12話 夏休みが始まる
だいぶ短めです
「それじゃ、お前ら節度ある夏休みを過ごせよー」
とそう気怠げな声と共に夏休みを知らせるチャイムがなる。
それと共に辺りが一気に賑やかになる。
「騒がしいな」
俺は近くにいる剣城に話しかける
「まぁ、夏休みだからな
彗月はあんま嬉しそうじゃないな
なんか、嫌なことでもあったか?
テストも別に悪くなかったよな」
「嫌な訳じゃないんだけどな」
正直、テストは特段悪くもなかったけど勉強会での如月さんとの会話が今でも頭の中に残ってしまう夏休みなのにあんまり喜べずにいた。
「まぁ、元気だせ
俺がお前のためにって.....これは夏休みまでのお楽しみだな」
剣城はドヤ顔でそう言った後に去っていった。
楽しみにしとっけって何かあるのか?
そう思いながら俺も教室を出た。
〜♪
すると帰り道に如月さんが待っていた。
俺に気づいた如月さんが手を上げコチラにやってくる。
「ようやく来たー」
「待ってたんですね」
「明日から夏休みだし、日にち決めとこうと思ってね」
日にちって言うのは恐らく、デ、デートの事だろう。
なんか考えるだけでも恥ずかしい。
中学時代はデートとは遠い存在だったし
「彗月くんは空いてる日いつ?」
「いつでも空いてますよ」
「ふーん、じゃあ、」
如月さんはそう言って日にちを言う。
「分かりました
と言うか本当にそれで良かったんですか?」
そう言うと如月さんの目が少し変わったように感じると共に威圧感の様なものがのしかかる
「なんで?」
「いや、別に何でもないです」
そして、俺は咄嗟に早口で返す。
なんか怖い。
「ふーん、まぁ、私にとってはお釣りが来るぐらいには良かったけどね」
「それって」
「それはね秘密、強いて言うなら一緒にいて楽だから?」
「疑問形じゃないですか」
そう言うと如月さんは肩を軽く振るわせ声を抑えながら笑う。
如月さんの言葉を聞いた瞬間一瞬ドキッと心臓が跳ねたがどうにか取り繕える事ができた。
「でも、彗月くんは過小評価し過ぎだけどね」
「そんな事ないですよ」
「このお守りね
おじいちゃんから貰ったものなんだよね
本当に優しいおじいちゃんだったんだ」
そう言って如月さんはそのお守りについて語り始めた。
如月さんにとってこのお守りはおじいちゃんの形見らしく清水にお守りを貸す前はおじいちゃんは生きており如月さんが中学を卒業する時に死んでしまったらしい。
「だから、有栖に合わせてくれた彗月くんは、私にとってすごく特別な人って事だよ。
この話、有栖には内緒ね。有栖は絶対気にするだろうから」
「分かりました。何するか分かんないですしね」
この事を清水に話したら切腹とは行かずとも過激な方面に走るのは言うまでもないだろう。
「有栖の前ではカッコつけてたけど前に彗月くんに抜けてるって言われたことあるけど実際その通りなんだよ
だから、この高校生活で彗月くんが居てくれて良かったよ」
如月さんにとっては本当におじいちゃんは大切な人だったんだろう。
如月さんがおじいちゃんの事を話している時はとても楽しそうだった。
「俺も如月さんが居てくれて良かったですよ
清水とは何だかんだ言い合ってるけど一緒にいて楽ですし如月さんといるのも(ドキドキするけど)楽しいですし」
「.......そう言って貰えて嬉しいな」
と何処かあどけない嬉しそうな笑みを浮かべる。
ただ、何処か泣きそうな顔にも見えた。
それは俺にとって頭に残る印象的な笑顔だった。
「なんか、恥ずかしいな」
「そうですね。清水がいたらどうなってたんでしょうね」
多分、思いっきりどつかれそうだな。
「夏休み、みんなで遊びたいね」
「まぁ、清水は色々計画してそうですけどね」
「私も色々考えてあるし夏休みがこれから楽しみだね」
「.....ですね」
これで一旦一区切りです。
次回から夏休み編が始まります
これからも読んでいただけるとありがたいです。