第103話 ネイルの迷宮
今回のメンバー……。
メインメンバー:ステラ レッド ブラック ピンク (キョウ)
控え :ブルー グリーン
絆スキル :『すり抜け』
アサシンのキョウに頼まれごとをしたけど。
今回は、ウォーミングアップ。
私たちが今攻略しているのは、『ネイルの迷宮』というBランクダンジョン。
薄暗い洞窟で、階段を見つけて、一つずつ下へ降りていく。
「今、何階層だ?」
「六だよ。次で七」
そういえば、こういう地下に潜って行くダンジョンって、あまり行かない。
深い階層ほどモンスターのレベルも上がるし、宝箱の質も向上する。
中には、全30階層みたいな長大なものもある。
最奥では、ウルトラレアなアイテムが手に入るらしいけど。
「ステラちゃん。前見て」
「……ん?」
――ゴン!
何かが足にぶつかった。
このダンジョン、暗すぎるのだ。
見ると、ゴツゴツした岩が転がっている。
「……ド」
動いた。
これは、モンスターだな。
「なんてモンスターなの?」
「……バクダン岩だね。顔はあっちを向いてるけど」
洞窟の地面と色が同じなので、とても紛らわしい。
しかし、気づけてよかった。ピンク、ナイス。
「……ようし。みんな、ゆっくり後ろにさがろうか」
私は、そろりそろりと踵を返す。
そのとき、レッドが剣を抜いた。
「なんだ。ぶった切っちまえば、いいんだろう!」
「な、何言ってるの。レッド、ダメだよ。この魔物は……」
「おりゃあっ!」
ザシュッ! ザシュッ!
斬撃によって、岩には傷が付いた。
「……ドドッ!」
ぐりっと回転すると、岩の顔面があらわになった。
「……ドドドッ!」
鬼の形相で、顔を真っ赤にしている。
そして、しだいに頭から湯気を噴き出し……。
チュイイイイン! 光り出した。
「ぎゃあああっ! ブラック!」
「……ん……」
岩石が自爆!
だが、ブラックの渾身のガードにより、私たちはダメージを受けずに済んだ。
「レッド。今のはバクダン岩って言ってね。衝撃を受けると自爆するんだ。攻略するには、一撃で体力を削り切らないといけない」
「あたしの攻撃でもダメなのか?」
「うん。あいつ防御力だけ、異常に高いんだ」
まさに、自爆するために生まれてきたようなモンスターなのだ。
「……自爆……マギーくん……うっ、頭が!」
痛いのはイヤ!
というわけなので、慎重に進むことにしよう。
「みんなも細心の注意を払うんだよ。私たちは冒険者なんだからね」
「おう」
さて、階段はもう少しだぞ。
まずは一歩目。
――ゴン!
足元に岩が転がっている。
「ゆっくり後ろにさがって」
「……ん……」
そして、一歩だけ後ろにさがる。
――ゴン!
「……なに!?」
前にも後ろにも、岩があるじゃないか。
「では、ここは意表を突いて右に一歩」
――ゴン!
なんでだよ。
「私たち囲まれちゃってるよ」
「……さっき爆発したとき、仲間も呼んだのか」
これは強行突破しかないかな。
そのとき、私の前にキョウが出てきた。
「シュコーッ! ボクが行こう」
「え? キョウさんが」
「キミだって、ボクの能力を知らないと作戦を立て辛いだろ?」
たしかに、そうだけど。
相手はバクダン岩。勝算でもあるのだろうか。
「まあ、見ててよ」
キョウの右手にはナイフが握られている。
指に挟めるほど小型なので、たぶん投擲用だろう。
「ドドドッ!」
「……終投刃!」
彼女のナイフが命中。
すると――。
「……ドドッ!」
バクダン岩が、倒れた。
「おい! どういうことだ。一撃でやられちまったぞ」
「あれは……」
≪終投刃≫
難度 ★★★★★★
属性 闇
使用回数 15/15
成功率 100%
説明 投擲技。背後から攻撃すると、八割の確率で『即死』の効果。
アサシンだけに、一撃で戦闘不能にできる『即死』が使えるのか。
しかも、八割とは、けっこう優秀な技だ。
「ヤバくねーか?」
「全然。効くのは、雑魚だけ。ボスには無効だろうし」
でも、ポイント集めには最適な技だ。
どれほど、硬い相手でも一撃必殺。
メタル系にも効くなら、トップテンなど余裕で入れるだろう。
「この技は、全体技にもできるよ。こんな風に」
ババババッ!
キョウは、大量のナイフを投げて、バクダン岩の群れを仕留めていく。
「なるほど。あなたの力はよく分かった」
「あと、ボク自身の耐久は低めだから、後衛を希望」
「いいよ。こっちは前衛が三人だしね」
たぶん、グリーンと同じ枠なのだろう。
基本はサポートがメインって意味で。
私のパーティーは、雑魚を一掃できる技が不足している。
殲滅力が低いので、一斉に襲われるのはかなり苦手。
できれば、ピンクあたりに覚えさせたいところなんだよな。
バランスがよくなると思うんだが。
「それなら、ボクから提案」
「キョウさん」
「会長に教わればいんじゃないかな」
いいかもしれない。
なんと言っても、魔術師協会の会長なのだ。
全体魔法の一つや二つ、すぐに習得させてくれるだろう。
「うん。私、会長に相談してみるね」
「よろしく」
☆
『ネイルの迷宮』。十階層目に突入。
「……ん?」
看板が立っている。
『右は短いが、困難が多い道。左は長いが、困難が少ない道』
あっ、知ってる。
ダンジョンでは、ありがちな二択だ。
右はモンスターが大量にいるんだよね。
そして、両方に宝箱があるけど、片方しか選べないと。
「じゃあ、右だな。敵を倒そうぜ」
レッドなら、そう言うだろうけど。
というか、私も一人なら右を選んでる。魔物がドロップするし。
でも、左にだって、宝箱はあるんだよ。
ひょっとしたら、良いアイテムかもしれない。
「さて、どちらにしようかな。天の神様の言う通り……はっ」
おいおい。違うぞ。
そうじゃないだろ。
「すり抜けを使わないと! なんのための絆スキルだ!」
「は? どういうことだ?」
「右と左は、壁で繋がってるの。スキルで往復が可能なんだよ」
「へえ」
レッドとブラックが、スキルを発動。
――ブイン
私たちの体が、透明になっていく。
「じゃあ、お宝の両取り。レッツゴー!」
「……ん……」




