もう繰り返さぬよう〜私は何を思う〜
※サラッとお読みください
誤字脱字多かったらすみません
(また私は繰り返すの?)
私が逃げた事はすぐさま知れ渡り、騎士団まで駆り出され私の逃亡は直ぐに終わってしまった.
そのまま王宮に連れて行かれ、軟禁という形になっている。私が軟禁されている部屋に両親とアデル様が訪ねてきた。カチカチと歯が鳴り、悲鳴を飲み込んだ。
「ラナ、一体どうしたんだ!?何かあるのなら話してくれ!!」
「そんなに私との結婚が嫌なのかい?何が君をそうさせているのか話してくれないか?」
私は息を呑み、信じてもらえないだろう夢のはなしを事細かく話した。嘘じゃないと信じてもらうために娼婦時代のことも事細かく話している途中で段々皆んなの顔が青ざめていく。八歳の子供が知っている内容では無いからだ。
「私がラナを娼婦に落とすだなんて……」
特にお母様は立っているのがやっとという状態だ。私は心の叫び声が出てしまった。
「もう繰り返すのが嫌なのです!!もうあんな地獄は嫌だ、嫌だ、嫌だ!!お願いします、気の触れた令嬢だとレッテルを貼られてもいいのです!!私は誰もかれもが恐怖の対象なのです!!」
「落ち着いついてくれ、ラナーシェ嬢。私も王太子だ。君の記憶の私はそこまで愚かだったのかい?普通、一時の感情でそんな馬鹿らしい理由で婚約破棄などしない。何かカラクリがあるはずだ」
「カラクリなんてどうでも良いのです!!恐怖の対象を信じろというのが無理なのです!!」
「ラナーシェ嬢……君との婚約は一旦保留にしよう。私が君の言った未来には絶対にさせない。ルミナ男爵令嬢といったな?こちらで男爵家に探りを入れる。それでも君が言う未来になるようなら、婚約を破棄しよう」
「何故今すぐ婚約を破棄してくれないのですか……?」
私の顔は今絶望で彩られているだろう。ここまでして、何故私を解放してくれないのか。
「あの日、初めて会った君が自傷行為までして私との婚約を嫌がった理由が知りたかったのもある。それ以上に何かに脅える君を守りたいとも思った。まさか、自分がその対象だとは思わなかったけどね」
「なら……」
「だからこそ繰り返さない様、全力で事にあたろう。そしてどうか、繰り返すのではなくやり直すチャンスをくれないかい?それでも私達を受け入れられないのであれば修道院に入りたい君の願いを叶えよう。これは契約書にして記載しよう。」
ああ、ここまで王太子に言われたら逃げられないでは無いか。私は絶望の淵で項垂れる。一度目の私にはチャンス等なかったのに。また私は地獄を味わうのか。
それからの私は魂が抜けた様な抜け殻の人形になった。何を言われても、聞かれても言葉が理解出来ない。唯の音にしか聞こえないのだ。
毎日の様に、お父様やお母様、弟が部屋を訪れ花やお菓子、本、アクセサリーなどを持って来ては悲しそうに私に何かを語りかけてくる。アデル様も悲しそうに私の手を握り話しかけてくるがわたしは無機質に首を傾げるだけ。そんな日々が何年も続いた。
今日もこの人がやってくる。もう誰だか認識できない。
「ラナーシェ嬢、遂に君が言っていた事の正体が分かったよ。ルミナ男爵令嬢の父親が魔道具を買ったんだ。それは国で禁止されているもので、対象の周りの人間が、対象に向かって敵意を抱く魔道具だったんだ。王家では魅了の魔法は効かない魔道具を身に着けているが、男爵が買った魔道具にまんまと一度目の私達は嵌められたって事だ。もう調べもついていて、やはり婚約者候補である君が対象だったらしい。未然に防げてよかった……ラナーシェ嬢……ラナ……すまなかった……」
「……どうして泣くの?……何か悲しい事があったの?」
数年ぶりに出した私の声は少ししゃがれていた。
「ラナーシェ嬢、二回目の私も間違った様だ。……君を離してやれず追い込んでしまった」
男の人はポロポロと綺麗な涙を流す。私は泣いて欲しくないと思い、涙を拭ってあげる。この人は誰だろう。頻繁に訪れていたはずなのに名前すら忘れてしまったこの人は。いつも悲しそうに笑い話しかけていたこの人の名前は。
「君との約束通り、婚約者候補から解放して修道院に入る許可を得たよ。ご両親も納得済みだ……」
……ああ、そうだ。私の名前はラナーシェ。この方は王太子のアデル様。様々な記憶が波のように押し寄せてくる。この数年壊れた私に何度も屋敷に足を運び誠意と謝罪を尽くしてくれた。
「……ア、デル様?」
「ラナーシェ嬢……!?私が分かるのかい!?」
「ありがとうございます……これで私は自由なのですね」
「……ああ、もう君は自由だ」
「……アデル様、私は……『 』」
私の言葉に又涙を流すアデル様。
これは繰り返す事の無かった私の物語
ラナの最後の言葉は何だったのでしょうか。
これは読者様の心のままに受け取ってください!




