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第13話 ははーっ!

 お互いに無言で、周りにいるクラスメイト達も三者三様の表情で一様に沈黙している。

 皆が僕と江里さんに注目しているが故の嫌な静寂(しじま)だった。


 コミュ障は自分に注目が集まることが苦手だ。できれば空気として存在していたくらいなのだ。


 だから僕はなんとかしてこの場を乗り切るために、即興の言い訳を考えた。


「かわいい……川沿いが……いいです」

「……はい」


 無理矢理にも程がある誤魔化し方だったけど普段会話を補完してくれていた“江里さんは”納得してくれたようで、いつもより少し硬い表情でこくりと頷いてくれた。


「ちょっ!! えっ!?」

「江里様がお話しになられたぞ!」

「江里さんと相田ってそんな仲だったの!?」

「マジ!?」

「詳しく!」

「詳細はよ!」

「メシ食ってる場合じゃねぇっ!」

「笹食ってる場合じゃねぇっ!」


 だが僕を待っていたのは当然ともいうべきクラスメイト達からの質問の嵐だった。……パンダが紛れてる気がするけど。

 人垣が幾重にも形成されて江里さんの姿も見えなくなってしまった。


 皆江里さんに気軽に質問できないのは分かるんだけど、集まり過ぎでしょ。他のクラスの人もいるじゃん……。


「……相田くん……ごはん」


 僕が何も言えずに苦笑いを浮かべていたら、突然人垣が割れてその先に江里さんが現れた。よく見ると微かに頬が膨らんでいる気がする。江里さんのその表情は正直反則だと思う。

 モーゼが海を割ったように、ふくれっ面の江里さんは人垣を割る能力も備えているようだ。


「……ごはん…… (相田くんと)……ごはん…… (食べたい)


 江里さんが「ごはん」と呟きながら割れた人垣の合間を悠然と歩み出した。

 一歩江里さんが歩みを進めると人垣も一歩後退し、徐々に道は広がっていく。……なんだこの一体感。皆ノリ良過ぎない?


 そしてゆったりと僕の目の前に来た江里さんが上目遣いで一言。


「……ごはん」

「……はい」


 やばい、僕のハートにダイレクトアタック! こうかはばつぐんだ!


 僕に許された選択肢は肯定以外に存在しない。世が世ならば「ははーっ!」と言いながらひれ伏していたと思う。

 皆もそれを理解したのか、今度は誰も言葉を発しなかった。……それどころか江里さんに向かって跪いてる人すらいた。いや、だからノリ良過ぎない?


 ――そして僕は江里さんに付き従う侍従の如く、川沿いに向かって歩みを進めるその背を追いかけることになった。

 今作のキャラの元となった子達が活躍する私の別作品

『元中二病患者の俺がちょっとした心理学を駆使した結果、何故か学園一の美女と協定を結ぶハメになったんだが……』

 もつい先ほど更新いたしました。という宣伝でした。以上!

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9月30日双葉社様から発売です!
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