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甘く誘う冬の悪魔  作者: まっちゃ
第四週 灰舞う極寒の終幕へ
26/32

2/22 熱喪った焔

こんにちは、まっちゃです。

今話はいつもとは違った感じなので、まあ、合わない方もいるでしょうがお許しください。

1週間と5日が経過した。彼が…悠が学校に来なくなってから。

昨晩流れてきたネットニュース。あまりの苦しさに捨ててしまった写真。最後の会話はいつだった?

他愛ない話を、放課後の図書館で話して…クッキーをあげたりして…あれ?机が濡れて…あ、泣いてるんだ、私。

これ以上、想い出したら胸が裂けてしまいそうだ。でも、それでも脳は記憶を排出し続けた。

幼いころ、公園で一緒に転んだこと。入学式に遅刻したこと。休み時間、ドッチボールで遊んだこと。中学の入学式では遅刻、しなかったな。3年間、同じクラスになって。

――叶わぬこの想いを、何処に捨てようか?

悠がいないのであれば、この愛は、もう――


―なんで?なんでこうなっちゃうの?

―なんで?なんで置いてっちゃうの?


やり場のない後悔と、愛情と、――怒り。

始めて悠に向けた、憎しみ。

…苦しい。

”悠”を思い出すたびに、私の心が死んでいく。でも。それでもいい。

悠、私は君を忘れないよ。


チャイムが鳴る。学校のチャイムって、こんなに耳を劈くものだったっけ?

号令がかかる。あっ、立たなきゃ。

板書に文字列が並ぶ。読めない。


涙が溢れる。零れ落ちるこの愛は、もう、悠には届かない。愛、故の哀。

耳を鐘の音が突き刺す。あれ、もう授業終わったの?

名前を呼ばれる。返事をすることはできなかった。


―今、何限目だった?

わからない。けど、これ以上この場所に居れない。

鞄を手に取り、ペンケースすらも置いたまま私は走った。

階段を駆け下り、廊下で注意され、それでも走った。昇降口には、これから体育があるのであろう同級生がいた。――気にするもんか。

靴を履き、校門まで走る。上下する肩、荒い息。縺れる足。それでも走った。


どれくらい走っただろう。私は河川敷にいた。近くには胡散臭い壺を売ってる店がある。正面の、上のほうには「立ち入り禁止」の札があった。

黒く焦げた民家、サイレンを鳴らすパトカー。ここで…ここで悠は…。

とめどなく零れる涙を、やはり抑えることはできなかった。


――明日から、私はどうすればいいの?ねぇ、悠。教えてよ。


いつも、私に見せてくれた笑顔はもういなかった。

私に言ってくれた「ありがとう」は虚空に消えた。

私が悠と一緒に創った思い出は、溢れ続けた。


川の潺に、少し安心する。私の熱は、もう喪ってしまった。

――でも、私は立ち上がるよ、悠。悠の分も頑張るよ。

学校の方面に視線を向ける。きっと、戻ったら怒られるんだろうなぁ。

それでも、私の足は学校に向かっていた。

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