11話 勉強会
「ここで合ってるんだよな?」
俺は清水から送られた地図を頼りに清水の家を探していた。
そして、目の前にあるのは馬鹿でかいタワー型のマンションであった。
ガラスの向こうを覗いてみると筋骨隆々なガタイのいい男がチラホラ見えた。
俺はついた事を連絡した後、『待ってなさい』と連絡が来たので待っている最中だった。
しばらくして清水が来るのが見えた。
そして、怪獣の足跡が聞こえそうなくらいのどこか怒ってそうな歩き方で自動ドアをくぐり
「なんで、外で待ってるの!」
「入ったらアメフト始まりそうで」
「始まらないわよ!
はぁー、とりあえずついて来なさい」
そう言われ俺は清水の後を着いてくマンション内に入る
中は外から見た通り豪華な装飾で囲まれており天井にはドラマや映画で見た豪華なシャンデリアがあったり高そうな壺や絵画がある。
自分とは別世界の空間に唖然としながら清水の後ろを着いて行く
「風吹さんはもう来てるのか?」
「アンタがくる5分前にはね」
随分と早いんだな。
そう思いながらエレベーターに乗る。
エレベーターに乗った清水は最上階のボタンを押した。
「最上階なのか?」
「そうよ」
清水は俺が思っているより別世界の人間なのかも知れない。
服装もお嬢様が着るような清楚な服装であり、見かけは良いと言う事を嫌でも気付かされるのだった。
〜♪
「あっ、有栖おかえり」
清水が住んでいる部屋を開けると扉の音で反応したのか玄関先から如月さんが出迎えてくれる。
ただ、それより目が行ったのは服装でありビジュアルのいい人しか着こなせいな黒色で固めた無地柄の服装であり、それがとても似合っており目を奪われてしまう。
何というかそこらのイケメン男より着こなしているのでは無いかとも言いたくなるイケメンぶりだった。
「何ぼーとしてんのよ。早く入りなさい」
「あっ、ごめん」
如月さんに見惚れていたせい、ついその場に佇んでしまい怒られる。
俺はそう言われ靴を脱いで有栖と如月さんに着いて行くとバカ広いリビングに着いた俺の部屋が4個ほど入りそうだ。
リビングの机には先程まで勉強していたのか教科書とノート、シャーペンなどが転がっていた。
「あとこれ」
「何よこれ」
俺は清水に勉強道具とは別に持ってきた紙袋を渡す。
清水は困惑したように聞いてくる。
「手土産だよ
確か、母親が海外から送ってきたお菓子」
「アンタってそう言う事するのね」
何を言う。
俺は清水と比べると普通だと思うんだが
「まぁ、折角だし貰っとくわ」
そう言ってリビングの机の近くに紙袋を置く。
「それより、どこまでテスト勉強やったんですか?」
「私が来たのが5分前くらいだからそこまで進んでないね」
「そうですか」
そう言い俺は机の前に座り勉強道具を取り出した。
「もう、始めるの!?」
と清水が驚いた声を上げる。
「何のために来たと思ってるんだよ
俺だって一応赤点取る可能性あるし早めにやるだろ
って、何で如月さんも驚いた顔してるんですか?」
「いや、彗月くんって案外真面目なんだなって思って」
俺はどんな風に見られてるんだよ。
俺は二人からどんな風に見られてるのか気になりつつ二人を座らせてテスト勉強を始めるのだった。
「風吹さん、ここどうやるの?」
「そこか」
如月さんが清水にその部分の説明を始める。
意外と言う訳では無いが先日苦手と言っていたわりに多分、俺が教えるより遥かにいいと思ってしまう。
案外、抜けてる部分もあると思っていたが、やっぱり如月さんはかなりの完璧超人なんだなっと如月さんの説明を聞きながら思う。
「彗月くんは分からないとこある?」
「あっ、じゃあここお願いします」
そう言ってさっきから詰まっていた問題を指差す。
そうすると如月さんはスラスラとそこの問題の解説などを言ってくれる。
如月さんの爽やかで耳障りの良い声は学校で聞く教師の解説より耳にするーっと入ってくる。
それは、うどん屋で食べたうどんのようにツルリとはいってくる。
「どう、分かった?」
「はい、ありがとうございます。」
正直、耳に入ってきたが如月さんの顔が目の前に来た為に集中し辛くあった。
そして、清水からはものすごい形相で見られてたのも集中を妨げる原因でも合った。
それからしばらく2時間くらいだろう勉強していた。
「風吹さん、これすごくない!」
そう先ほどから清水はスマホを弄り出し集中力が限界を迎えていた。
ただ、予想よりかは集中力が持ったおかげもあり一様大まかな範囲は終わらせる事が出来ていた。
「一旦休憩かな」
「そうですね」
如月さんは清水の集中力が無くなっているのを見て休憩をする事にした。
それを聞いた清水は意気揚々と如月さんに話しかけるのだった。
それにしても今回の勉強会は成功した方だろう。
主に如月さんのおかげという他無い。
元は清水だけの予定が俺も教えてもらえて如月さんには感謝しかない。
それから、しばらくして勉強を5時ぐらいまでやったのち解散となった。
〜♪
「ふぅ、疲れたね」
如月さんと二人っきりの帰り道になる。
それでフラッシュバックするのは前に如月さんと帰った帰り道だろう。
ただ、今日は集中力を全部使い果たしているのか緊張はあまりしていなかった。
「そうですね」
正直、今回で一番疲れたのは如月さんだろう。
清水だけの予定が俺まで教えて貰ったのだから如月さんには頭が上がらない。
「それで、彗月くんは何してるのかな?」
俺は無意識に如月さんを崇めていた。
どうやら俺も予想以上に疲れていたらしい脳みそが完全にバカになっている。
「感謝のポーズです」
「なるほどね」
「如月さんにはなんかめっちゃお世話になってる気がします」
「それはお互い様だと思うけどね」
「そうですか?」
正直、如月さんに何かをした覚えもあんまり無い。
「そうだよ」
そう如月さんは夕日に照らされながら言う。
その時に清水から返して貰ったお守りが揺れる。
「そう言えば、前言った、埋め合わせあるじゃん」
「ありますね」
清水の件で如月さんを頼った時のやつだろう。
「じゃあさ、夏休み、私と出かけようよ」
そう如月さんの口から飛び出てきた。
突然過ぎて何も出てこない。
口を開いても空気しか漏れてこず金魚の餌やりのようになっていた。
それでもなんとか
「分かりました」
そう言葉を出すのが限界だった