どこまでも喰らってやる
御庭外くんは僕のクラスメイトだ。
喋らなければ、ひとまずはいい奴といえる。
そう、黙っていれば、だ。
「購買に行くぞっ! 購買は戦場だっ!
購買、ゴーファイッ!
俺様の行く手を遮る者は死を覚悟しろっ!
フーッ、ファッファッファーッ!」
昼休みのチャイムと同時に、変な笑い声を出しながら購買へ勝負を挑みに行く御庭外くん。
まさか御庭外くん、購買とゴーファイトを掛けているのか?
昼飯時なのにあんまりうまくないぞ、御庭外くん。
「福和内、見よ俺様の手の内をっ!
これぞ究極、他の存在を許さぬ孤高の者っ。炭水化物に包まれた炭水化物っ!
炭水化物、ウィズ、炭水化物だっ!」
御庭外くん、めんどくさい言い方してるけど、それは焼きそばパンだよね。
確かに生徒には人気だけどもさ。
どれだけ炭水化物にご執心なのさ。
「炭水化物がはさんでいるその具がまた炭水化物というこれ以上の潔さはあり得るだろうか。いやないっ! まさに究極! 究極にして孤高ぅ!
炭水化物、オブ、炭水化物ズだっ!」
炭水化物だけじゃなくていろいろ重複しているね。
テンション上がるほど買えてよかったねえ。
それにしても御庭外くんは知らないのかな。メジャーすぎはしないけど、そば飯とかあるからね。炭水化物に炭水化物は別に焼きそばパンだけじゃないし。
それに炭水化物の中の炭水化物って意味違うし、炭水化物に複数形とかおかしいし。
「パンにソースが合うなどと誰が決めたのだ。よし、俺様が認めよう。パンにソースは合うっ! 合格だっ!」
そうか、合格かあ。
御庭外くんに認められてよかったなあ、焼きそばパン。
それにしてもうまそうに食べるなあ、御庭外くんは。
モグモグしてても笑顔が絶えないよ。
よっぽど好きなんだなあ、焼きそばパン。
でも、その純粋さは嫌いじゃないよ。
そう、黙っていれば、だ。
書いていて楽なのは助かります。
ノリと勢いとその場しのぎですね。