此の物語を貴方に…
〜満月〜
満月が私を照らす中で
貴方と私の出会いを振り返る
他愛ない出会い
ただ、同じクラスになっただけの関係
それでも、私は確実に貴方に惹かれていった
恋を知らず
自分の気持ちが分からず…
その気持ちが恋だと知ったのも
こんな満月の夜だった
何度も駄目だと思って、諦めようとした…
だけど、やっぱり気持ちは正直だった
諦めようとすればするほど
貴方の事を好きになった
まだこの気持ちを打ち明ける事は出来ないけれど
きっと打ち明ける事は無いと思うけれど…
私が貴方を好きっていう事実は無くならない
否、無くなってくれない
ただ、想い続けるだけ
〜風の囁き〜
学校の屋上で耳を澄ます
生徒の笑い声
鳥達の囀り
ボールがバットに当たる音
どこかの教室から聞こえる歌声
それと…
風の囁き
風が何かを言っている
語っている
私には分からない
けれども
私にはこう聞こえるの
「頑張れ」
遠い親友からの言葉かもしれない
遠くから応援しててくれる
十年前からずっと
だから、今は私が応援する
「頑張って」
〜親友〜
君と私を繋ぐもの
それはメール
私は君にメールを打つの
ねぇ…
君は今でも私の事を親友だと思っていてくれていますか?
私はこの八年間
ずっと思ってたよ
辛いことがあっても
泣きたいことがあっても
君との過去を思い出して耐えてた
君とのメールを思い出して笑ってた
もう八年も前なのに
こんなにも鮮明に覚えてる
懐かしくて涙が出てくる
もうすぐ会える…
あと一年…
そう、一年待てば会える
そうして私は一年後の自分達を想像する
ねぇ…
早く会いたいね……
早く……
〜物語〜
始まりの空に並べた
追憶に錆び付いたMELODY
物語を口ずさむ唇
その唇が奏でる物語は
残酷にも優しく…
暗闇で出会った少年と少女
遥か昔の物語
誰にも知られる事は無く
ただ、始まりの空が知るだけ…