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5話お嬢様と帰り道

「この泥棒猫!」


 そう、目の前にいる少女に言われる。

 その少女は如月(きさらぎ)さんとは真逆の少女であり、可愛いと言う言葉が似合う小柄な背丈にお嬢様の様なハーフアップに纏めてある滑らかな髪を持つ少女であった。


「ど、泥棒猫ってどう言うことだよ」


 俺はそんな可愛いらしい少女から出た言葉に動揺しているあまり声が上ずってしまう。


「風吹さん......と、一緒にいたじゃん!

 私より先に.....」

「そ、それだけ」


 つい言葉に出てしまう。

 そして、その言葉を言った途端彼女からスゴい目つきで睨まれる。


「それだけって、私なんかあの日以来一度も話したことないのに」

「......」


 えー

 つまりこの子は如月さんの事が好きって事なのか。


「えーと、それじゃあ、如月さんと話してみれば良いんじゃないかな?」


 と、俺は若干引き気味になりながら言う。


「それが出来たら苦労しないわよ!」


 そう怒声混じりの声で言われる。

 無慈悲だ。


「それなのに、アンタはコソコソと風吹さんと話して!

 不公平よ!」

「そんな事言われても.....」


 とりあえず、この子は如月さんと話したいって事なんだろうし如月さんに話せば何とかなるんじゃ無いかと思わなくも無い。


「それじゃあ、俺が如月さんを呼んで話すとか?」

「き、緊張して話せるわけないじゃ無い!」

「それじゃあ、電話とか?」

「風吹さんの声が耳元に直接入ってくる....とか死ぬ」

「て、手紙とか?」

「私の汚い字なんか見たら如月さんの目が汚れちゃう」

「よし帰ろう」


 話にならない。

 俺はドアを開きそのまま廊下へと出て扉を閉める。

 そして、数秒経ち扉が勢いよく開き


「どこ行くのよ!」


 何なんだこの子


「何なんだよ!

 どうすれば良いんだよ!」


 俺はついつい声を張り上げて叫ぶ


「大きい声出さないでよ!」

「ごめん!」


 それからしばらく沈黙が続いた後


「はぁー、俺に何を求めてるんだよ

 お前は」

「お前っていわないで!」

「じゃあ、名前は」

清水有栖(しみずありす)


 そう彼女は名前を言った。

 清水有栖。どこかで聞いた事がある様な名前だが、まぁ、ありがちな名前だろう


「じゃあ、清水、俺はどうしたら良いんだよ」

「さんよ」


 まじで、頭叩いてやろうか

 俺は震える手を制御しつつ望み通り


「清水さんは、どうしたいのかな」


 少しわざとらしいトーンで彼女に聞く


「如月さんに話しかけないで」

「話しかけないでって.....」


 今思えば俺が如月さんに話しかけた事はあっただろうか。

 いや、無いな。

 だったら了承しても良いんじゃね?  

 如月さんはいつも女子に囲まれてるし話しかける隙は無いだろうし


「分かったよ

 それじゃあ帰って良いか?」

「良いわよ!

 そう言えば名前聞いてなかったわね」


 何でこんな上から目線なんだよ

 と思いつつ名前を名乗る


「ふーん、彗月奏多(はづきかなた)ね、じゃあ、奏多もう帰って良いわよ」

「呼び捨てかよ.....それじゃあ帰るよ」


 とすっかり疲れ切った俺は早足で帰るのだった。


 〜♪


「あ、彗月くん」


 そう、俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。

 それは、俺が帰宅途中の通学路での出来事だった。


「如月さん?」

「そうだよ。如月さんだよ」

「如月さんって通学路こっちだったんですね」


 そこにいたのは狼の様な髪を靡かせる(なびかせる)如月さんだった。


「そうだよ。彗月くんもこっちなの?」

「そうです。

 となるといつも俺の方が帰るの早いんですね」

「そうなるね。

 今日はいつもの隠れ場所が使えなかったんだよ。

 それで、走って撒いてきた。」


 なんか、如月さんの世界だけ特殊と言うか漫画みたいなの何なんだろう。

 本人の容姿自体現実離れしてるんだけどね。

 と改めて如月さんと会話して思う。


 現実離れという面では今日あった清水有栖も現実離れしていたな。

 まるでおとぎ話のお嬢様の様な妖精みたいだった。


「せっかくだし、一緒に帰ろうか」

「そうですね.....えっ?」

「ここでバッタリ会って別々に帰るのも変だし、それに、今日の感想も聞きたいしね。」


 まぁ、確かに変だよな。

 まぁ、清水有栖との約束は破って無いし問題ないか


「じゃあ、帰りましょうか」

「そうだね。

 それで、感想を聞かせてもらおうか!」


 とテンション高めに迫られる。


「美味しかったです。」

「ふーん

 それだけ?」

「えっ、何というか肉って感じがして美味しかったです」

「ふふ、肉って感じって」


 と如月さんは口元に手を当てて肩を震わせる。

 完全に笑われている。

 俺に文才があったらもっと奇をてらった事が言えたんだろうけど一般高校生の俺には無理である。


「如月さんいつまで笑ってるんですか」

「ごめんごめん、ふふ、つい苛めたくなってね」


 と小悪魔の様な笑みを浮かべる如月さん。


「まぁ、美味しかったんなら何よりかな」

「あれって如月さんが作ったんですね」

「ふふん、まぁね。」


 如月さんはドヤ顔をキメる。

 如月さんが作ったと思うとより一層美味しく感じる気がする。

 もう少し味わっても良かったかもしれない


「如月さんって普段料理とかするんですか」

「たまにするくらい....だね。

 まぁ、助けてくれたお礼って言うかなんというか」


 と如月さんは照れ臭そうに自分の両手を絡めながら言う。

 そこでふと違和感があった。 


「如月さん....手大丈夫ですか?」


 それは如月さんの手に絆創膏が何枚か巻かれていた。

 それを言うと如月さんはピタリと止まる。


「これは、その.....」

「もしかしてあんまり料理しないんですか?」

「うぐっ」

「しないんですね」

「ちが、くわないけど」


 と如月さんはそう認める。


「意外?」


 そう如月さんに問われる。

 意外と言えば意外だけど体育の時なんかは食事を抜いて倒れたりしたしそうでも無いのかも知れない。


「けっこう、抜けてる所があるんですね」

「うぐぐっ」

「さっきのドヤ顔撮っておけば良かったです」

「それしたら君の記憶ごと消すよ!」


 と目はマジだが顔は少し赤らめていて恥ずかしいらしい


「はぁー、私のイメージが崩れて行きそうだよ」

「まぁ、親しみやすくなって良いんじゃ無いですか?」

「ホント?」

「こうゆうのってギャップ萌えって言うのかな?」


 そう言う独り言の様に言う

 すると、如月さんの顔が更に赤くなった。


「どうしたんですか?」

「い、いや、な、何でもない」

「?」


 なんか言ったっけ......その瞬間、俺の顔に熱が帯びていくのを感じる。

 なるほど、確かに失言だったかも知れない。

 と俺と如月さんの顔は夕日に照らされているのかそれとも.....


 俺たちはそこから分かれ道まであまり口を交わす事なく帰るのだった。

清水有栖はセミロングの小動物系お嬢様です。

性格は狂犬です

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