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第20話 可愛い100%

「おはようございます相田くん!」


 スポーツテストの翌日。

 教室の引き戸を開けたと同時に江里さんの挨拶が飛び込んできた。

 心なしかいつもより元気というか、上機嫌な気がする。


「おはようございます江里さん」


 挨拶を口にしながら江里さんに視線を向けて違和感に内心で首を傾げた。

 窓際の自席に座る江里さん。

 パッと見た限りではいつも通りの美貌を放っているが、今日は何だか力無く見える。

 具体的に何がとは断言できないけど、江里さんの周りの空気がどこか気怠さを含んでいるのだ。


 挨拶は上機嫌なのに纏う雰囲気はアンニュイ。

 この矛盾は……一体全体江里さんに何があったのか?


「相田くん! 私、今日……1位でした!」


 人差し指をピシっと立てて1位ということをアピールしながら微笑む江里さん。


 おぉう……江里さんが元気一杯でいつもとは違った可愛さが前面に出てきていて焦る僕。


 果たして何が1位だったのか? さすがにコミュ障スキルを駆使しても補完しきれない。

 そもそも江里さんなら大抵の分野で1位な気がするけど……。


「おめでとうございます」


 当たり障りのない言葉を江里さんに送ってから反応を待った。


 ……だが江里さんはそれ以降何が1位だったのかは言わず、微かに聞こえてきたのは――、


(フン) (フン♪)  (フフ) (ーン♪)  (フフフ) (フーン) (⤴♪)


 女神が詠唱する旋律(はなうた)だった。

 少し驚いて顔を向けると、座ったまま身体をゆらゆらと左右に揺らして目を瞑っている江里さん。

 窓から差し込む陽光(スポットライト)も相まって、教室がさながらオペラハウスであるような錯覚に陥った。


 ……えっ!? 何この可愛さ!? 一体何が起きてるんだ!?


 僕は混乱しながらも、今のこの江里さんの状態を冷静に分析した。

 いつもの江里さんを分かりやすく百分率で表すと、


==============

コミュ障25%

天才15%

綺麗15%

美しい13%

神々しい12%

もはや、天使8%

いや、女神8%

もしかして、GOD? 4%

==============


 となるんだけど、今の江里さんは、


==============

可愛い 100% ★NEW★

コミュ障 25%

天才 15%

綺麗 15%

美しい 13%

神々しい 12%

もはや、天使 8%

いや、女神 8%

もしかして、GOD? 4%

==============


 こんな感じだった。


 軽々と百分率を限界突破してくる江里さん。……もしかして本当に(GOD)なのかもしれない。


 なんて僕が胸中でふざけていたら、弾むような声が舞い込んだ。


「相田くんっ! お昼、ごはんっ! ……たのしみ!」


 見れば江里さんが瞳を子供のようにキラキラと輝かせて、小さくガッツポーズをしていた。


 ――ゴファッ!? な、なんてこった!

 江里さんの可愛さがやっぱりどこかおかしいです……このままじゃ僕がキュン死します! お昼ごはん前に天寿を全うしかねません! ……誰か助けて!!

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