表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/23

力を使わずに王国を生き延びる 5

 2日目。


 今日も魔法の授業から始まる。


 俺は安定して寝ている。


 そりゃ魔法なんて使えないからな。


俺がこの世界で強くなるためには魔法の対策は必須だなので、何かしら聞いていたら魔法の弱点などがわかると思うので寝ながら聞くようにする。

3人が魔法を発動するところだけ俺は起きて見してもらい、弱点を探している。



今日わかったことは、魔法を発動するのにはイメージと詠唱が大切なので、発動する時に大きな隙が生じることだ。

初級魔法ならそうでもないが上級魔法ともなれば発動するのに必要なイメージも詠唱も極端に増える。


その隙を上手く利用すれば俺が勝てる可能性はあるということだな。



 2日目にして3人は初級魔法を使ってる。


 常人なら何ヶ月も魔力操作を練習してやっと初級魔法なのだけど、スキル “成長 1” があるため上達するのは早いらしい。


 まだ初級魔法を無詠唱で発動できるわけでもないし、安定してできるわけでもないからまだ練習が必要とのことだ。


俺にしてみればできるだけ幸せだと思ってほしいな。



 その後は地理だった。


 これも魔女っぽいお婆さんが授業してくれるらしい。


 この世界には大陸が一つだけしかなく、大きく2つに分かれている。


 1つは人間や亜人族などの人族が住む人間領、2つ目は魔族領と呼ばれていて、魔族が住んでいるらしい。


 亜人族はエルフ族や獣族やドワーフ族などいるらしい。


 悠馬が「猫耳……やっぱり猫耳がいるのか…………」とか気持ち悪いことを言っていたが気にしない。


 大陸の大きさはかなり大きくて西の端から東の端まで歩いて移動するのに1年くらいかかる。


 1日に20kmだとしたら365日で7300kmだな。


 この大陸は長方形型なので北の端と南の端はその半分の3600kmほど。


 人間領は大陸の5分4であり、魔族領は東側に追いやられている。



 そして人間領には大きな国が3つある。


 東の国 アーカディス王国

 中央の国 ハルバーダ帝国

 西の国 タイムルド魔法国


 他にも小さな国が幾つかあるがありすぎて覚えてない。


 ここが東の国ってことは、魔族領に一番近いわけか。


 地理はこのぐらいで終了。


 また昼飯を4人で食べて、訓練を始める。


 メニューは昨日と同じでただ剣を振るだけだけど、なかなか楽しかった。



 ★


 2日目の晩飯。


 悠馬たちは今、秋抜きの3人で集まって作戦会議をしてながら飯を食べている。


 ちなみに少し秋の時間とずらしているため、ここに来るとこはないはすだ。


「莉子、異世界に来てからどうだ?」


「う〜ん、初日に一緒に朝ごはん食べた以来は特にないかな」


「あまり2人きりになれる所も時間もすくないものね。秋前とは比べ物にならないほど頑張ってるし」


 確かに時間がない。


 最近は授業やら訓練で忙しいのに加えて、秋があり得ないほど頑張っている。


 あいつの性格上、今だけ頑張って後から楽する作戦だろうけどな。


 けど、このままじゃ秋と莉子の関係は進まない。


「やっぱり告白したら?」


「こここここ告白!! ま、まだ早いよ! しかも断られた後のことを考えると………」


『告白』という単語を聞き莉子の顔が真っ赤になる。


「いやいや、あいつも結構満更でもないぞ」


 この事は2人にはいってないが、異世界に来る前に莉子のことをどう思っているのか聞いたことがある。


 その時の返答は……


『そりゃ素直で可愛いし、なんで俺の友達なんてやってんの?って感じだな』


 この返答を聞く限りは秋は自分自身の評価がものすごく低い。


「あいつ自分自身の評価が低いんだよ。だから莉子が俺の事を好きなわけないって思ってるわけで」


「そうなの? ただ鈍感すぎるだけだと思ってたけど」


「そんな事ない。あいつは1年生の時に告白された事あるけど、普通に告白される前から気づいてたからな」


 これも懐かしい思い出だ。


 あいつが一年生の頃に普通に学年ででトップ5にはいるぐらいの可愛さを持つ女の子が秋に告白した事があった。


 その事について後々聞いてみると、好意には気づいていたらしい。


 その子もアプローチをいろいろかけていたかららしいからな。


 莉子も結構アプローチをかけてはいるが、莉子が可愛すぎるので、自分とは釣り合わないと秋は考えてるんだと思う。


「そ、そうなの!? もももしかしてOKしちゃった?」


「うぉっ!」


 普段の莉子からは想像できないほどの声の大きさで驚いてしまう。


 本当に秋の事になるとすぐ我を忘れるな。


「あ、あいつがOKするわけないだろ? 」


「あっご、ごめん。取り乱しちゃった」


「それにしても変な話よねぇ。あいつ私から見ても普通にかっこいい顔だし、テストは時より上位入ってるし、運動はそこそこだからモテると思うからそこまで過小評価することもないのに」


 確かにそうだ。


 高校に入ってからは告白された事はさっき話した1回しかないって言ってた。


 告白されるだけ結構自信持っていいような気がする。


 しかも彼女いない歴=年齢 って言ったから中学の時もいなかったのだろう。


「まぁ後で秋に直接聞いてみるか」



「ん?俺に何を聞くって?」


 ★


 訓練も終わり、部屋でだらだらしているとあっという間に夕食の時間になった。


 いつもと少し早いが、特に問題はないだろう。


 さて、みんなで飯にいくか。


 部屋を出て、隣にある悠馬の部屋がある。


 そのドアをノックする。


 コンコンッ


 返事がない。


ん? いない? ったく、俺抜きで飯食いに行ったのか?


 まぁいいや、さっさと向かおう。


ありゃ?


 食堂に着くと、3人がすでに飯を食っていた。


俺を置いてくなんてひどいな。


「まぁ後で秋に直接聞いてみるか」


「ん?俺に何を聞くって?」


 俺が声をかけた瞬間3人がビクッと肩を震わせた。


なんだこいつら。


「あ、秋か早いなお前」


「腹減ったからな。それでなに?俺に聞きたい事って」


(しゃーない、ここは正直にいこう)


「あ、あぁ。それはなぁ、お前がなんでそんなに自分自身の事を過小評価なのか気になってな」


「過小評価?? 俺が?」


 うんっと3人が頷く。


「あなたはっきり言ってそこそこモテるわよ」


「え? そうなの? てっきりモテないと思ってたけど」


 中学の頃なんて告白された事なんてないし、高校に入ってからは1回だけあったな。


あの子も莉子ほどではないが、結構可愛かった気がする。


「なんでそんなになったんだ?」


 なんでと言われてもな………でもあれの所為だと思う。


「あぁ、あれは小学校の頃だったかーーーー」


 小学校の頃。


 俺は相変わらず授業を寝ていた。


 そして同じクラスに一人の女の子がいたんだ。


 そいつは根っからのお嬢様でかなりわがままで面倒だった。


 いつも俺がテストが満点でそいつが肝心なところでミスをして99点だった。


 授業を全部寝ていて満点を取る俺にイラついたのか、俺に物凄く嫌味を言うようになったのだ。


 それが彼女だけなら問題はなかったのだが、そいつの仲のいい友達まで俺の事をグチグチ言うようになった。


 小学校の頃のメンタルでは当然対きれずに、手は出していないが口で反抗する事が多くなった。


 そいつは俺が反抗したらすぐ泣いてしまって、先生を呼び先生は俺を叱った。


 それにより、学校では俺の事をクズ呼ばわりされるようになった。


 おまけに小学生の俺は植物大好き人間だったから、変人扱いされていたこともある。


 それが6年間も続いたのでいつのまにか秋の思考は


 俺=クズ


 となったわけだ。


「ーーーってのが理由かな」


「「「…………」」」


 なぜか3人の顔が暗くなる。


「ん?なんも思ってないから気にすんなよ」


 おかげでメンタルを強化できたしな


 今になってはそれも思い出だ。


「小学校の頃は全部満点って言ってたけど。秋ってなんでいっつも前期だけテスト上位なの? やっぱり隠れて勉強してる?」


「いや、家ではした事ない」


 3人がポカンとくちを開ける。


「嘘つけ!そんなんで点数取れるわけねぇだろ!」


「え? 本当に? 秋君?」


「だいたい教科書ぱらーと見ればわかるだろ。テストも小学校の頃が若干トラウマで数問わざと間違えてるし。あと前期だけ点数取ってるのは後期らくしたいからだ」


「「「…………」」」

 3人が絶句する。


「じゃあ問題。1934×967=?」


「………1870178」


 こんぐらいならすぐできるな。


「あってるの?」


「いや、わからん。少し待て……」


わからん問題を出すなよ。


 悠馬が紙と鉛筆を取り出して計算する。


「あ、あってる」


 そりゃそうだ。


「お前って凄いやつだったんだなぁ」


「秋君……すごい」


「まさかこんなに頭がいいなんてね」


 そりゃこっちのセリフだと思う。


 悠馬は空手の全国大会のベスト8で零は剣道の全国大会のベスト4。莉子は学校1の美少女で全国の女子高校生の中で一番可愛いとネットで話題なったほどだ。


 こんな凄いやつらとなんで友達なのか未だにわからない。


ってこれが過小評価なのか?



 その後もいろいろ問題を出されるが、全部答える事ができた。




 

次話は明後日です。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ