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お嬢様と婚約者と転校生

ーーー気づくまであともう少し

「お嬢様、大丈夫かしら」


廊下から聞こえてくるのはメイドたちの声。心配そうに話しながら部屋を通り過ぎる。

そんなメイドたちの心配の原因であるお嬢様、白石玲香はベッドに潜り込み体を丸めている。


もちろん聞こえていないわけではない。むしろ心配かけて申し訳ないと思っているぐらいだ。ギシッと音をたてながらゆっくりと起き上がる玲香は誰が見ても美しく、整った顔をしている。

サラッとした長い黒髪をゆらゆらと揺らしながらベッドに腰掛ける。


玲香は目をつぶり、最近のことを考えた。


学校でのことをーーー。


私立聖曄学園(せいようがくえん)

日本でも多くの名家の令嬢やご子息が通っている名門のセレブ学園だ。そして私、白石玲香もそこに通っている。

白石家は有名なアパレル会社を経営している家で、私は幼い頃に大きな家の御曹司と婚約した。


東條海里ーーー東條ホールディングスの御曹司である彼が私の婚約者であり、私立聖曄学園の生徒会長だ。


幼い頃からどんな時でも彼の傍にいて育ってきた婚約者であり幼なじみでもある彼。

そして学園でも副会長として生徒会長である彼を支え、周りからも『美男美女のお似合いな2人』と言われているぐらいだった、はずなのに。


それを壊すように1人の少女が転校してきたのだ。


園川梨沙ーーー金持ちでもない、平凡な少女な彼女が全てを壊したのだ。


事の始まりは3ヶ月前。園川さんが転校して来てすぐの頃だろうか。園川さんは中庭で私の婚約者である海里さんのハンカチを拾い、届けた。

素直に届けてくれて「お礼もいらない」という彼女を気に入った彼はそれからよく話すようになって。


「園川梨沙、俺のハンカチをわざわざ届けてくれたんだ」


「初めまして、白石玲香さんですよね」


肩に手を回しながら仲睦まじく目の前に来た2人。

私にも紹介された彼女はボブの髪型でにっこりと可愛い笑顔をする人、そういう印象だった。

普段怖い印象のある海里さんと仲良くなり表情が柔らかくなったと考えてるとズキっとしないわけではないが、これも今だけー、そう思ってたのに。



2人はどんどん仲良くなっていった。

それに他の生徒会メンバーもだ。周りからイケメンと呼ばれている彼らも皆、毎日生徒会室に来る彼女のことをとてもしたっている様子。同じ生徒会である私だけが輪に入れないような。


はぁ⋯と溜息をつきながら廊下を歩いていると目の前には園川さんがいて。


「あ、玲香さん!」


小走りでこちらに来る彼女に微笑みかけながら手を振っていると。


パリーンッ!!


「きゃあっ⋯!」


何かが割れるような音と悲鳴。

私がつぶっていた目を開けると、「⋯っ!」


目の前には割られたガラスの破片の残骸と腕から血を流して座り込む園川さんの姿。私は急いで彼女に駆け寄った。


「⋯っ、園川さんっ!大丈夫ですか!?」


急いで持っているハンカチで彼女の腕を止血し、立つように促せる。そこで騒ぎを聞いた彼らが駆けつけてきた。


「これは一体⋯っ!?」


「何があったんだ玲香!」


「いきなり窓ガラスが割れて⋯、とにかく話しはあとです、彼女を保健室に」


その言葉に誰もが頷くと私が支えていた彼女を海里さんがお姫様抱っこの形で運ぶのだった。


(⋯でも一体誰がこんなことを)


割れたガラスをチラリと見て嫌な予感を覚えながらその場を来た先生達に任せ離れるのだった。




この嫌な予感がすぐに的中するとは知らずにー。

初めまして、yu-kaと申します。

マイペース更新になると思いますがぜひ暖かい目で見ていただけると嬉しいです(*´˘`*)

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