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魔法のない魔法使い ― Parallel Diner ―  作者: 伏木 亜耶


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9/14

科学vs料理~メイラード反応が、すべてを変える~

公開討論会の開催まで、三日。


リナは厨房で、討論会用の資料作成に追われていた。テーブルには、化学式が書かれた紙が山積みになっている。

「メイラード反応の温度依存性...タンパク質変性のpH曲線...でんぷんの糊化温度...」

リナがぶつぶつ呟きながら数式を書いていると、ノックの音がした。

「はーい」

扉が開き、エミリー・チェンが入ってきた。昨日、弟子入りを志願してきた栄養学部の学生だ。

「リナ、おはようございます! 今日から正式にお手伝いさせていただきます!」

「ああ、エミリー。ちょうどよかった。この資料の数式チェックを――」

「リナ先生」

別の声が響いた。

リナとエミリーが振り返ると、厨房の入口に、見知らぬ少女が立っていた。


少女は、十七、八歳くらいだろうか。腰まで届く銀色の長い髪を、緩く三つ編みにしている。透き通るような白い肌、大きな青い瞳。人形のように整った顔立ちだが、その表情は――妙に真剣だった。

そして、彼女はリナをじっと見つめている。

まるで、獲物を見つけた肉食動物のような、鋭い視線。

「...あの、どちら様?」リナが尋ねる。

少女は、ゆっくりと近づいてきた。そして、リナの目の前で立ち止まると――

「リナ・ナツメ先生。私、あなたに一目惚れしました」

厨房が、静まり返った。

「...は?」

「初めて先生の論文を読んだ時、運命を感じたんです。『この人こそ、私が求めていた人だ』って」

少女は、リナの手を両手で握った。

「私、先生のために働きたいんです。先生の手伝いをしたいんです。先生の側にいたいんです」

「ちょ、ちょっと待って」リナは慌てて手を引こうとしたが、少女の握力が予想以上に強い。

「あなた、名前は?」

「クロエ・シルバーです。ユナイティア国立芸術大学、音楽学部一年生」

「音楽!?」

リナとエミリーが同時に声を上げた。

「はい。でも、料理の方が向いてると最近気づきました」クロエは真顔で言った。「先生の論文を読んで、啓示を受けたんです。『私の人生は、リナ先生に捧げるべきだ』って」

エミリーが、リナと目を合わせた。その目は明らかに言っている――『この子、ヤバい』

「あの、クロエさん」リナが慎重に言葉を選ぶ。「私のこと、実際に会うのは今日が初めてよね?」

「はい。でも、先生の論文を百二十七回読みました。先生の写真も、大統領府の公式サイトから二百三十八枚保存しました」

「それストーカーって言うのよ...」リナが呟いた。

「ストーカーじゃありません、愛です」クロエはきっぱりと言った。

「先生、私を雇ってください。給料はいりません。食事と、先生の側にいられる場所さえあれば」

「いや、でも、あなた料理したことあるの?」

「ありません」

即答だった。

「この世界、料理禁止されてるから当然だけど...」リナは額を押さえた。「経験ゼロの人を雇うわけには――」

「じゃあ、テストさせてください」

クロエは、リナの手を離すと、厨房を見回した。

「何か作らせてください。私の実力を証明します」

「でも、包丁も握ったことないんでしょ?」

「大丈夫です」クロエは不敵に微笑んだ。

「音楽と料理は、似ています。どちらも、リズムとハーモニーとタイミングの芸術。私には、わかります」

リナは、エミリーを見た。エミリーは肩をすくめた。

「...わかったわ」リナはため息をついた。「じゃあ、簡単なものを作ってみて。卵焼き」

「卵焼き、了解しました」

クロエは、まるで軍人のような敬礼をすると、厨房の奥へ向かった。


五分後。

リナとエミリーは、目の前の皿を呆然と見つめていた。

そこには、完璧な卵焼きが乗っていた。

黄金色の表面。均一な厚み。美しいロール状の断面。

「...嘘でしょ」エミリーが呟いた。

リナが箸で一口取って、口に入れる。

ふわふわの食感。出汁の風味。絶妙な塩加減。

「美味しい...」

「ありがとうございます」クロエが嬉しそうに言った。「実は、先生の論文に載っていた『卵の熱凝固温度』を参考にしました。卵白は58℃から凝固開始、卵黄は65℃から。だから、弱火でゆっくり加熱すれば、ふわふわになるって」

「理論だけで、この完成度...?」

「あと、私、絶対音感があるんです」クロエが付け加えた。

「火の音、油の音、卵が固まる音――すべての音で、状態がわかります」

リナは、クロエをまじまじと見た。

この少女、本物の天才だ。

「...わかったわ。雇うわ」

「本当ですか!?」クロエの顔が輝いた。

「ただし、条件がある」リナは真剣な顔で言った。

「私のこと、恋愛対象として見るのはやめて。私たちは、仕事のパートナー。それ以上でも、それ以下でもない」

クロエは、少し考えてから言った。

「...では、『片思いの権利』は保持させてください」

「はあ!?」

「先生を尊敬し、憧れ、愛する権利。それだけは譲れません」クロエの目は本気だった。

「でも、先生に迷惑はかけません。約束します」

リナは深く息を吐いた。

「...もう好きにしなさい」

「ありがとうございます、先生! いえ、リナ!」

クロエは嬉しそうに微笑んだ。その笑顔は、まるで天使のようだった。

エミリーが、小声でリナに囁いた。

「リナ...大丈夫? この子、絶対ヤバいよ...」

「わかってるわよ...」リナも小声で返した。「でも、この腕前は本物。討論会まで時間がないし、戦力は多い方がいい」

「あのー、お二人とも」クロエが割り込んだ。「私、聴覚が鋭いので、ヒソヒソ話も全部聞こえてます」

「...」

リナとエミリーは、顔を見合わせた。

これは、大変なことになった。


【化学コラム①:卵の科学】

卵は、料理の基本中の基本だが、その化学は驚くほど複雑だ。

卵白の主成分は、オボアルブミン(C₁₇₉₆H₂₈₃₁N₄₉₃O₅₅₃S₁₂)というタンパク質。これは58℃から変性(タンパク質の立体構造が変化すること)を始め、80℃で完全に凝固する。

一方、卵黄の主成分は、リポタンパク質(脂質とタンパク質の複合体)。こちらは65℃から凝固を始め、70℃で完全に固まる。

つまり、卵白と卵黄では、凝固温度が異なるのだ。

この温度差を利用することで、さまざまな食感を作り出せる:


60℃で加熱: 卵白は半熟、卵黄は液体(温泉卵)

70℃で加熱: 卵白は固まり、卵黄は半熟

80℃以上: 両方とも完全に固まる


また、卵を泡立てると、タンパク質が空気を包み込む。これがメレンゲだ。この泡の安定性は、pHに依存する。酢やレモン汁(クエン酸、C₆H₈O₇)を加えると、pHが下がり、泡が安定する。

卵料理は、温度とpHのコントロールという、化学実験そのものなのだ。


その日の午後、リナは三人で討論会の準備を進めた。

「まず、科学アカデミーの主張を予測しましょう」リナがホワイトボードに書く。「彼らは何を根拠に、料理を『非科学的』だと言ってくると思う?」

「再現性の欠如、でしょうか」エミリーが答えた。

「料理は毎回結果が違う、と」

「あと、定量性の問題」クロエが付け加えた。

「『少々』『適量』みたいな曖昧な表現が多い」

「その通り」リナは頷いた。

「だから、私たちは料理を完全に数値化する必要がある」


リナは、ホワイトボードに化学式を書き始めた。

メイラード反応(アミノカルボニル反応)

アミノ酸 + 還元糖 → メラノイジン(褐色色素)

「これが、料理の核心よ」リナが説明する。

「肉を焼いた時の香ばしい香り、パンの焦げた表面、醤油の深い色――すべてメイラード反応によるもの」


クロエが目を輝かせた。

「それって、温度で制御できるんですか?」

「もちろん」リナが答える。

「メイラード反応は、140℃以上で活発になる。だから、肉を焼く時は強火で表面を一気に加熱する。これによって、外側はカリッと、内側はジューシーに仕上がる」

エミリーがノートに書き込む。

「つまり、『強火でサッと焼く』という料理のコツは、『140℃以上に急速加熱してメイラード反応を促進し、内部の水分蒸発を最小限に抑える』という化学的操作なんですね」

「完璧」リナが微笑んだ。

クロエが手を挙げた。

「質問です。じゃあ、『弱火でじっくり』は?」

「いい質問ね」リナが答える。「それは、タンパク質の変性を穏やかに進行させる技術。急激に加熱すると、タンパク質が一気に収縮して、肉が硬くなる。でも、ゆっくり加熱すれば、コラーゲン(C₁₀₂H₁₄₉N₃₁O₃₈)が分解されてゼラチンになり、肉が柔らかくなる」

「化学反応の速度論ですね!」エミリーが興奮した様子で言った。

「アレニウスの式! 温度が10℃上がると、反応速度が約2倍になる――」

「その通り!」リナも興奮してきた。

「だから、料理は化学なのよ!」

二人が盛り上がっていると、クロエが静かに言った。

「...でも、リナ」

「何?」

「それだけじゃ、足りないと思います」

リナとエミリーが、クロエを見た。

「どういう意味?」

クロエは、真剣な顔で続けた。

「確かに、料理は化学です。でも、化学だけじゃない。音楽と同じ。正確な楽譜通りに演奏しても、心に響かない演奏はある。逆に、少しミスがあっても、心を揺さぶる演奏もある」

クロエは、リナをまっすぐ見つめた。

「リナの料理が特別なのは、化学的に完璧だからじゃない。リナが、食べる人のことを考えて作るから。その『思い』が、料理を特別にしてるんです」

厨房が、静かになった。

リナは、しばらく黙っていた。

それから、小さく微笑んだ。

「...クロエ」

「はい」

「あなた、見かけによらず、いいこと言うわね」

「見かけによらず、は余計です」

三人は、笑った。


翌日、大統領府の会議室。

大統領、ジョン・スミス、そして医療チームのドクター・ジョンソンが集まっていた。

「公開討論会まで、あと二日」大統領が言った。

「リナ先生の準備状況は?」

「順調です」ジョンが答えた。

「それに...強力な助っ人が二人増えました」

「助っ人?」

「一人は、エミリー・チェン。国立大学の栄養学部の学生です。もう一人は...」ジョンが言葉を濁した。

「クロエ・シルバーという、少し...個性的な若い女性です」

「個性的?」

「まあ、その...リナ先生に、非常に強い憧れを抱いているようで...」

大統領とジョンソン博士が、顔を見合わせた。

「...大丈夫なのか?」大統領が心配そうに尋ねた。

「大丈夫です」ジョンが断言した。

「クロエは、料理の天才です。初めて包丁を握ったのに、まるで十年のキャリアがあるかのような腕前でした」

「天才か...」大統領が呟いた。

「しかし、相手は科学アカデミー。五百年の伝統を守る、この国最高の知性たちだ。本当に勝てるのか?」

「勝てます」

ドクター・ジョンソンが、力強く言った。

「なぜ、そう言い切れる?」

「私は、リナ先生の治療を間近で見てきました」ジョンソンは、真剣な顔で続けた。

「彼女は、私たちが五百年かけても成し遂げられなかったことを、一ヶ月でやってのけた。それは、奇跡でも魔法でもない。科学的根拠に基づいた、正しい医療だったんです」

ジョンソンは、大統領を見た。

「閣下が今、生きているのが、何よりの証拠です」

大統領は、静かに微笑んだ。

「...そうだな。私は、リナ先生を信じる」


その夜、厨房。

リナは一人、最後の資料チェックをしていた。

化学式、グラフ、実験データ――すべて完璧だ。

でも、クロエの言葉が、頭から離れない。

「化学だけじゃない」

リナは、窓の外を見た。

白亜の高層ビル群が、冷たく光っている。

この国は、すべてを数字に変えてきた。効率、合理性、最適化――そうして、人間らしさを失った。

料理は、確かに化学だ。

でも、それだけじゃない。

「...父さんなら、何て言うかな」

リナは、父の形見のラジオを見た。

父は、いつも言っていた。


「料理は、愛情だ」


子供の頃は、理解できなかった。

でも今は、少しわかる気がする。

「魔法じゃない、化学よ...って、いつも言ってるけど」

リナは、自分に言い聞かせるように呟いた。

「でも、化学の向こう側に、何かがあるのかもしれないわね」


その時――

「リナ」

振り返ると、クロエが立っていた。

「どうしたの? もう遅いわよ」

「眠れなくて」クロエが近づいてくる。「リナも、眠れないんですか?」

「...まあね」

クロエは、リナの隣に座った。

「リナは、怖いですか? 討論会」

「怖い?」リナは首を傾げた。

「負けるかも、って意味?」

「いえ。勝った後のこと」

リナは、クロエを見た。

「どういう意味?」

クロエは、窓の外を見た。

「リナが勝ったら、この国は変わります。五百年続いた価値観が、崩れます。たくさんの人が、混乱するでしょう。中には、怒る人もいるかもしれない」

クロエは、リナを見た。

「それでも、リナは戦うんですか?」

リナは、しばらく黙っていた。

それから、答えた。

「...戦うわ。だって」

リナは微笑んだ。

「料理は、人を幸せにするものだから」

クロエは、その笑顔を見つめた。

そして、小さく呟いた。

「...やっぱり、私、リナのこと好きです」

「はいはい」リナが苦笑する。「でも、仕事に私情は持ち込まないって約束したでしょ」

「わかってます。だから、今は我慢します」

「今は?」

「いつか、リナが私を見てくれる日が来るまで」クロエは真剣な顔で言った。「それまで、私は待ちます。何年でも」

リナは、何も言えなかった。

この少女の恋心は、本物だ。

そして――厄介だ。

「...もう寝なさい。明日も早いんだから」

「はい。おやすみなさい、リナ」

クロエは立ち上がり、扉に向かった。

でも、振り返って言った。

「あ、それと」

「何?」

「討論会、絶対勝ちましょうね。リナの味方は、私とエミリーだけじゃない。この国中に、もうたくさんいるんですから」

クロエは微笑んで、厨房を出て行った。


リナは、一人残された。

そして、小さく笑った。

「...変な子」

でも、悪い気はしなかった。

【今回の化学式解説】

オボアルブミン: C₁₇₉₆H₂₈₃₁N₄₉₃O₅₅₃S₁₂

卵白の主要タンパク質。58℃から変性を開始。

コラーゲン: C₁₀₂H₁₄₉N₃₁O₃₈

動物の結合組織に含まれるタンパク質。長時間加熱でゼラチンに変化。

クエン酸: C₆H₈O₇

柑橘類に含まれる有機酸。pHを下げ、メレンゲを安定化。

メラノイジン: (複雑な高分子化合物)

メイラード反応で生成される褐色色素。独特の香りと味を持つ。


【今回の簡単レシピ:完璧な卵焼き】

材料:


卵 3個

出汁 大さじ2

砂糖 小さじ1

塩 ひとつまみ

サラダ油 適量


作り方:


卵を溶きほぐし、出汁、砂糖、塩を加えてよく混ぜる

卵焼き器を中火で熱し、薄く油を引く

卵液を1/3流し入れ、半熟状態で手前から巻く

巻いた卵を奥に移動させ、残りの卵液を2回に分けて同様に焼く

巻きすで形を整えて完成


ポイント: 火加減は中火(約160℃)をキープ。これにより、卵白と卵黄が同時に適度に凝固し、ふわふわの食感に!


【卵のタンパク質と熱凝固】


Mine, Y. (1995)

"Recent advances in the understanding of egg white protein functionality"

Trends in Food Science & Technology, 6(7), 225-232.


オボアルブミンの構造と熱変性メカニズム


Huntington, J. A., & Stein, P. E. (2001)

"Structure and properties of ovalbumin"

Journal of Chromatography B, 756(1-2), 189-198.


卵白タンパク質の詳細な化学構造



Woodward, S. A., & Cotterill, O. J. (1987)

"Texture and microstructure of heat-formed egg white gels"

Journal of Food Science, 52(2), 406-413.


加熱温度による卵白の食感変化


Anton, M., et al. (2003)

"Egg yolk: structures, functionalities and processes"

Journal of the Science of Food and Agriculture, 83(9), 823-839.


卵黄のリポタンパク質構造と熱特性


【メイラード反応】


Maillard, L. C. (1912)

"Action des acides aminés sur les sucres: formation des mélanoïdines par voie méthodique"

Comptes Rendus de l'Académie des Sciences, 154, 66-68.


メイラード反応の発見に関する原著論文


Hodge, J. E. (1953)

"Dehydrated foods: Chemistry of browning reactions in model systems"

Journal of Agricultural and Food Chemistry, 1(15), 928-943.


メイラード反応のメカニズム解明


Martins, S. I., Jongen, W. M., & Van Boekel, M. A. (2000)

"A review of Maillard reaction in food and implications to kinetic modelling"

Trends in Food Science & Technology, 11(9-10), 364-373.


食品におけるメイラード反応の速度論的解析


Van Boekel, M. A. (2006)

"Formation of flavour compounds in the Maillard reaction"

Biotechnology Advances, 24(2), 230-233.


メイラード反応による風味成分の生成


【タンパク質の変性と調理】


Tornberg, E. (2005)

"Effects of heat on meat proteins – Implications on structure and quality of meat products"

Meat Science, 70(3), 493-508.


肉のタンパク質の熱変性と食感の関係


Christensen, L., et al. (2011)

"Protein denaturation and water-protein interactions as affected by low temperature long time treatment of porcine Longissimus dorsi"

Meat Science, 88(4), 718-722.


低温長時間調理によるタンパク質変性の制御


【コラーゲンとゼラチンの化学】


Asghar, A., & Henrickson, R. L. (1982)

"Chemical, biochemical, functional, and nutritional characteristics of collagen in food systems"

Advances in Food Research, 28, 231-372.


食品中のコラーゲンの特性と変化


Purslow, P. P. (2005)

"Intramuscular connective tissue and its role in meat quality"

Meat Science, 70(3), 435-447.


コラーゲンのゼラチン化と肉の柔らかさ


Bhat, R., & Karim, A. A. (2009)

"Exploring the nutritional potential of wild and underutilized legumes"

Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety, 8(4), 305-331.


コラーゲンの加熱変化の温度依存性


【アレニウスの式と反応速度論】


Arrhenius, S. (1889)

"Über die Reaktionsgeschwindigkeit bei der Inversion von Rohrzucker durch Säuren"

Zeitschrift für Physikalische Chemie, 4, 226-248.


アレニウスの式の原著論文


Van Boekel, M. A. (2008)

"Kinetic modeling of food quality: a critical review"

Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety, 7(1), 144-158.


食品の品質変化の速度論的モデリング


【調理における温度管理】


Fellows, P. J. (2009)

Food Processing Technology: Principles and Practice (3rd edition)

Woodhead Publishing


食品加工における温度制御の包括的解説


Baldwin, D. E. (2012)

"Sous vide cooking: A review"

International Journal of Gastronomy and Food Science, 1(1), 15-30.


真空低温調理法の科学的解説


【メレンゲの科学とpH効果】


Phillips, L. G., et al. (1990)

"The effect of pH on the flow behavior of egg white proteins"

Journal of Food Science, 55(3), 701-706.


pHが卵白タンパク質の起泡性に与える影響


Campbell, L., et al. (2003)

"Effects of sucrose on the storage stability of egg white powders"

Food Chemistry, 82(4), 583-592.


酸添加によるメレンゲの安定化メカニズム


【絶対音感と感覚の科学】


Zatorre, R. J., & Beckett, C. (1989)

"Multiple coding strategies in the retention of musical tones by possessors of absolute pitch"

Memory & Cognition, 17(5), 582-589.


絶対音感の神経科学的メカニズム


Baharloo, S., et al. (1998)

"Absolute pitch: An approach for identification of genetic and nongenetic components"

American Journal of Human Genetics, 62(2), 224-231.


絶対音感の遺伝的・環境的要因


Levitin, D. J., & Rogers, S. E. (2005)

"Absolute pitch: perception, coding, and controversies"

Trends in Cognitive Sciences, 9(1), 26-33.


絶対音感と音の認識メカニズム


【共感覚(クロスモーダル知覚)】


Spence, C. (2011)

"Crossmodal correspondences: A tutorial review"

Attention, Perception, & Psychophysics, 73(4), 971-995.


異なる感覚間の相互作用


Crisinel, A. S., & Spence, C. (2010)

"As bitter as a trombone: Synesthetic correspondences in nonsynesthetes between tastes/flavors and musical notes"

Attention, Perception, & Psychophysics, 72(7), 1994-2002.


音と味覚の相互関係


【料理と心理学】


Rozin, P. (1996)

"Towards a psychology of food and eating: From motivation to module to model to marker, morality, meaning, and metaphor"

Current Directions in Psychological Science, 5(1), 18-24.


食行動の心理学的側面


Prescott, J. (2012)

Taste Matters: Why We Like the Foods We Do

Reaktion Books


食の嗜好形成における科学と感情の役割


Spence, C., et al. (2014)

"Eating with our eyes: From visual hunger to digital satiation"

Brain and Cognition, 110, 53-63.


視覚が食体験に与える影響


【料理と愛情の関係】


Curtin, D. W., & Heldke, L. M. (Eds.) (1992)

Cooking, Eating, Thinking: Transformative Philosophies of Food

Indiana University Press

料理の哲学的・文化的側面


Ochs, E., & Shohet, M. (2006)

"The cultural structuring of mealtime socialization"

New Directions for Child and Adolescent Development, 2006(111), 35-49.


食事を通じた社会的絆の形成


【調理科学の総合的文献】


This, H. (2006)

Molecular Gastronomy: Exploring the Science of Flavor

Columbia University Press

(邦訳:『分子調理の科学』講談社, 2008)


分子ガストロノミーの先駆的著作


Barham, P. (2001)

The Science of Cooking

Springer


調理の物理学・化学的原理


McGee, H. (2004)

On Food and Cooking: The Science and Lore of the Kitchen

Scribner


調理科学の決定版


【天才と技能習得】


Ericsson, K. A., et al. (1993)

"The role of deliberate practice in the acquisition of expert performance"

Psychological Review, 100(3), 363-406.


専門技能の習得における才能と訓練


Gladwell, M. (2008)

Outliers: The Story of Success

Little, Brown and Company

(邦訳:『天才! 成功する人々の法則』講談社, 2009)


1万時間の法則と天才性の関係


【LGBTQ+と恋愛心理学】


Diamond, L. M. (2003)

"What does sexual orientation orient? A biobehavioral model distinguishing romantic love and sexual desire"

Psychological Review, 110(1), 173-192.

性的指向と恋愛感情の心理学


Peplau, L. A., & Fingerhut, A. W. (2007)

"The close relationships of lesbians and gay men"

Annual Review of Psychology, 58, 405-424.


同性愛における恋愛関係の研究


【日本語参考文献】


山本隆『たまごの科学』

朝倉書店, 1997年


卵の科学的特性の日本語解説


河田昌東『おいしさの科学』

講談社ブルーバックス, 2015年


メイラード反応などの調理化学


松本仲子『調理科学』

建帛社, 2018年


調理の科学的基礎の教科書


伏木亨『コクと旨味の秘密』

新潮新書, 2005年


味覚の科学と料理の関係





【注意事項】

この作品はフィクションであり、以下の点にご注意ください:


クロエの「音で料理の状態を判断する」能力: 誇張された創作表現です。実際には視覚、触覚、経験が主要な判断材料です

初心者が完璧な料理を作る設定: 物語上の演出であり、実際の料理習得には反復練習が必要です

性的指向の描写: 尊重と理解をもって描いていますが、個人の恋愛感情は多様です

化学的説明: 科学的根拠に基づいていますが、簡略化した部分があります

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