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19話 度胸

俺はこたつを撫でていた。

ちなみに、連れてきた男は今はお風呂でシャワーを浴びせていた。

流石に風呂でお湯を入れて浴びせなければ風邪引いてるだろし俺も男が上がったら入ろうかと思ったが目を離したら、また外に出そうな気がするので今は男の精神が安定するまでは待機だ。


まぁ、ついで体力も回復させる為に泊まらせようとも考えていた。

それと、これは感だが多分、男と俺はそう歳は変わらないのではとも思っている。

背の高さもそうだが肌に関しては童顔なのか俺よりも若く見えた。

遠目から見てもイケメンの類だったが間近で見てやはりイケメンだった。

まぁ、遠目から見てもオーラがある如月さんと比べると彼は負のオーラ全開という感じであった。


「あの、上がりました」


そう声がかかる共にリビングに男がやってきた。

前は雨のせいでイケメンという事は分かっていたが風呂から出てきた男は俺とほぼ同じ170くらいの背だが、俺のような地味で、どことなく残念感が出ている俺と違い頼りなさそうで縄のようにヒョロヒョロしているが守ってあげたくなるような印象を持つ青年だった。


「あの、ありがとうございます」

「いや、全然......流石にあの状況は放っておけないし」


青年は雨で濡れてた時の姿を客観的に想像したのか納得し申し訳なさそうに縮こまる。

その仕草が男だが守りたい母性本能のようなものを覚える。この場合は父性本能なのだろうか?

簡単に言えば如月さんの真逆だろう。


「あっ、ここ座っててくれ」


俺は前にある椅子に指を刺しながら言い席を立ち、キッチンでさっきから鍋で温めていた牛乳、つまりホットミルクを陶器で出来たカップに入れて青年の前に出す。


「あっ、ありがとうございます」


そう青年はお礼を言ってホットミルクを飲み始める。

その間、俺はどう話を切り出そうか迷っていた。

正直、何も言わずに止めて帰す事もできるが青年にまた同じように自暴自棄になり俺の知らないところで倒れてるとかなると後味が悪いからだ。

ただ、それはプライベートのことだし無理やり話させて悪化するなんて事にはなってほしく無い。

俺は覚悟を決め話を切り出す。


「なぁ、あそこで何やってたのか聞いてもいいか?」


そう出来るだけ刺激しないように優しい声を心がながら語りかける。

彼は少し迷った後に


「僕、彼女いるんです」

「自慢か?」


つい真顔で言ってしまった。

彼は慌ててそれを否定して


「そうじゃなくて、彼女いるのに僕お見合いさせられそうになっているんです。」


どうしたもんか、予想以上に別世界の話を切り出された。

お見合い?この歳で?

見た感じ俺と同い年だし......いや、何なら俺より年下の可能性もある。


「あの?」

「あっ、ごめんごめん、びっくりして

それで、断ったりしないのか?」

「それなんですが、僕、母さんに彼女がいる事言ってないんです。」

「それは、どうしてだ?」

「僕の彼女は少し粗暴が荒いというか......怒りっぽくて

母さんはそう言う人がすごく嫌いなんです。

それで、僕の彼女がそう言う子だって知ったら別れさせられるから」


そう、彼は語ってくれた。

最後の方には余程、彼女の事が好きなのか少し泣きそうで震えていた。


「それで、あんなに公園で悩んでいたのか」

「はい、彼女がいつも悩んでいる時に公園とかでやけ気味にジュースバカ飲みしてたって聞いて、僕も試しにやってみたけどどうすれば良いのか分からなかったんです。」

「ちなみに、彼女が飲んでいたのは本当にジュースなんだな?」

「えっ、はい。彼女、アルコールアレルギーなので」

「他には何も無いのか?タバコとか」

「無いです

家以外ではいつも一緒にいるしタバコの臭いもした事ないです。家でも電話するので」

「なら、大丈夫そうだな」

「えっ?」


彼女の粗暴はアレなようだが犯罪とか犯してない限り別にどうにでもなるような気がする。

これは推測でしかないけど母親が嫌っているのは犯罪を犯しているヤンキーだと思う。

それに、ヤンキーが嫌いでも何も悪いことしてない人間を何から何まで批判する事は不可能なわけだし

あとは、この子の意思なんだよなー


「今聞く限りだと、彼女のことめっちゃ好きなんだな」

「えっ、ま、まぁ」


そう彼は顔を赤くしながら言う。

顔が色白なせいでもの凄く分かりやすかった。


「なら、あとは度胸だ」

「度胸ですか?」

「あぁ、徹底好戦しよう。なんなら家出して彼女の家に泊めてもらうとかな。取り敢えず親に一言でも言いから反抗しろ、このまま流される訳には行かないだろ?」


正直、親に初めて反抗するってのは難しい。

俺は中学時代に結構強めの反抗期があったせいで、そこまで難しくなかった。

まぁ、同じ立場で本気でそう言えるかは分からない。


「まぁ、お前は本当に彼女が好きなんだろ」

「はい」

「なら、自暴自棄にならずに親に反抗しろ!」


俺はそう言い彼の肩を軽く叩いた。

そのあと、ホットミルクを飲み終えた青年は帰って行った。

俺はそんな青年が上手くいけばいいなと思った。

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