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力を使わずに王国を生き延びる 4

 莉子と別れた後は、部屋でゴロゴロして過ごした。


 9時。


 全員41名が一つの部屋の中に集められた。


 壁にはなんと黒板がある。


 実は過去に来た勇者が日本のいろんなものを伝えたため、便利なものが増えたという。


 それにしてもせっかくの異世界なのにまた学校みたいなことをしなければいけないことに絶望しか感じない。


 地理とか一番知識とかは必要だろうけど起きてるのは面倒だ。


 そうだ、睡眠学習を極めた俺が起きているという選択はない。


 うん、今日は寝よう。


 そう決心して、10人ぐらい座れる長机の1番右にある席に着く。


 すると、横に莉子が座り、前には悠馬、左斜め前に零が座った。


「秋は今日も寝る気か?」


「そうだな。ま、寝ててもなんとかなるだろ」


「それ秋だけだと思うんだけど」


「細かいことは気にすんな」



 説明は寝て、実際に魔法を使う時だけ起きるスタイルで行こう。


 暫くすると、年配の婆さんが入ってきた。


 身長は低くて、魔法使いっぽいローブを着ている。


(いかにも魔女って感じだな)


「こんにちは、私は今日からみなさんに魔法を教えるソーバ・ウドンと言います。これからよろしくお願いしますね」


蕎麦うどん?

どっちだよ。

ちなみに俺は蕎麦派だ。


「ではさっそく魔法の講義にはいらせていただきます。」


「いぇえええ!!」


「ヒュヒューー」


「よっしゃああああ!!」


 なんかみんなのテンションが異様に高い。

 念願の魔法がやっと使えるのだかそりゃそうだと思う。

 俺はいつも通りのテンションだ。


「では魔法とはなにか、から始めさせ頂きます。」

 

 そこからは眠いとしか言えないほどの長い話が始まった。

 誰が最初に使ったやら、魔法を見つけた人の人生やら

 はっきり言って無駄だった。


 ということで重要な部分を簡単にまとめよう。


 ・属性について



 魔法には属性がある。

 主な属性はこの7つだ。

 火、水、風、土、無、光、闇

 その他に

 氷、雷、空間、結界、その他

 がある。


 光と闇は使える人が極端に少ないが、最初の7つは比較的一般人でも使えることができる。


 その他の4つは特殊な魔法で。

 生まれつき持ったスキルか、適正がある場合しか使うことができない。

 その他の中にはこの前の忍者君のように影魔法がある。


 ・階級について


 次に魔法には階級がある。


 初級魔法

 中級魔法

 上級魔法

 英雄魔法

 神級魔法


 の五段階だ。



 ・魔法の発動について


 魔法とは、体内にある魔力をそれぞれの属性に変換するらしい。

 詳しいことはまだわかってないそうだ。


 最後にその変換の仕方。

 やっぱり詠唱というものが必要らしい。


 イメージが得意な人がいれば詠唱破棄や無詠唱ができるらしいが、上位の魔法になればなるほど安定するのが難しくなるので初級魔法を無詠唱で発動することは容易いが、上級魔法までいくとかなり難しいそうだ。


 ちなみにみんなが持っている無属性魔法は身体強化魔法とやらが使えるらしい。


 名前の通り、身体の至る所を強化する魔法だ。


 ただでさえ剣術で頑張らなきゃいけない俺に追い打ちをかけていくのでまた泣きたくなってきた。


 ちなみに魔力を持たない人間はいないらしい。


「みなさん。魔法には十分気をつけてください。魔法の威力を間違えれば、簡単に人を殺してしまいます。

 ですから、まずは魔力操作を覚えましょう」


「「「「はい!」」」」


 みんなのやる気がすごい。


俺もスキルは覚えられないが、頑張ってみよう。



「まず、自分の身体全体の血液を意識してみてください。上手くいったら、血液以外に何か感じるかもしれません。うまくできたら、手に集めてみましょう」


 よし、やってやるか。

 まずは、身体に流れている血液を意識して…………


「お!これが魔力か?」


「なんか変な感じがするわね」


「す、すごいこれ」


 こいつらはさっそくコツを掴んだようだ。


 莉子に関しては最初から魔力操作を覚えているから当然だろうけど。


 それにしても……何も感じられないんだけど?


 いろいろ試行錯誤しても一向に魔力なるものを感じられない。


 気づけば俺以外の全員が手に集めるところまでいっていた。


「あの〜まったくできないんですけど」


「わかりました。では、少し失礼しますね………」


 と言って、俺の手を掴む。


「………あなた」


「はい」


「魔力がありません」


「はい?」


 部屋全体が静まった。


 さっきの説明で魔力を持たない人間はいないとか言ってなかったか?


 まさかスキルを入手することはできないといっても、魔力自体がないとは思わなかった。



 スキルはある基準に到達したら入手できるのでその手前までいけると思っていた俺がバカだった。



「「「「あははははっ!!」」」」


 俺を含めた5人以外のクラスメイトが笑う。


「大丈夫だ。秋君、莉子は僕が守るから安心しなよ。」


 とイケメン野郎が言ってくる。


 相変わらず何言ってるのかわからない。


「あははっはは、いやーこれだから雑魚は!」


「おれ達と同じクラスだったか? お前」


 あー雑音が聞こえてくる。


 まぁここでおれの力を教えてもいいのだけど、なんも異世界で収穫できてないためまったく意味ないか。


 とりあえず寝るか。


 ★


 俺は特技として、寝ながら授業を聞くことができる。


 小学校6年間でようやく手に入れた特技だ。


 この特技で午前の授業は全部寝た。


 そして昼飯を食べ終えて、武器を使った訓練だ。


 今は城の中にある屋外の訓練所に来ている。


 やっと俺が他の人よりも少しだけできる剣術が来た。


 この訓練を教えてくれる人は


「騎士団長のザベスだ」


 まさかの騎士団長だ。


 筋肉モリモリに顔に傷がついている。怖い。


「まずは、それぞれの武器を持ってくれ!

 魔法使いもちゃんと武器を持てよ、魔法だけ使えても近寄られちゃただの役立たずだ」


「「「「はい!」」」」


 秋は他の3人と一緒に一箇所に集められている武器を取りに行く。


 俺と零は一般的な片手剣をとる。

 悠馬はナックルダスターみたいなもの。

 莉子はダガーだ。


 みんな武器を選び終えてさっそく訓練を開始する。


 まずは走り込みだ。

 この訓練所は城の中にあるにもかかわらずかなり広い。

 学校のグランドの半分ぐらいあるところを30周する。


 まぁ基本体力は大事なのでこれが普通だと思う。


 30周走り終えた。


 みんなら異世界に来て身体能力が底上げされても、体力まではついていないためかなり苦しそうだ。


 俺はそこまで息が上がっていない。


 あきはスキル獲得不可能でスキルは獲得できないので、その代わりに身体能力も体力も上がっているのかもしれない。


 まぁスキル獲得できないなら、そんぐらいあっても不思議じゃない。


 無事に30周終わり、ほんの少しだけ休憩して次は素振りが始まった。


「そこ! 脇をもう少し閉めて」


 と指摘されてる……こいつの名前は忘れた。


「お前の剣術は綺麗だな」


 と褒めてもらった零。


「お前も言うことはないな」


 よし。この世界に来て初めて褒められた気がする。


 なんか影に隠れてイケメン野郎を見ている王女様がいるがどうでもいいか



 この後も永遠と素振りをして3時間の訓練は終わった。



「おつかれさん」


 と訓練所の脇で休憩していた3人に声をかける


「お疲れ様。もうくたくただよ〜」


「本当にハードだったな」


「私はそうでもなかったけどね」


 零は剣道部だし、このぐらいは普通なのか。


「けど体は軽いし、イメージ通りに行くし結構楽しいけどな」


 実際その通りだ。元の世界とはまったく違う動きがこの世界ではできるようになっていた。


 俺も訓練は結構楽しかった。



 ★


「そういえば勇者の中に1人落ちこぼれがいるらしいな」


 そう言葉を放ったのは、アーカディス王国の国王ブロスタム・アーカディス様だ。


「はい。なんと剣術スキルしか使えないクズです」


 なんとしてでもあいつをこの国から出さなければならない。


 あんな落ちこぼれが俺様と同じ王城にいることが腹立たしい。


 獣族がこの城にいるようなものだ。


 そして、そう言ったのはこの国の大臣である俺だ。


「そのような落ちこぼれの勇者がこの国に居てはならん。殺すことはできないのか?」


「すみません国王様。今はよろしくないかと」


「罪を魔族になすりつけてもか?」


「はい。今は殺してしまえば、他の勇者達は恐怖してまともに戦うことができなくなるかもしれません」


「なるほど……それなら、転移の魔石を使うことを許可しよう」


 まさか転移の魔石をつかってもいいとは!


 くっくっく……いいことを思いついた。


 あの森に転移させよう。


 あのクズには地獄よりも辛い思いをさせてやる。


「はっ!では、あの森に転移させて魔族がやったことにしましょう」



「そうだな。後は任せたぞ」


「かしこまりました」


 くっくっく、念入りに計画を練らなければな。



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