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第一話『早川弁護士事務所の仲間達』

夜櫻さん達、『早川弁護士事務所メンバーズ』の簡単な紹介と大災害直前のやり取りとなってます。






平成28年2月29日、加筆・修正しました。





──亡き貴昭叔父さんに薦められるままに始めた〈エルダー・テイル〉だったけど…気が付けば、20年という長いプレイ歴を持つ超廃人プレイヤーの一人になってるし。






「あーちゃんも、ゆっきーも、超有名人になってるなぁ〜」と、他人事の様に思ってたら…何故かアタシも二つ名持ちの超有名人に……何で?






そりゃあ〜…ザッ君の所のレイドを手伝ったり、あーちゃんに頼まれてしばらくクー君のギルドに所属してたり、ウィー君の所のレイドで臨時の助っ人したり、先生の所の情報収集に協力したり、ソウ君の所と楽しく冒険したりしたけどさ。






〈剣速の姫侍〉はわかるけど…〈流浪の風来姫〉や〈舞い桜〉や〈渡り姫ワンダー・マジェスティ〉って二つ名、誰が付けたのよ?






……まあ、アタシの事を誰がどう呼ぼうとどうでも良いかな?






──今回は、久しぶりの拡張パック導入という訳で…アタシの弁護士事務所の約半数を占める〈エルダー・テイル〉プレイヤー達と共に、『この記念すべき日を祝おう!!』という事で弁護士事務所の一角にある事務室を使って、賑やかな祝賀会を行っていたのよね。






◇◇◇






──早川弁護士事務所の一角である広い執務室兼事務室では、『祝!新拡張パック〈ノウアスフィアの開墾〉導入!!』という垂れ幕が掲げられていた。






皆各々に、飲み物や食べ物を手に取ってはいたけれど…テーブル上に置かれている、この事務所の備品として購入した最新鋭のノートパソコンの画面では、各々のアバターが操作されるのをまだかまだかと待機して待っている状態。


「……全く。仕事場である筈の事務室を私的に使用するとは…」


ブツブツと文句を呟いているのは、この早川弁護士事務所の数少ない常識人の“あっきー”こと保坂秋人ほさかあきひと

アバターは、エルフの〈付与術師エンチャンター〉のフェイディット=アーデンハルト。通称、フェイ君。

サブは〈交渉人ネゴシエイター〉で、所属は無し。

あっきー曰く。『所長は放っておくと何をしでかすかわかりませんからね』との事。



──あっきー、何気に酷くない?



その為、現実でも色々と面倒を見てくれているあっきーが〈エルダー・テイル〉でも、アタシのお目付け役的な役目を担ってるんだって(※「私は、貧乏くじを引かされました」秋人談)。


「まあまあ。今日は記念すべき新拡張パックの導入日ですよ?

もっと明るく、パーッと賑わいましょうよ?」


ブツブツと文句を呟いているあっきーを宥めているのは、この事務所のムードメーカー的存在の“たく君”こと長谷川拓真はせがわたくま

アバターは、人間ヒューマンの〈暗殺者アサシン〉のアルセント。通称、アル君。

サブは、〈追跡者〉や〈密偵〉等と並ぶ隠密活動に特化した〈斥候〉。

所属は、ザッ君のところの〈黒剣騎士団〉。

当時、私とアル君が助っ人ゲストとして参加した〈ラダマンテュスの王座〉でのアル君の活躍を気に入ったザッ君からの直々の誘いを受けて〈黒剣騎士団〉に加入したっていう経緯があるんだよ。

アル君は、とっても有名人だったから…『〈漆風しっぷう〉を〈黒剣〉に取られた!!』って公式掲示板がしばらく荒れまくったのも、今ではいい思い出かな。


「そうですよ、保坂さん。

めでたい時は、めでたいって祝いましょうよ?ね?」


たく君と一緒にあっきーを宥めている癒し系の子は、“ひーちゃん”こと南仁美みなみひとみ

アバターは、ハーフ・アルヴの〈森呪遣いドルイド〉の蒲公英タンポポ。通称、ポポちゃん。

サブは、武器を鍛えたり修理したりできる〈鍛冶屋〉。

所属は、ミッチーのところの〈海洋機構〉。


「保坂さんは、根が真面目ですからね。

色々と気にしてしまうのでしょう」


あっきーに負けない位の─この真面目君は、“かずっち”こと大谷和博おおたにかずひろ

アバターは、人間の〈盗剣士スワッシュバックラー〉の土方歳三ひじかたとしぞう。通称、とっしー。

新撰組の『鬼の土方』って有名人が大好きだというかずっちは…アバターの名前は勿論、見た目もその有名人そっくりに作ったそうだし、装備もイメージを損なわない様な装備を選択したんだって。

サブは、そこら辺を意識してなのか…〈指揮官〉だって。

所属は、先生のところの〈ホネスティ〉。


「……むぐむぐ。む?あ、ランスさんから連絡だ。

ふ〜ん、ギルマスは私用でしばし不在。

会議は、約一時間後。

ギルメンは、しばし待機かぁ〜」


ケーキを口いっぱいに頬張りながら、所属ギルド専用の掲示板を覗いているマイペースな子は、“まゆちゃん”こと石井真由いしいまゆ

アバターは、少し癖のある種族である狐尾族こびぞくの─〈エルダー・テイル〉では一番の不人気職〈付与術師〉と並ぶ不人気職、別名『残念職』の〈吟遊詩人バード〉のフルート。通称、フーちゃん。

サブは、森林フィールドでは色々と便利な〈狩人〉。

所属は、クー君のところの〈D.D.D〉。




──ちなみに…さっき、まゆちゃんの口から出た“ランスさん”という人物は…クー君のところの幹部の一人で、“あーちゃん”こと朝香ちゃんの息子の康介君の使用するアバターのランスロットの事である。


「すみません、ギルマス。

今日は、先約がありまして……はい。所長─夜櫻と行動を共にするという約束を……はい。わかりました。

有益な情報を掴み次第、ご報告いたします」


今、〈ボイス・チャット〉でバリバリのキャリアウーマンよろしくな会話を展開中な出来る女風の子は、“みーちゃん”こと井上瑞穂いのうえみずほ

アバターは、人間よりも髪の毛が多いって感じの狼牙族の〈召喚術師サモナー〉の本名と同じ名前の瑞穂。こっちも同じ通称、みーちゃん。

サブは、色々な設計図を生み出す事で他の生産系に様々なボーナスをもたらす〈設計士〉。

所属は、カー君のところの〈第8商店街〉。





──そして、これらの個性的な面々の所属する早川弁護士事務所の所長で、見た目が30代にしか見えない…周りの同年代の人達から見たら羨ましがれるが、当人のアタシからしたら、年相応に見てもらえない残念な特徴である60代。

早川咲良はやかわさくらである。

アタシのアバターは、エルフの〈武士サムライ〉の夜櫻よざくら

サブは、アタシにピッタリの〈放浪者ドリフター〉。

所属は、無しだよ!






──基本は、ギルド所属はギルド優先だけど…そうでない場合は、行動を共にするこのメンバーは全員、メイン・サブ職業は揃ってLV90にカンスト済みの廃人プレイヤーズなのだ。






◇◇◇






『あの〜…』




──おっと、忘れるところだった。



──今、アタシの夜櫻の近くに待機する三人の子達は…現在、面倒を見ている〈エルダー・テイル〉を初めて一週間の新人達だ。





今、躊躇いがちに声を掛けている淡い水色の髪のハーフ・アルヴの女の子は、〈施療神官クレリック〉のミユキちゃん。



ミユキちゃんの右隣で待機している鮮やかな橙色の髪の人間の男の子は、〈妖術師ソーサラー〉のシュウ君。



ミユキちゃんの左隣で待機している淡い金髪のエルフの女の子は、〈盗剣士スワッシュバックラー〉のアミちゃん。




各々のサブ職業は、ミユキちゃんは〈会計士〉。シュウ君は〈錬金術師〉。アミちゃんは〈剣闘士〉。




三人は、まだ無所属でレベルは10前後。




「あっ!ごめんごめん!!

今日は、待ちに待った新拡張パックの〈ノウアスフィアの開墾〉が導入される日だからね。ついつい、皆で盛り上がっちゃって〜」

『そうなんですか?』

『ねえ、夜櫻のお姉さん。今日は、何処に連れていってくれるの?』

『私、もっと強くなりたいです!』




──うんうん。アミちゃんは(モンスターを)殺る気満々だね。




「うーん。とりあえず…レベル20になるまでは、しばらく初心者用のフィールドゾーンでレベル上げだね。

レベルが20番代を突破したら〈書庫塔の林〉でレベル上げをしつつ、そこで入手できる〈魔導書〉や〈巻物〉を使って、特技の方の強化もしようかな?」

『わかりました』

『了解!』

『はーい』




──うんうん。全員、元気が宜しい。






「むぐむぐ。む?所長、時刻はそろそろ…拡張パック導入の時間ですよ〜」


まゆちゃんの言葉で、壁にかけてある時計の時刻を見ると…AM12:00まで残り15秒を切っていた。


「おおっ!!遂に待ちわびた拡張パック導入の瞬間だね!!

皆、各々のノーパソ前に待機!カウントダウン開始!

5!4!3!2!1!……」










──ノートパソコンに内蔵されているデジタル時計を見ながら…アタシ達は一斉にカウントダウンを始めて、最後の“0”の言葉を口にする前に、アタシ達の意識は一旦そこで途切れた。

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