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ずたずたに噛み千切ってやる

 御庭外おにわそとくんは僕のクラスメイトだ。


 喋るとうるさい。喋らなければそうでもない。


 そう、黙っていれば、だ。


福和内ふくわうちっ! 髪が長いぞっ! 切れっ!」


「なんだよ急に。いいじゃないか、髪くらい長くったって」


「よいか福和内っ、己の人生の視野を狭め塵芥ちりあくたがまとわりつき行動を妨げる要因となりうるのだっ!」

「あー、前髪か。目にかかって見えにくくなったりホコリやゴミが付いて病気になったりするっていうことだね」

「フーッ、ファッファッファーッ! そうとらえても差し支えないぞ!」

「そういうことでしょうよ。まあ心配してくれてありがとう」

「ブフォッ! の、なにを、俺様が福和内ごときのことを心配なぞ、す、するわけがなかろう」

「はいはい。そういうことにしておくよ」


 まったく、褒められたりお礼を言われたりっていうのに慣れてない感じがするよね。御庭外くんは。


「アガガガガ……」


 で、歯を噛み鳴らして何をやっているのさ。


「ふーくーわーうーちー」

「な、なんだよ、御庭外くん」

「フーッ、ファッファッファーッ! 俺様の頑強なこの門歯にてその邪魔な毛髪をずたずたに切り裂いてやるのだ!

 髪を切るにあたって噛み切る以上にふさわしいものがあるだろうか! いやないっ! 神妙に覚悟しろ!」

「うわっ、やめてよ! 僕の頭をかじろうとしないでよ!」

「そこへなおれ、福和内よっ! アガガガガ……!」


 僕は学校のカバンで御庭外くんの噛み切り攻撃を押さえようとするけど、歯をガチガチ鳴らしている御庭外くんはカバンごと噛み千切りそうな勢いだった。


「やめてーっ!」


 振り回したカバンが御庭外くんの頭を強打する。


「きゅぅ……」


 御庭外くんは変な声を出してひっくり返ってしまった。


 僕だって、必要があれば髪を切りに行くさ。

 一応は心配してくれるから、基本的にはいいやつなんだけど。


 そう、黙っていれば、だ。

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