ。如月さんは一体何がしたいんだよ。マジで俺は如月さんにとってなんなんだ!?」
その瞬間、清水に釣られ俺も大声で自分の片隅にあった気持ちをぶち撒ける。
その姿を見た清水からは若干引かれている気がする。
しまいには
「なんか、ごめん」
謝られる始末である。
俺は深呼吸をして一旦落ち着かせる。
清水といると何というか気持ちが爆発する
理由は何故か頭の片隅にはあるが、それはトラウマの様な何かなので思い出したくもないが
「なぁ?聞いて良いか?」
「なによ!」
「なんでそんな如月さんに拘るんだ?
何か理由があるんだろ。一目惚れって事はないだろうし」
「一目惚れだけど
オープンキャンパスで如月さんにあった時この高校行こうって思ったの」
即答された。
俺が唖然とした表情をしているのを見て
「......別にそれだけじゃないけど言いたくない」
「何か理由があるのか?」
そうすると少し迷った様な仕草をした後に
「お礼.....お礼まだ言ってないからよ
だから風吹さんにお礼を言った後に話してあげても良いわよ」
そう上から目線で言われる。
「別に話さなくて良いけど」
「なんでよ!」
まぁ、そう言われる上から目線で言われると逆にイジワルをしたくなった
「まぁ、冗談だよ。
じゃあ、それを聞く為に早く如月さんと話せよ!
その為にこの高校に来たんだろ」
「緊張するんだから仕方ないでしょ!」
「威張る事じゃないと思うけど
じゃあ、明日の放課後、ここに如月さん呼ぶから来いよ」
そう言うと狼狽えたように
「なんでそうなるのよ!」
「いつまでも先延ばしにしてたら絶対卒業まで話せないだろ
それに、俺がお前に如月さんと会話しただけで嫉妬して呼び出されるのも懲り懲りだし.....それにこのままじゃダメだしな」
最後の一文は清水に聞こえないよう小さい声で言う。
ただそれでも何を言ったのか分かったらしく
不服そうに
「なによそれ」
そう言ったのだった。