診断とお薬
頑なに病院に行かないと言っていた私が、急に病院に行くと言ったので、母がびっくりしていたのはよく覚えている。
その頃の私は、スマホを触ることさえ憂鬱で、病院を調べるのですら出来ない状態だった。
育児をするので精一杯だった。
私の代わりに、母と妹が病院を調べてくれた。
「ここ、私も少しだけ通ったことがあるんだけど、どうかな?」
妹が勧めてくれた病院は、ホームページを見ると、とても綺麗で、温もりがある病院だった。
行きずらいような感じはなく、病院の先生もとても優しそうな感じの人だった。
「ここにしようかな・・・」
予約の電話をかけると、受付の人もとても優しい感じだった。
なるべく早めに受診したかったので、たまたま空いていた平日の午後に予約をした。
場所がいまいち分からないので、初めは妹についてきてもらう事にした。
病院に行く日。
病院までは少し遠い。
私は妹と、いろいろな話をしながら車で病院に向かった。
小さい頃の話、学生の頃の話、恋人・夫の愚痴。
妹は私が不安にならないように、精神以外の話をしてくれた。
病院に着くと妹が言った。
「ちゃんと全部話してくるんだよ。待ってるから。」
「うん。行ってくるね」
ホームページで見た通り、温もりがある病院だった。
受付の人も、とても優しい人だった。
「新規の方なので、問診票の記入をお願いします」
眠くなりそうなオルゴールが流れている中、私は今の症状について全て記入した。
「こちらの部屋で、身長と体重、血圧を測りますね」
全て終わると、看護師さんが「あちらで呼ばれるまでお待ちくださいね」と言った。
私は椅子に座ると、下を向き、スリッパを見つめながら、今の症状について話す順番を頭の中で考えた。
全部伝える事ができるのだろうかと不安になってきた。
呼ばれるまでの時間がとても長く感じた。
「どうぞ」
私の番がきた。
「初めまして、こんにちは。どうぞ、おかけになってください」
先生が優しい口調で私に言った。
「初めまして、こんにちは。よろしくお願いします。」
私は椅子に座った。
いつから確認行為が始まったのか、どんな事が気になるのか、どのくらいの時間確認行為をしてしまうのかと、いろいろとお話しをした。
生活に支障が出てきている事も伝える事ができた。
全部伝える事ができた。
先生は私の話を全部聞いてからこう言った。
「強迫性障害だね。生活に支障が出ているという事なので、お薬を使って治療していこうと思うんだけど、そこらへんはどんな感じに思っているのかな?」
「薬を飲んだら、治りますか?」
「そうだね、少し時間はかかるかもしれないけど、良くなると思います」
「やっぱり時間はかかるんですね。でも、頑張って生きていきたいから薬で治療します。」
「分かりました。最初は弱いのから始めていきます。症状によって、少しずつ強くしていきます。薬を飲んで体調が悪くなったりしたら、すぐ病院に連絡してくださいね」
「あの、夫や家族に今日の診断を伝えたいので、診断書を貰いたいです。」
「分かりました。料金がかかりますが、大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
その後は次の予約をして、料金を払って、薬局で薬を処方してもらい、一旦実家に向かった。
実家に着いた頃には、だいたい17時頃になっていたと思う。
「お母さん、ただいま」
「どうだった?」
心配そうな顔で私を見つめた。
「一応、診断書出してもらったよ。これ」
そう言って私は診断書を母に渡した。
仕事から帰ってきていた父も、心配そうな顔で私を見ている。
母は診断書を見た。
「うん。頑張ってみんなで治していこうね」
母は、私に優しく笑った。
私は泣きそうになった。
子供たちと、夫が家で待っているのでその日はあまり詳しい話はせずに、私は家に帰った。
家に帰ると上の子が、
「ママ~!!おかえり!!」と玄関に来てくれた。
「ただいま!」
夫は晩御飯を作ってくれていた。
「ただいま」
「おかえり。病院どうだった?」
「これ見てくれない?」
私は診断書を夫に渡した。
「やっぱり、強迫性障害だったかぁ・・・。一緒に頑張って治していこうね。」
そう言って私を強く抱きしめてくれた。
「あの時はごめんね。俺、信じたくなかったんだ。優しい言葉とか言ってあげられなくてほんとごめん。」
「大丈夫だよ」
「よし!病院も疲れるよね、ご飯食べよ!!」
夫が作った少し下手くそな晩御飯をみんなで食べた。




