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僕のクラスには校内一有名な美人だけどコミュ障な隣人がいます。  作者: 識原 佳乃
本編後半

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第68話 ダークサイドに堕ちた相田くん

 相田くんダークサイド(笑)に堕ちるの巻。

 僕の目の前にはロッカーの中にすっぽりとハマっている江里さんの姿が。

 助けを求めたいけど自業自得であることを理解しているが故に決して言葉にはしない。


 ……その代わりに目で訴えかけてきてはいるんだけどね。


 まずひとつ。

 江里さんにすることを決めた。


 コミュ障には難関の、ちゃんと言葉にして助けを求めてくるまで放置だ!


 ……僕はなんて鬼畜なのだろうか……。自分で自分の考えが少し怖くなった。


「……えりさんは、僕を驚かせようとして……自分からそこに、入ったんですよね?」

「……ん」


 ロッカーの中に納まった江里さんが何度もコクコクと首を縦に振っている。

 正直かわいすぎるのですぐにでも助け出してあげたかったんだけど、そこはグッと堪えた。


「……それなら、僕は見ながら応援しているので……自力で出てくださいね?」


 渾身の笑顔を浮かべて僕はきっぱりと言い切った。


 罪悪感がもの凄いけど……僕は驚かされた側なのだ。

 いわば被害者。

 ……それなのに被害者が加害者を応援するという謎の構図。どういうことだ一体。


 僕の言葉を受けてしばし呆然としていた江里さんだったが、助けはないと理解して意を決した厳しい表情を湛えて、またもやジタバタを再開した。


 か、かわいすぎる!

 自分で入ったロッカーから出られなくなってジタバタしてる江里さんマジぽんこつかわいいです!


「ん~っ!」かがんで

「…………」

「む~っ!!」背伸びして

「…………」

「むぐぅ~っ!!」身体を捻って

「…………」

「ん゛~~~~っ!!」力任せに出ようとする江里さん


 角度を変えたり、高さを変えたり色々工夫はしているけど一向に抜け出せない江里さん。ここまで抜け出せないともはや神業ならぬ、駄々っ子女神業である。ある種の奇跡と言っても過言ではない。

 僕はそんなジタバタ江里さんをニコニコしながら眺めるだけ。……といってもただ眺めているだけじゃなく、ちゃんと脳内HDDにジタバタ江里さんを記憶するべく全身全霊を捧げて集中している。


「…………うぅ (うぅ)……」


 しばらくジタバタしていた江里さんが急にピタリと動きを止めた。

 それからゆっくりと僕に顔を向けて。

 今にも雫が零れ落ちそうな瞳をこちらに投げて。

 泣き出しそうな表情を一生懸命我慢するように下唇を噛んで。

 ぽつりと呟いた。……そろそろ僕の出番だな!


「…… (そーくん)…… (今日も)…… (猫だった)……」


 そしてガクっと力尽きたようにうなだれた。

 僕もそんな江里さんを見てイスに座ったまま、同じようにうなだれてしまった。


 ……えぇぇぇぇぇぇ!? 最後に言いたかったのそれぇぇぇぇぇぇぇ!?

 そこは普通助けを求めるところだと思うんですけどぉぉぉぉぉぉ!?


 もう見ていられなかったので立ち上がってロッカーの前へ。

 すると僕の気配を察知した江里さんがパッと顔を上げて、キラキラした眼差しをこちらに向けてきた。


「……えりさん」

「……んっ!」

「……頑張って!」

「……ん゛ん゛ん゛ん゛っ!!」ジタバタ


 僕の応援に江里さんが怒ったように唸った。全くもって怖くないので、なんだか警戒モードの子犬にしか見えない。

 ……なので子犬をかわいがるように――江里さんの頭をいきなり撫でててみた。


「頑張って、ください!」ナデナデ


 江里さんの髪はシルクのようにサラリとしていて、逆にこっちが気持ち良くなってしまうような撫で心地だった。

 初めはジタバタしていた江里さんだったけど、悪くないと思ってくれたようで。

 徐々に目を細めて撫でられている感触を確かめるように僕の手に頭を預けてきた。


「……んっ!? …………が、頑張ります!」


 ――あっ! 危ない危ない! 江里さんのあまりの女神っぷりに、いつも通り流されてしまうところだった。


 適当なところで手を離し、気合充分となった江里さんがまたジタバタし始めた。


「……えりさん?」

「……今、集中してるから……待って……」


 何となく江里さんに話しかけてみたらどうやら集中しているご様子。


 ……これは……ふたつめの仕返しをするしかない!


 僕は日ごろ江里さんに散々されていたことがある!


 それは――、


「……えりさん?」ツンツン


 脇腹つつきだ!


 ことあるごとにつつかれて!

 猫だの「きっとキャット」だのとイジられて!

 散々弄ばれてきたのだ!


 ……そのくせ僕が前にやり返した時のあの反応! あんなの反則でしょうが!?


 ……そう。僕はあれから脇腹つつき(この技)は反則だと考えて、一切やり返さないで耐え忍んできたのだ。

 それを今一気に返す! 倍返し? そんなのは甘い! 10倍返しだぁぁぁぁぁぁ!!


(あ……んっ♡) ……そーくん……やぁっ」


 ……あ。

 これ僕が先に死ぬやつだ。


 艶っぽい吐息を漏らして。

 縋るような視線を僕に向ける江里さん。

 滲み出る色香は目を離せなくなるほど魅力的で。

 僕の中で湧き上がる背徳感が堰を切って溢れそうになる。


 ……早い話が、鼻血でそう。


 けどここで引いたらいつもの僕なんだ!

 鼻血!? それがなんだってんだ!

 毒を食らわば皿まで! 今更引くことなんて許されないのだ!




 だって僕はもう――ダークサイドに堕ちてしまったのだから!

 相田くんが次の話で出血多量で死んだら、半田くんに主人公になってもらいます(笑)

 半田くんのお相手となるメインヒロインは、異世界からジャイアントパンダに転生した元女勇者さん(Lvカンスト)です。

 ハチャメチャファンタジー学園ラブコメになりますのでこうご期待ください!(大嘘)

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