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最終列車  作者: PachiNa
1/1

~1両目~”死”

僕はさっきまで家のXXXXにいて・・・

手首に趣味の悪い絆創膏が貼られてる。

それより、ここはどこだ?

やっと出来たと思ったのに。

やれやれだ。


窓の外、内装から察するに電車内だが黒と白を基調とした車内の電車なんて聞いたこともない。

窓の外の景色は黒洞洞たる夜が広がっている。

中吊り広告の文字はよく見えない。


と、まぁ。

僕の現状はこんな感じかな。

ん?

対席に誰かがいる?

顔は眼鏡がないからかよく分からないな。

『君は誰?』

(わたし)の名前は死だよ。」

『変な名前。』

「・・・」


体感では、彼此30分ぐらい夜の中にいるのに外は一向に明るくならない。


『ねぇ、君はこんなところで何をしてるの?』

「ご主人様に”ここで君に質問しろ”と言われてるんだけど。何せ面倒くさくてね。」

『じゃ僕も君も他にすることがないんだから、その質問とやらを聞かせてよ』

「一利も二利も三利もあるね。じゃ、お言葉に甘えて。」


「”死”とは?」


『また難しい質問だね。』

「でないと質問する意味ないだろ。」

『それもそうだな。』

「で、回答は?」

『いきなり言われても、困るな。』

「じゃ、この質問の”死”ってどんなことだと思う?」

『それは”身体的な死”と”精神的な死”のことを言ってるのかな?』

「さぁ、妾たちは”質問だけしろ”と言われてるからね。」

『そうなのか。では、少し待っていてくれ。僕の推測だが、どうせここには時間なんて存在しないんだろ?』

「仕方ない。まとまったら起こせ。」


やはり、この手の問題は世界に五万と溢れてるが、ゆっくり考えると難しいな。

まずは”精神的な死”だと仮定しよう。


それは生きながらでもあり得る凄惨な”死”の形だな。

なるべるそうはなりたくないが、今の世界の現状だと減りそうにはないな。

この場合の”死”は生きる気力を失った上で、自暴自棄になって、世間に忘れられることかな。

あ、でも放浪していて誰にも覚えられてない人もいるだろうし、一概にそうは言えないか。

では、なんだろうか?

何か大切なものを喪失した時?

彼女・家族・居場所・拠り所等々があげられるか。

嗚呼、何かの本で読んだことがある<喪失感からうつ病にならないためにサブの大切なのもを持っておく>

みたいなことだったか。

それは自覚できるな。

<自分は死んだ>と。


では、”身体的な死”はどうだろうか。

これは逃れられないこともある。

物騒な世の中だから何があるかわからないし、いつ殺されるかもわからない。

だからと言って脳死・心停止だけで人は死ぬか。

僕の祖父が死んだ時、僕は死んでなおそこにいるような気がして、涙ひとつ泣き言ひとつ漏らさなかった。

こんな感じに、たとえ骨になって灰になっても”死”とはかけ離れてることもある。


この際、辞書も参考にしてみよう。

<死ぬこと。生物の生命活動が終止すること。>(スーパー大辞林)より

やはり”身体的な死”を表すのか。


・・・・・・・・・・・・・・・

何分経っただろうか?


『死、決まったよ僕の答え。』

「僥倖僥倖。聞かせてくれ君の答えを。」

『”死”は自覚して初めて成立するものだ。』

「ほう。どういうこと?」

『”死”は死ぬ気がないなら生まれない感情だ。』

「そうだね。」

『死ぬ気がないなら生きなくてはね。死んでる暇なんてないさ。』


そう言って僕は笑った。

多分絶対。


「お疲れ。」


窓の外の風景が開け、一面の藪柑子(ヤブコウジ)の花畑が広がっていた。


『あと数分で次の駅に着くよ。もう一回頑張って。』


僕はいつの間にか深い眠りに落ちていた。

嗚呼、死ぬ時に人は意識を失う、眠るときも同様に失うのに死ぬ時より気持ち良いのは・・・zzZZ


目をさますと、電車の中などではなく見慣れた風呂場だった。










あとがき

初めましてPachiNaと言います。

この文章を手に取ってくれてありがとうございます。

さてこれは、筆者の処女作となります。

是も非もあると思います。

でも、誰もこの答えを正解だとは言ってません。

何のどのような題にも明確な答えなどない。

読者それぞれなりの答えを出してください。


最後になりますが、この文章には他の作家さんのオマージュが三箇所あります。

ぜひ探してみてください。

(ヒントは昔の人2人と現代の人1人ですよ。)


それではまた次話でお会いしましょう。

【次は・・・次は・・・XXXX駅】

上記

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