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どーせみんなチート使い  作者: 星になった狐
3/5

今日の収入2

こんな感じの短編がいくつか続けていけたらいいな

カランカランと鐘が鳴る。いつ聞いてもこの音は良い。優しい響きでうたた寝してる俺を起こしてくれる。どんな女が嫁に欲しいと聞かれればこの鐘のように気持ちいい声で起こしてくれるような女と答えるだろう。


「やぁ、来たよ…って、あれ…寝てる?」


カウンターの向かい側から落ち着いた透き通った声が聞こえる。

目を開け声の主を見るため顔を上げる。


「あ、よかった起きてくれたねダーリン」


あぁ、なんて理想的なんだろうか…これ程までに俺の心を癒してくれる存在は他にいないだろう。けどもう一つだけこいつに求められるのなら…


「男じゃなくて女だったらなぁ…」

「起きて開口一番に言う事がそれ?!」


この世界じゃ珍しいよくそこらのラノベで見る魔法使いみたいな可愛らしいローブを完璧に着こなす少年。見た目は完全に少女、声は中性的なのも相まって少女としか思えない。しかし、この目で確認させてもらったが、こいつかなり立派♂なモノを持ってやがる。ふざけんな。

話を聞くために対面に座らせて机の上にあった金貨が入った袋を隣に避けた。


「で、わざわざこんな所にまで何の用?ここまで来るってことはそれなりの用事なんだろうけどさ」

「そりゃダーリンに会いたかったからに…」


パリンと店内に大きな音が鳴り響く。瞬間自分の視界は青く包まれていき、青い世界を抜けた先は真っ赤に燃える熔岩湖だった。

あいつの冗談から逃げるためにランダムにテレポートできる結晶を砕いてみたらこの様だ。

しかしまぁ熔岩に落ちる事はいいとして、またランダムな位置で蘇生する自分はどうやって家に帰ろうか

と悩もうとした矢先


見慣れた何時もの景色に世界が切り替わった。


「もぅ、僕から逃げられないなんて身をもって知ってるだろうに」


あぁ、勿論知っていたが、まさかテレポートしたことを無かったことにされるなんて思いもしなかったわ。

あ、こいつは「なかったことにする能力」とかいうチート能力持っってんだ。それで納得いかない過去を何度でもトライ&エラーできるチート野郎だ。


「男からのダーリン呼びには慣れて無くてついついやっちゃっただけだから気にすんな」


「いつも呼んであげてるのにまだ慣れないの?」


もうヤダ誰か助けて。


「そろそろまじめな話に移ろうか」


こんなチート野郎(この世界の住人みんなそうだが)が真面目に悩んでうちにまで来るんだ。かなり厄介な事だろう。

真面目に聞くために身構えると雰囲気を察してくれたのか口を開いた。


「彼氏達が結託して狙ってくるんだけどどうしたらいい?」


そうだった、こいつは自分の姿をいいことに街の男どもを堕としてまわる畜生だって説明も忘れてたわ。なら、俺がこいつに出してやる答えは一つ。


「本日はご来店いただき誠にありがとうございます。現時刻をもって当店は就業時間を迎えましたのでさっさと帰れ馬鹿垂れが」

「そんなこと言わないでくれよ、報酬は弾むからさ」

「…ほぅ?期待していいんだな?」


こんな街外れに店を構えてるんだ。客なんてモノ好きがたまに来る程度だ。やっていけてはいるが売れてる訳でもない。そんな店を経営してるやつが報酬なんて餌を目の前に吊り下げられたら食いつくにきまってる。


「彼氏達を傷つけないように頼むよ?」

「…わかった」

「今の間は何?」


全委員地面の中にでも埋められれば楽なんだけどな…こいつの能力と合わせて危機回避できるようにするか…それとも相手の感情抑制するか。

いや、もういっそ透明に…駄目だこいつだったら犯罪を犯しかねない。


「今失礼なことを考えなかった?」

「どのくらいの人数に狙われてんだ?」

「スルーしたね、けどそういうところ好きだよ。人数はひーふーみーよー…ざっとこんなものかな?」

「10人?結構めんどくせぇな」

「いや、100人だけど」

「……は?」

「いやだから100人って…あれ?僕何かやっちゃいました?」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!馬鹿かお前!なんでそんな…いやまずどうやってそんな人数を…」


何度も言うがこの世界はチーターの集まりだ。こいつが男だと気が付いたらすぐに逃げるか、性別を書き換えるか、封じるなり追い出すなりやりようは幾らでも……


「どうって、いつものトライ&エラーで僕に惚れて堕ちるまで何度でも」


そうだった一筋縄じゃ行かねぇんだこいつ。しかもこの口ぶりから攻めの姿勢はかたくなに崩さねぇのか。

いやどうすんだこれマジで…数人程度なら被害を拡大させずにかわしようがあったが100ともなると…匙を投げたくなる…。


「ほんと困ったものだよ、まさか彼氏達が結託して僕の菊門を狙いに来るなんてさ」

「え?」

「男をとっかえひっかえして浮気しながらどんどん新しい男を作るから反省させるために僕を受けにしようだなんてほんとひどい話だよね」

「…そうだな、ハハッ」


なんだ、命を狙ってるわけじゃないのか。

それなら安心してこいつを渡せるな。


「お前にぴったりのものを思いついた。っとこのピアスを耳に通しときな」

「やった、ありがとう!にしても針だけなんてセンスなくない?」

「試しにつけてみな?」


こいつは納得してないような顔で自前の鏡を取り出して、今渡したピンを耳に取り付けた。

つけると同時にピンの周りが淡い光を出し、ある程度の大きさになると星型と月の形に変わっていった。


「おぉ何これ凄い!可愛い!」

「使用者の能力によって形が変わる代物だ。世界に一つだけのオリジナルだから大切にしてくれよ?あと、それはつけた本人以外は触れられないからな」

「へぇ!凄い、満足だよ!さすがダーリン!はいこれが報酬!」


ドンと目の前に置かれる布袋、音からして鉱石かなんかが塊で入ってるみたいだ。これは後での楽しみにしておこう。それよりも今の楽しみは…


「で、結局これはいったいどういう効果なの?」

「あぁ、それはな?」

「それは?…えっ?!あれ、なんか腕が縛られてるんだけど…?」

「効果をイヤリングに抽出する効果さ、つけてる間は効果が使えないから気をつけろよな?」


俺が言い終えると同時に俺の後ろからラノベ主人公でよく居そうな青年が3人ほど出てくる。そいつらは無表情で縛られたこいつの周りを取り囲み軽々と持ち上げていった。


「また機会があれば買いに来ますね」

「協力してくれてありがとよ」

「今回渡せた金貨、少なくて済みません。今度はちゃんと買いに来ます」


本当に申し訳なさそうに誤ってくる姿を見るとこっちまで申し訳なくなってくる。


「別にいいさ、また買いに来てくれりゃそれで」


「え、ダーリン?ちょっとこの冗談は笑えないんじゃないかなぁ?今だったらみんな笑顔で終われるしこの手錠消してくれない?ねぇ、ちょっと待って話あおうよ、ねぇ待ってみてないで助けてダーリン、ダーリンダァァァァァァァァァァァリィィィィィィィィィィィィィィィンンンンンンンンンン…」


どんどん遠くなっていくアイツの担ぎ上げられて叫ぶ姿はお世辞にも可愛らしいとは言えなかった。

カランカランと扉の閉まる音を聞いてやっぱり嫁にするならアイツだけは無いと改めて思った。

因みに男の娘君は翌日から少し内またで歩くようになったそうな

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