表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リル  作者: リル
1/3

no name

あたしには名前はありません。


父親が誰なのか。

母親が誰なのか。

わかりません。


物心がついた時、あたしは『リル』と呼ばれていましたが、あたしはもちろん、日本人です。


今、あたしは【OL】というやつをやっています。意味は..わかりませんが、【OL】と言われます。


TVで見るそれとは違う気がします。昼休みに、カーディガンを肩にかけてお財布を握りしめて、ビル街を歩いてOL仲間とランチになんて行くこともありません。


会社の窓から見えるのは工場と広いゴルフ練習場で、構内は自転車でヘルメットをかぶって移動します。

車通勤なので、もちろん【Suica】なんてものは持ったこともありません。


あたしの上司は作業着を着ています。周りにスーツを着ている人は名古屋からたまに現れる社長、ただ一人です。


通勤途中には、工場が建ち並んでいます。国道沿いの工業団地内にあたしの職場はあります。


道を少し入ると、閑静な住宅街があり、2km四方に渡る大きな公園があります。公園を囲んだ桜並木の道を走るとサッカースタジアムが現れます。家はもうすぐです。


家に帰ると、猫が待っています。

名前は【ヤヤ】です。昔はノラ猫でした。

あたしと同じです。


あたしの家は、とあるマンションの一階の一室です。

小さな庭がついています。


夏になると、屋上で花火を見ます。隣のフットサルコートは夜まで洸々と光が照らされています。遠くからは、サッカーの応援と、踏み切りの音が風にのって聞こえてきます。


ここには居心地のいい風が吹きます。


ギラギラの都会ではないこの町で、一人ではない一人の時間が満喫できます。


柔らかい風が部屋を通り抜けます。

布団の足元には【ヤヤ】がいます。


起こさないように気をつけて、トイレに起きます。

最近は暗い部屋でも眠れるようになりました。だんだんとこの生活があたしの身体に馴染んできました。


明日も早い。

早く眠らなきゃ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ