神の力を使って森を生き抜く 4
前の話に出てきた百日草の花言葉は“遠い共を思う ” や “注意を怠るな” というのがあります。
この森に来て2日が経った。
一昨日は運命を変える発熱草を見つけて、昨日は訓練三昧だった。
本当は昨日に水を出す植物を見つけたかったが、自分で考えた訓練が辛すぎてそれどころではなかった。
この世界に来て身体が強化されているため今までは筋肉痛になったことはなかったが、今は当然筋肉痛で歩いている時もかなり痛い。
超回復のための時間を作る為、2日間は訓練を休むことにした。
時間が勿体無いような気がするが、ここの生活を安定させて訓練に集中できる時間を増やした方がいいだろう。
今日は水を出す植物を見つけることを目標にして、川の上流に向かって歩き出す。
朝飯代わりにトマトと、発熱草を使って茹でたジャガイモを食べながら移動する。
最初に戦った魔物より強い魔物は追い返すように植物たちに言っている。
経験値を得るためではなく、肉が食べたいからだ。
俺は野菜が大好きなのだが、肉も同じくらい大好きなので、魔物の肉を食べたいが昨日から一向に魔物がやってこない。
要するにここには上級以上の魔物しかいないわけだな。
最初に戦った狼の魔物で一番弱いのならば、それ以上の経験値を俺はいくらでも得られることになる。
だが今の状況でもう一回狼の魔物を倒したならば気絶するようなことはないが、それ以上の魔物を今倒すのは自殺行為に等しい。
なぜなら狼の魔物との戦闘の様に、相手が動く前に植物で動きを止めて殺す。
という戦法は相手の強さがわからないので本当に危険だからだ。
さっさと身体を鍛えて経験値を吸収したいものだ。
それまでは肉を我慢しよう。
お、また見たことがない草があった。
見た目は黄色で毒がありそうだ。
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【麻痺草(高級)】
適温 0度〜30度
魔素が比較的多い場所に存在する。
効果
この草から出る汁に触れたら麻痺状態にになり、身体が動かなくなる。
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どうやら麻痺毒があるらしい。
これは魔物に使えるかもしれないから触っておこう。
その他にも川の上流に向かって歩いていると色々な植物を発見した。
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【睡眠草(高級)】
適温 0度〜30度
魔素が比較的多い場所に存在する。
効果
この草から出る汁に触れたら寝る。
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これも魔物に上手く使ったらかなり強い。
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【解毒草(高級)】
適温 0度〜30度
魔素が比較的多い場所に存在する。
効果
ポーションにして飲む→全ての毒を消し去る。
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魔物に毒を使うやつがいた時が心配だったが、これさえあれば問題ないだろう。
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【ツルノオウ(高級)】
適温 0度〜30度
魔素が比較的多い場所に存在する。
蔓を自由自在に動かすことができるため、よく魔物と間違われる。
効果
なし。
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かなり使いやすい植物だ。
魔物の動きを止めるのに最適な植物だろう。
その後も何種類か植物を見つけ、水が湧き出ているところに到着した。
「凄いな……」
凄いとしか言いようがなかった。
透き通った水が溜まっており、湖となっている。
周りに木がないため、太陽の光が水をさらに輝かせている。
底の地面まではっきりと見えており、上から見たら水が存在するのかどうかわからないだろう。
「さて、ここにお目当てのものは……」
まずは水底にある草を植物鑑定してみる。
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【水草(高級)】
適温 10度〜40度
魔素が溶け込んだ水に多く存在する。
効果
水を綺麗にする。
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目当てのものじゃなかったけど、これも是非欲しい。
俺は誰もいないことをいいことに全裸になり、湖の中に入る。
水の温度は特に感じないため、この水は植物によって生み出されているということになる。
俺は水草があるところまでいくと水の中に潜り、触る。
「もっと奥まで行ってみるか」
俺の植物鑑定ができる範囲は以外と狭い。
ここの湖は結構広いため中心の草は植物鑑定できないので奥まで泳ぐことにした。
暫く泳いていると、一際大きい水草を見つけた。
「お、これは……」
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【発水草(高級)】
適温 0度〜40度
魔素が多い場所に存在する。
効果
魔力を通すか魔素を吸うことにより水を出す。
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「よっしゃ」
この【発水草(高級)】で水を出して、【水草(高級)】で綺麗にしていたわけだな。
これでシャワーも作れるし、いちいち水を汲まなくてもよくなった。
トイレも頑張れば作れるだろう。
水の温度は感じなくても外で裸の状態なので少し寒い。
湖から素早く出て、生み出した発熱草を身体に当てて暖かくする。
「ふぅ。今日の目標はあっさり終わったな」
まだ昼にもなっていない。久しぶりに明るい場所に出られたからここでのんびりするのもいいと思う。
どうせなら明日見つけようとしていた植物を探そうか。
あ、太陽の光と言えば夜になると真っ暗になるのをなんとかしたいなぁ。
夜になると月っぽいものはあるが、それだけじゃ家の中まで明るくはならない。
夜ご飯を食べる時も、風呂に入っている時も暗い。
今は発熱草を燃やして明るくしているが、ちゃんとした光を欲しいと思う。
さすがに光を発する草なんてないと思うけどな。
そして明日探そうとしてた植物だが、それはいい木刀となる木だ。
俺がそこらへんにある木を“変化させる力”で成長させることがてきる。
普通に成長した木よりは俺が成長させたほうが圧倒的にいいものができる。
だが、稀にそうでないものがある。
例えば世界樹と呼ばれるものだ。
または成長している過程で何か刺激が入り、変異種と呼ばれるものができたりする。
俺はそれを探しに行こうとしているわけだ。
それを探す方法はとても簡単だが、距離が遠いかもしれないので明日にしようと思っていたのだ。
「変異種のところへ案内してくれ」
ーーーーザワザワザワザワ
隙間なくあった木が避けて、一本の道ができる。
「こっちか」
俺は一本道を進む。
その途中には今まで見たことのない植物はなかった。
約2時間ほど歩いただろうか、此処はどこだかさっぱりわからないが一本の大きい木が現れた。
「すっげー」
思わず声が出てしまった。
普通の木は大体20メートルほどだが、この木は軽く50メートルは超えていて、地球では見たこともないほどの大きさだ。
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【神木】
2000年間生きている。
神に選ばれた木。
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全く略していないのにとても書いてあることが少ない。
『よ、う、こ、そ』
「うおっ。お前喋れるのか」
一言一言時間がかかるようだがこいつは喋れるようだ。
喋れるなら文句なしの合格だろう。
「俺の剣にするけどいいか?」
『お、お、せ、の、ま、ま、に』
「うん。三本の剣にするから、俺の意思に従って変化してくれ」
と言って俺は大きい木に触り、木刀をイメージする。
目を開けると、3本の剣があった。
ちゃんと三本とも鞘と鍔と柄があり、日本刀を意識して作った。
形も重さも同じだが、一本だけ斬れ味を少しだけ集中している。
「ありがたく使わせてもらう」
3本を手にとって収納する。
「よし、今日は帰るか」
帰ろうとすると、一匹のクマが俺の10メートルほど後ろにいることに気がついた。
まだ子供なのかだいぶ小さい。
俺のところに来れるということは、こいつはこの魔物より弱いということだ。
強かったら植物が妨害しているはずだからな。
「さて、早速使うか」
少しだけ筋肉痛で体は痛いが、危なくなれば植物が守ってくれるため問題ない。
俺は斬れ味を上げた一本を取り出す。
クマの魔物が、俺を全く警戒せずに走り出す。
俺は剣を構えて、クマに迎え撃つように突進する。
クマには俺の動きに反応できていない。
俺はアホみたいに口を開けているクマに剣を振るう。
「ありゃ?」
クマが抵抗もなく真っ二つに斬れてしまった。
と同時に俺に何かが入ってくるような感覚に襲われる。
俺は普通に剣を振っただけなのに、ほとんど野菜を切っているのと変わらない感覚で骨ごと斬れてしまった。
これは凄いものを作ってしまったかもな……
久しぶりの肉なのでちゃんと血抜きをして、拠点に持ち帰ることにした。
俺は運べないので植物たちに運んでもらうとしよう。
「今日は焼肉パーティーだな」
こうして今日も俺は森を生き抜いていく。
今日はエイプリルフールということで投稿しました。
世の中は嘘ばっかりなので注意してくださいね!!
ーーーー次回、この物語完結!