4 お礼と泥棒猫!
俺が学校に来て感じたことは視線である。
どこかしらから視線を感じるのである。
あたりを見渡しても誰もいない。
それは教室でも続いていた。
正直、今まで生きてきてこう言った視線を感じることは初めてでありもしかしたら気のせいなのではと思わずにはいられない。
実際、どこから見られてるのかもさっぱり分からない。
恐らくこう言うところが如月さんに鈍感と言われる所以なのだろう。
まぁ、そんなこんなで授業中以外のほとんどの時間、視線を感じていた。
剣城に相談しても、自意識過剰だとか、幽霊じゃね、とか色々言われまくった。
そんな、全く気の休まらない授業時間や休み時間を経て昼休みを迎えた。
俺は昨日来た人も居ないベンチに腰掛け弁当を開ける。
そして、持ってきたお茶で一息ついた。
結果的に視線が何なのかは分からずもしかしたら本当に幽霊なのかも知れないと思い始めてきた。
俺は少し縮こまり弁当を食べようとした時
「わっ!」
と大声と共に肩に驚かす様に手で叩かれる。
その瞬間、俺の全身が一瞬大きく揺れる。
「ビックリした?」
と驚かした主は顔をひょこっと出しながら、いつも通り爽やかな声でそう言った。
「如月さん、何してるんですか?」
と、如月さんの方を向きながら言う。
「ごめんごめん、彗月くん居るかなって様子見に来たらホントに居て、悪戯心が働いてね
それで、彗月くんは一人?」
「後から剣城.....友達が来ますね」
「そう.......」
そう言うと如月さんは人差し指を口近くに置き何かを考える仕草をした後
「彗月くん、口開けて目瞑って」
「何でですか?」
「サプライズ的な?」
「何ですかそれは」
俺はそう言われ渋々と口を開け目を瞑る。
と言うか、如月さんの言われた通り目を瞑って見たけど怖いな。
また脅かしてきそう。
そう不安になりつつ口を開け待っていると口に何か入るのが分かる。
「きはらぎはん」
口に何か入っているせいかうまく喋れない。
「食べていいよ」
と何故か、少し不安そうな声音で如月さんが言う。
食べていいと言うことは食べ物なのか?
そう思い俺は口を閉じ咀嚼を始める。
ケチャップの味と香りと共に肉肉しい味が口いっぱいに広がった。
そして少し咀嚼した後飲み込んだ。
「上手い.....ハンバーグですか?」
と口に入れた物の正体を口に出してみる。
それに如月さんは
「正解!」
とおちゃらけた様な安心した様な声音で言う。
俺はそう言われ目を開ける。
目の前に如月さんの顔があり少しのけぞる。
「ちなみにこれなんですか?
何か当たるクイズ的な物ですか?」
「ん〜、昨日のお礼?」
「なるほど?」
「まぁ、後で感想聞かせてね」
そう言い弁当箱の蓋に少し小さめのハンバーグを乗せられ如月さんはそそくさとどこかに行ってしまった。
すると、反対方向から足音が聞こえてくる。
俺はそちらを振り向く、そこには剣城が辺りを見渡しながらコチラにきていた。
「剣城!こっちだ!」
と俺は剣城の名前を大声で呼ぶ。
「こんなところあんのかよ」
「俺も初めて見た時ビックリしたわ」
剣城はベンチに座った後も辺りを見渡していた。
そして、俺の弁当箱に視線がいった。
「そのハンバーグ彗月の手作り?」
そう聞かれる。
俺はどう答えるか迷う。
ここで馬鹿正直に言ってもいいと思う。
俺は剣城と会って二日くらいだが剣城がベラベラとしゃべる様な奴に見えないからだ。
ただ、どこか如月さんとの関係を知られたくないとも思ってしまう。
俺は悩んだ挙句
「まぁ、多分?」
「多分?まぁ、いいや
一口くれない?」
「無理」
「即答かよ」
そう言った後、剣城は売店で買ってきたであろうパンの袋を開け食べ始めるのだった。
「そう言えば、今は視線感じないのか?」
「分かんね」
そう改めて言われると消えた様な気もしてくる。
まぁ、本当に気のせいだったのかも知れない。
「なんだよそれ」
と剣城は笑いながら言う。
「そういえば、剣城のとこの部活厳しいって聞くけどどうなん?」
「厳しいけど、まぁ、楽しいな。
ここだけの話けっこー可愛い女子多いし」
「へー、可愛い女子ねー」
「おっ、興味あるかい」
俺が可愛い女子の単語に食いつくと剣城は目をキラリと輝かせ可愛い女子たちについて語ってくれた。
そんなこんな話しているうちにチャイムが鳴り俺たちは教室へと戻っていくのであった。
〜♪
あれから何事も無く授業も終わり視線も感じぬまま帰ろうと思っていた。
そんな時、下駄箱に手紙が置いてあった。
そこには、『一階の空き教室にて待つ』と言う簡単な文章が書いてあった。
空き教室と言うと今日如月さんと話した場所だろう。
となると如月さん?
とは言え、行って見ないと分からないので俺は下駄箱を閉め一階の空き教室へと向かうのだった。
空き教室には黒い人影がいた。
そして、俺がドアを開けた音で気付いたのか、コチラを振り向き。
「この泥棒猫!」
と指を差し大声で言ってきたのだった。