21話
目が覚めたら朝が来ていた。
目覚めのいい朝である。布団がモゾモゾと動く布団を捲るとこたつが丸まりっていた。
どうやらこたつのご飯タイムより早く起きたようである。
そう言えば俺はいつの前に、寝ていたのだろう。
確か、あの後雑炊を食べたあと如月さんと少しの間喋っていた気がする。
恐らく、その時のどこかで寝ていたのであろう。
俺が布団から起き上がる。
それと共にこたつが布団から降りる音がする。
俺が起き上がると同時に目が覚めたのだろう。
そう言えば、如月さんは何か残していっただろうかとスマホを確かめる。
『雑炊が残ってるので食べてね⭐︎』
と書いてあった。
そう文字を見て俺は自分がお腹が空いていることに気づく、昨日は全くもって食欲が無かったのだからすっかり治っているのだろう。
ただ、まだ少し風邪っぽいのか喉が痛かったりなどはするが昨日ほどでは無かったので今日は一日中家にいれば特に不自由などはしないだろう。
そう思い、一階に降りて猫のご飯を出して自分用の雑炊をあっためていた。量は昨日少し食べたからか多くはないが朝ごはんには丁度いいだろう。
そして俺は朝ごはんを食べながら如月さんへとお礼のメールを送る。『昨日はありがとう』そう送ってみた。
少し味気ないだろうか?もう少し感謝を込めた方がいいだろうか。正直、あのまま放っておいても死にはしなかっただろうが2、3日はダウンしていた、だろうし今ほど如月さんに感謝が溢れ出そうなほどの事はそうそう無いだろう。
そう如月さんへのメールの味気なさに、ああでもない、こうでもないと唸っているとスマホが小刻みに揺れると共に清水からのメールを知らせる。
『家どこ』
そう簡素なメールが送られてきた。
このメールにもしかしたら如月さんとデートした事がバレたのか看病された事がバレたのか、その逆恨みにより俺は探しにきたのか、どこか不穏に感じながらも連絡を返す。
『なんでだ?』
『いちだいじだからよ
はやくしなさい』
相当焦っているのか、ひらがなのままのメールが送られてくる。
俺は只事では無い事を察して、言われた通りに自分の住所を清水に送るのだった。
それから清水が来るのは早かった。
送信した、その数分後にはインターホンが鳴る。
玄関へ向かい扉を開くと、舞踏会にでも行くのかと言わんばかりに白色のドレスを着飾った清水有栖が経っていた。
そして、奥にはダンディーな男と共に黒光りした車があった。
「どうゆう事だよ!」
俺はその異様な光景に状況が飲み込めないながらもツッコミを入れる。
「そんな事はどうでもいいから早くこれを着なさい!」
そう言って渡されたのは上等そうなタキシードだった。
それを渡された俺は素っ頓狂な声を上げる。
そして、清水はこれからどこへ向かうのかを告げた。
「今から風吹さんのお見合いをぶち壊しに行くのよ!」
そう意味のわからない事を言うのだった。