22話 お見合いぶち壊し
お見合いをぶち壊しに行く。彼女はそう言葉に怒りを込めて言っていた。俺は彼女が言っていた、お見合いと言う言葉に引っかかっていた。ついでに学校のネクタイとは一味違うリボン?の付け方にも、結果的に清水のダンディー運転手の人につけてもらった。
「それで、如月さんがお見合いってどう言う事だよ」
俺は如月さんの家?に向かっている最中に如月さんがお見合いする件について清水に問いただしていた。
「そのままの意味よ」
「着替えた理由は?」
「あんな変な格好で乗り込んだら可笑しがられるでしょ」
「如月さんの家に向かってるんじゃ無いのか?」
「そうよ。ほら見えてきたわよ」
そう言われて清水が指差している場所を見る。
そこは近所でも有名な豪邸だった。恐らくおとぎ話の世界にはよくあるお屋敷かもしれないが、現実世界で見ると圧巻の一言である。こんな屋敷があるのは知ってはいたが、こうも間近で
しかも、それが如月さんと言う身近にいる人物が住んでいるともなると奇跡としか思えなかった。
「それで、どうやって入るの?」
「私は如月さんに招待されたことになってるから、そのまま入ればいいでしょ」
「俺は?」
「アンタは執事みたいな......私の奴隷みたいなものね
だから、付き人として入れると思うわ」
そう言うと門から一人の黒服を着たガタイのいい男が出てくる。
そこで、しばらく運転手と話している。聞こえる限りでは「車は別の通路から」とか「お嬢様のみ」とか言う言葉が飛んできていた。
それから、しばらくの間、運転手さんと会話をしていると、俺と清水のみ車から降りて参加できることになった。
「それじゃあ、パパありがと」
「うん、頑張っておいで
君も娘を頼んだよ」
どうやらパパだったらしい。
清水のお父さんには穏やかな声でそう頼まれて俺は清水と共に車から降りて黒服の人の後ろをついて行った。
と言うか、一体どうやって如月さんのお見合いとやらを阻止するのだろうか。
漫画みたいに「ちょっと待った」とかやるのだろうか......
まぁ、そんな馬鹿みたいな事を考えているうちに屋敷の中に入って行く。
やはり屋敷の中も当たり前のよう飾られており凄く眩しい。
眩しすぎて目をしかめていると黒服の人に変な目で見られたあとに清水に脇腹を思いっきりつねられた。
それから、清水と俺は中央の扉の前に案内される。
「清水様、中へお入りください」
そう、言われ黒服が中央の扉を開ける俺もつられて入ろうとするが、黒服に阻止され
「お付きの方は外でお待ちください」
清水は俺を一瞥したあとに中に入っていった。
俺もどうにか入ろうと「お嬢様が」とか、それっぽい事を言っていたが意味はなく。そのまま外で待たされることになった。
どうしたものか、そう取り残された俺は思う。
扉の前にはガタイのいい男が待機しており、普通の高校生の俺には強行突破できる訳はない。
これはもしかしたら清水の作戦は失敗するのでは無いかと言う事が頭によぎる、俺を清水が連れてきたと言う事は何かに使うと言う事だし、それに如月さんの婚約者と言うものも見てみたい気がする。
そんな事を思っていると黒服達やメイド達が何やら揉めているのが目に映った。
何を揉めているのかは聞こえていた。
扉の中央にいた男も、その話を聞きに扉から離れる。今のうちに入れるかと思い扉を開けようとするが鍵がかかっていた。
当たり前のことだった。
俺は仕方なく黒服達の会話を盗み聞きする事にした。
あそこで待っていても仕方ないし
「門の前で暴れている女性がいるんです」
「何やら婚約者とか私は認めないとか」
そんな話が耳に届いてくる。
随分と派手に暴れている人もいるんだなと俺は思う。
すると、大きな金属音が鳴り響くと共に黒服たちが慌てて門の方に走っていった。
俺も何事かと近寄るが、そこにはポニーテールを振り上げて門をよじ登っている女性がいた。
俺はどうなっているんだと思いつつ、その様子を見ている。
彼女は素早い動きで門をよじ登り中に入ると黒服達に向かって突進し始めた。
黒服達もどうにか取り押さえようとしているが女性のどこにそんな力があるのか暴れ回っておりぴっしりとした黒服の服がどんどん土埃などで汚れていった。
その際に銀色の鍵が落ちるのが目に入った。俺はそれにこっそりと近づき鍵を手に入れる。それを見た黒服は俺を捕まえようと手を伸ばすが女性に阻止される。
俺はその苛烈な女性に感謝を心の中で述べつつ走って中央の扉を開けに行くようとする。
その際にどうやって入ろうかと思いつつも咄嗟にどうなでもなれとの思いで扉を開けこう叫ぶ。
「「ちょっと待った」」
そして、その二つの声が重なり合った。
二人?俺はその声の主の方を見てみると、そこにはこの前見たヒョロガリと男が白いタキシードを着たまま立ち上がり俺と同じくそう宣言していた。
突然のことに俺も戸惑い何を言おうかと迷っていた頭がまっさらになり、恐らくヒョロガリの男も俺と同じく俺と目を合わせたまま止まっており、そこには静寂の時間が流れていた。
俺はチラリと周りを見渡すと如月さんと清水がいた。
その二人は俺を見たまま固まっていた。
そして、その静寂を破ったのはヒョロガリの隣にいた強気なマダムという印象が似合う女性であり
「何をしてるの!」
そう俺たちと同じように立ち上がり怒鳴っていた。
その声でヒョロガリは一瞬、一縮するが
「俺には彼女がいるので結婚はできません!」
そう大声を上げた。
その言葉に母親は顔が真っ青になると共に如月さんも立ち上がりつられるように
「お母様、私にも彼氏がいます!」
そう言った。その言葉に如月さんのお母さんである。どこか儚げに見えるが如月さんと同じようにどこか強い意志を持つ目が大きく見開かれ、そのセリフに清水までもが立ち上がり
「き、き、きはらぎ、き、如月さん、どうい、どうあう、どう言うことですか」
めちゃくちゃ動揺していた。俺もその言葉に戸惑いつつも、ショックを受けている俺がいる。
「その人は、あそこにいる彗月奏多くんです!だから、私も塔矢さんとは婚約できないです」
そう言った。俺は目を回していた。
俺はいつ如月さんと付き合っていたのだろう。
そして、塔矢ってヒョロガリのことか?そう俺が目を回しているうちに話は進み続け、俺を退けるように扉から物凄い勢いで突撃してきたのは黒服を振り払い、ボロボロになったポニーテールの女子であり
「塔矢!」
そう声を上げその声に反応するようにヒョロガリ、もとい塔矢がポニーテールの元に走っていき抱きしめていた。
塔矢が、あの日言っていた気が強い彼女はポニーテールの事だったようで、俺は黒服に飛びかかる果敢な彼女を見て気が強いを大きく超えた。猛獣だろと心の中で突っ込んでいた。
そんな、カオスな中、一人が聞き取りやすい声量でこの中で一番か弱そうな女性が立ち上がり声を上げる。
「あなた!風吹と本当に付き合っているんですか?」
そう、恐らく俺に向けて言ったのだろう。俺を鋭く睨みながら言った。
俺は少し考え込んだあとに
「はい。ちゃんと好きです」
と声を上げる。
女性はその声を聞くと「そうですか」と言ったあとに座り、塔矢の母親を見ながらこう言った
「婚約の件は無かったことにしましょう」
塔矢の母親は塔矢たちを見ながら頷いた。
それと共に清水は俺に詰め寄るように近づいたあとに尻を蹴られるのだった。
〜♪
その後、塔矢の彼女は黒服達にどやされたり、塔矢の母親に品定めをするような目で見られたりなどしており、俺は清水に散々、恨み言を浴びせられた。
「それで、彗月くん」
「?」
「あの言葉は本気にしていいのかな?」
「えっ、いや、まぁ、うん」
俺は照れるようにうなづく。
それを見た如月さんも何処か照れながらも俺の手に指を絡ませるのだった
なんか最後は駆け足超えてダッシュでしたがここまで見ていただいた方ありがとうございました。