神の力を使って森を生き抜く 5
まだ完結しません。
これからもよろしくお願いします。
早くも1ヶ月が経った。
この1ヶ月間で俺は身体を強化することを中心に地獄の訓練してきた。
たまに弱い魔物を倒すが、狼の魔物よりも強い魔物は倒していない。
そろそろ倒す予定だけど、その前に新しい武器を開発しようと思う。
開発と言ってもいいのかわからないが、この前作った剣に力を与えると言っほうがいい。
そのために俺は拠点から3時間ほど離れた場所に来ている。
「相変わらず凄い毒だな」
そう、ここは毒が常に充満している。
俺が平気そうにしているのは、この毒が植物によるものだからだ。
一度俺はここに来たが念のために持っておいた解毒ポーションが少なかったため、一度は諦めた。
ちなみにポーションはこの1ヶ月で数え切れないほど作って、地下室に保管している。
兎も角、俺はここにある植物が剣に使えないかと思って再びきたわけだ。
「……いくか」
充満している毒が効かない時点で大丈夫なはずなのだが、やっぱり怖い。
しばらく歩いていると、毒がどんどん濃くなっていく。
そして、俺はある場所に着いた。
真ん中に木があり、その周りの池は謎の液体で満たされている。
「これが原因だな」
今も木からは毒が出続けているからこの池はあの木によってできてしまったものだろう。
俺は影響を受けないはずなので、あの木の下に行くことにした。
そこらへんに何故か落ちていた魔物の骨を謎の液体に投げ入れる。
すると
ーーーージュゥウウ
「完全に溶けたな」
この毒はなんでも溶かすらしい。
「大丈夫だ、これは植物によって生み出された毒だ」
と自分に言い聞かせながら恐る恐る謎の液体に触ってみる。
「お、案外さらさらしてるな」
ドロドロして気持ち悪いかと思ったら、水みたいにさらさらしていた。
そんなことはどうでもよくて、やっぱり俺には影響を与えなかったみたいだな。
俺は服を脱ぎ、毒の沼に入る。
「ん、ちょっと冷たいな」
どうでもいい感想を述べながら中心にある木まで泳ぐ。
近くまで行くと、その植物の情報が見れた。
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【毒木】
《神に選ばれた木》
様々な毒を出す
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これも変異種だったらしい。
やっぱり書いてある文章が短い。
「やるか」
俺は一本の剣を取り出す。
この剣は斬れ味を上げた剣ではなく、他の二本の内の一本だ。
その剣を左手に持ち、毒木を右手で触りながらイメージする。
俺は植物を合成する力を使った。
ここ1ヶ月で合成についてわかったことがある。
合成は俺の想像通りに変化することが可能ということだ。
ジャガイモと人参を合成してみたとしよう。
出来上がる物体の色や大き、味などをどのようにするかを俺の想像通りにできるのだ。
味をジャガイモのようにすることもできるし、色を茶色やオレンジ、または茶色とオレンジが混ざったような色にもできる。
だが、当然のように限度はある。
ジャガイモと人参を合成して、虹色にはできないし、味をカレーにするのは無理だ。
だが、再現不可能な想像をした時は植物の判断で出来る限り想像した通りに近づけてくれる。
なので、俺が常時毒を出し続けるような剣を想像をして、植物があるできると判断したならば、想像通りにできる。
できないようなら、時々毒が出るような剣になるわけだ。
俺の考えた通りに剣ができがあるなら伝説級の剣ができるに違いない。
この場合《神に選ばれた木》という共通点があるため、どのような剣が出来るか俺にもわからない。
期待に胸を膨らませながら目を開けるとそこには、紫色の柄をした木刀があった。
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【毒姫(剣)】
《植物の王》によって作られた剣。
・死滅毒
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「毒姫か……」
死滅毒というのはこの木から出ていた毒のことだろう。
試しに魔物を斬りつけてみるか。
俺は毒沼から出て魔物を探す。
この森にはかなりの数の魔物がいるのであたり手間はかからない。
俺は毒で汚染されている区域から出て3分後に蛇の魔物と遭遇することができた。
敵の強さが大体わかるようになってきたが、この魔物は最初に戦った狼の魔物よりも少し強い程度だろう。
相変わらず知能が低いためか、蛇の魔物は毒っぽいものを出しながら俺に突進してくる。
俺はその蛇から出された赤い毒っぽいものを剣で斬りつけて、防御する。
俺は蛇の移動速度よりも速く動き、蛇の魔物は反応できずに斬りつけられた。
今の斬撃には毒を使用していない。
ちゃんと毒を使用しない状態でも斬れるか確かめてみたかったのだ。
だがすでにその一撃で、蛇は瀕死状態になっていた。
「んじゃさよなら」
俺は死滅毒を剣に纏うことをイメージしながら蛇の魔物を少しだけ斬る。
すると蛇の魔物は綺麗に斬れるのではなく、傷口が溶けてた。
その傷口からどんどん広がるように蛇の魔物の身体が溶けていき、最後には魔石しか残らなかった。
「…………………」
ここまでバカみたいなのを作れるとは思いもしなかった。
この死滅毒を使っても戦闘訓練にならないから、危険な時以外封印しよう。
俺は少し呆れて【毒姫】を見る。
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【毒姫(剣)】
《植物の王》によって作られた剣。
・死滅毒
・炎毒
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ん? 何か増えてないか?
…………あっ、あれか!
これはあの蛇の魔物が出したの毒だったみたいだな。
なんとこの剣は毒を複数使用できるらしい。
俺が想像していた剣とは違う。
どうやら《神に選ばれた木》というのはかなりの規格外らしい。
俺の想像のさらに上をいって、植物が再現できる能力を最大限引き出してくれている。
死滅毒だけだったら使い道がほとんどなかったからとても嬉しい力だ。
「もしかしたらあれもできるのか?」
手に4種類の草を生み出した。
その草と【毒姫】を合成する。
うん、やっぱり相性は抜群だ。
合成し終わり、再び剣を見てみると……
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【毒姫(剣)】
《植物の王》によって作られた剣。
・死滅毒
・炎毒
・麻痺毒
・睡眠毒
・酔毒
・幻覚毒
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よし、これでかなり使い勝手がよくなったな。
麻痺毒は麻痺草から
睡眠毒は睡眠草から
酔毒は酔草から
幻覚毒は幻覚草から
俺がこの1ヶ月で見つけてきた毒草だ。
上手く出来すぎて気分が良くなったから、もう一つの剣でも作りに行くか。
俺は植物たちにあそこに案内してくれと言うと、一本道が出来る。
一本道を通っていると俺が一本道を作らなければ通れないほど、草や木が多くなってきた。
そこからもどんどん増えていく植物を見ながら歩いていると、一本の大きい木が現れた。
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【生命の木】
神に選ばれた木。
命が芽生える。
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たったこれだけの情報しかなかったが、俺には大体わかる。
この木の近くに存在する植物は、力に満ち溢れ、新たな命をいくつも生み出す。
俺のイメージ通りになったら間違いなくさっきの剣を超えるものになるはずだ。
さっきと同じように右手に剣を取り出し、左手で【生命の木】に触る。
そして、合成の力を発動する。
しばらくして、目を開けるとそこには緑色をした柄の木刀があった。
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【命姫(剣)】
《植物の王》によって作られた剣。
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「命姫か」
この情報だけじゃどんな力を持っているのか分からないが、俺が考えた力であって欲しいと思う。
ちょうど俺の近くに狼の魔物がいたのでそいつを俺の考えた通りになるように斬る。
斬られた魔物は10秒ほど苦しんで、動かなくなってしまった。
失敗か?と思った途端、狼の魔物は動き出した。
動いても俺を攻撃するような気配はなく、逆に俺に服従のポーズをしているようだ。
「よし!」
思わず喜びの声をあげてしまった。
何故なら、俺にはある物が見えていたからだ。
それは……
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【ウルフジェネラル(植物化)】
スキル
・雷魔法 5
・身体強化 (獣) 7
・超反応 3
・威嚇 4
・跳撃(爪) 6
・加速 4
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俺が考えた通りなら、斬ると同時に傷から植物が体内に入り込んで、植物が乗っ取るのが【命姫】の能力だ。
これで俺に従う配下ができるし、相手の強さのスキルを把握することもできる。
その後も何匹か植物化してみた結果以下のことがわかった。
植物扱いなので俺の身体に収納可能だということ。
知能は魔物を受け継いでおり、魔物の知能が高ければ高いほど細かい作業をできるようになるということ。
同時に二つ欠点が判明した。
一つ、死んでいる魔物には植物化できない。
詳しくはわからないけど、魔物が死んでいる状態で斬ってもなにも起こらなかった。
二つ、経験値が入らない。
完全に倒したわけではないため経験値が入らないのだ。強い魔物を配下にしたい気持ちはあるが、経験値が入らないのであれば少し考えて使う必要がある。
今のところこのぐらいだ。
欠点があるにしろかなり凄い剣を作ってしまったものだ。
次の投稿は明後日です。
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