第106話 別行動
現在のメンバー……。
メインメンバー:ステラ レッド ブラック ピンク
控え :ブルー グリーン
絆スキル :『すり抜け』
ミスト博士の作ったダンジョン『ミストメイズ』、霧の館を攻略中。
「ゴゴゴゴッ」
博士の罠により、石像が動き出した。
私に向けて、襲いかかってくる。
「……神速!」
スキルを使用し、敵の右手側に回り込む。
「セイントスピア」
私は呪文を唱え、手から光の槍を放った。
しかし、その槍は敵の体を通過していく。
「……ダメか!」
ブラックにバトンタッチ。
「……ん……」
彼女の『挑発』により、攻撃を引き寄せる。
「おい。まずくねーか」
「うん。こいつ幽霊だからね」
この石像には『ゴーストボディ』というスキルが付いており、攻撃が無効化される。
「ゴゴッ」
しかも、鉄球を振り下ろしてくるので、非常に危ない。
こういう武器は、ガードを崩してくるうえ、クリティカル率も高いのだ。
なので、事故に注意。
「ブラックは盾でガード! レッドは……」
「おう! 殴るんだな」
「煙を出す!」
「……おう。狼煙断!」
モクモクと煙が発生していき、館の中は煙でいっぱいに。
できるだけ命中を下げる。これで会心も怖くない。
「ついでに、照明も壊しておこう」
バババッ!
投げナイフで壁に設置されたランプを破壊していく。
「ゴゴゴ」
――スカッ!
鉄球を振り回すも、こちらには当たらず。
「……よし」
これで時間を稼げるぞ。
だが、どこかから声が響いた。
『その手は前にも、やられたのだ』
ミスト博士が、何か言っている。
『同じ手には引っかからないのだ。すでに対策はしてあるのだ』
そう言うと、石像はゴーグルを着用した。
シャキーン! これが対策なのだろうか。
「ゴゴゴッ!」
「……ん……」
ガッシャーン!
しっかり、当たった。
ゴーグルは命中補強のアイテムか。
「更に、連続攻撃。フォースアタックなのだ」
ガン! ガン! ガン! ガン!
力任せに、攻撃してきた。
とにかく、手数でダメージを与える魂胆なのだろう。
魔族は、能力値においては人間を上回る。
だから、下手な絡み手よりも、ごり押しの方が厄介だったりする。
「ガードアップ! ガードアップ!」」
ピンクのバフで、防御力を二倍にしておく。
私たちはブラックを残して、ゆっくりと後ろに逃げていく。
反撃しようにもダメージを与えられないのだ。どうしようもない。
ガン! ガン! ガン! ガン!
連打は続いている。
「ステラちゃん。このままじゃ……」
たしかに。ブラックが押されてきている。
「それなら、ボクが行くよ」
「キョウさん」
「ボクが一人だけなら、奴の攻撃をしのげる」
彼女には、何か手があるのだろうか。
アサシンという職から考えて、防御は考えにくい。
回避系のスキルか。
「それに全員で固まって行動する意味もないしね」
パスワードのことを言ってるようだ。
たしかに、館は広いし、手がかりもない。
手分けして探した方が、効率はいいだろう。
「サイドチェンジ! ブラック⇔キョウ!」
ピンクによって、二人の位置が入れ替わる。
ちなみに、『挑発』状態も引き継ぎ可能。
だから、今はキョウが狙われやすくなっている。
『あっ、逃げる気か。待つのだ』
ミスト博士は放っておき、私たちは通路を進んでいく。
「階段があるぞ」
見たところ、人が一人通れるほどの幅しかない。
この狭さなら、石像も通れないだろう。
「昇ってみよう」
古めかしい階段だ。
踏むたびに、ギシギシと音がしている。
ピンクが思い出したように、喋り出した。
「前から言おうと思ってたんだけど、ブラックちゃんの装備って重そうだよね」
いわゆる重鎧と呼ばれるもので、全身を固めている。
パーティーの中でも、なかなかに暑苦しそうな格好をしているのだ。
そのせいか、彼女のスピードはわりと遅め。
みんなが全力で走れば、彼女がまず足を引っ張ってしまう。
でも、代わりに防御力はピカイチ。
ほとんどの物理攻撃は、ノーダメージにできる。
「だから、ピンクの『サイドチェンジ』は役立つよ。重いブラックも遠くに運べるから」
「私、頑張るね」
「……ん……」
二階に到着。
「なんか暗いし、霧がかかってるし、前が見づれーな」
かろうじて足元が見えるってところだろうか。
とりあえず、手前の扉を開けて入ってみよう。
――バタン!
応接間だろうか。
丸い机に、ソファーが見える。
「うーん」
似たような部屋が続いてるな。
「ここ館だよね。窓はないの?」
「一応、ダンジョンだからね。あったら、外に出られちゃうし」
しかし、レッドが何かを発見。
「あそこ、光が差し込んでるぜ」
本当だ。
窓があるが、板が釘で打ち付けてある。
「壊しちまおうぜ。そしたら、陽が入って明るくなる」
「まあ、そうだけど」
「……よっと……」
レッドが部屋にの中に、足を踏み込んだ。
「ちょっと、先走っちゃダメだって!」
「大丈夫だって……ほいっと!」
レッドが丸い机に手を突いた。
すると、
「ひぎゃあああっ!」
ガシャン! 机からひっくり返り、床に転がった。
「え? 何やってんの?」
「……いや、なんか右手に引っ付いて……って、なんだこりゃあ!」
粘り気のある白いものが、レッドの右腕に纏わりついている。
「……これ、床にも……と、取れねえ!」
「もう! だから、先走るなって言ったのに」
――ネチョリッ!
「……ん? 今、変なものを踏んだような……」
うわあ! 私の足にも、くっ付いてる。
ネチョネチョ。本当だ。絡みついて、床から離れない。
「……ん……」
「何? ブラック。上を見ろって?」
見上げると……おお!
天井に何か大きなものが張り付いている。
「……大グモか」
全長2メートル。
人並みほどの巨大なクモが、天井に巣を張っている。
牙をカチカチと鳴らしながら、我々を威嚇している。
「ゴアアアアアアアッ!」
こいつが、次の私たちの相手か。




