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魔法のない魔法使い ― Parallel Diner ―  作者: 伏木 亜耶


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2/14

並行世界からの使者~異世界の栄養カプセル(合成栄養素の悲劇)~

「で、具体的にどうやってその・・・ユナイティアとやらに行くわけ?」


リナは腕を組んで、ジョン・スミスたち使者団を見渡した。

『ナツメ亭』の店内には、十人ほどの黒スーツ姿の男女が立っている。全員が同じような無表情で、まるでマネキンの集団だ。

「次元転送装置を使用します」ジョンが淡々と答えた。「港の上空に展開している次元ゲートを通過すれば、我々の世界に到着します」

「次元転送・・・」リナは頭を抱えた。「もう何がなんだか・・・」

「安全性は保証します。これまでに2,847回の転送実績があり、事故率は0.003%です」

「その0.003%が怖いのよ!」

「大丈夫です。リナさんの体重と体積から計算すると、転送成功率は99.997%――」

「計算すんな!」


リナは深呼吸した。落ち着け。冷静になれ。

「・・・わかったわ。でも、条件がある」

「はい、何でしょう」

「まず、私の厨房道具を全部持っていく。包丁、まな板、鍋、フライパン、調味料・・・全部よ」

「了解しました」

「それから食材。米、野菜、肉、魚、発酵食品・・・これも全部」

「・・・それは」ジョンが困惑した表情を見せた。「量的に可能でしょうか?」

「可能じゃなきゃ困るわ。料理人が手ぶらで行ってどうすんのよ。あ、それと冷蔵庫も。業務用の大きいやつ」

「れ、冷蔵庫・・・」

「当たり前でしょ! 食材の鮮度管理は基本中の基本なのよ!」

ジョンは他の使者たちと視線を交わした。


「・・・転送可能重量を再計算します。少々お待ちを」

使者の一人が、腕につけた不思議な装置を操作し始める。ホログラムのような映像が空中に浮かび上がり、複雑な数式が流れていく。

「すごい技術ね・・・」リナは目を丸くした。「こんな科学力があるのに、料理は失われたの?」

「はい」ジョンが答えた。「我が国は、効率を追求した結果、『不要なもの』を次々と廃止していきました。料理もその一つです」


「料理が・・・不要?」

「500年前、第三次世界大戦後、食糧難に陥った我が国は、政府主導で完全栄養食プログラムを開始しました。科学者たちが開発した栄養カプセルは、すべての必要栄養素を含み、保存も容易で、調理の手間もない。完璧な食事でした」

「完璧・・・ね」

「はい。国民は栄養カプセルだけで健康に生活できるようになり、料理は『時間の無駄』として廃れていきました。やがて、火を使う調理は安全上の理由で違法化され、レストランは博物館にしか存在しなくなった」

リナは複雑な表情になった。

「でも、それで本当に幸せだったの? あなたたちは」

ジョンは答えなかった。


いや、答えられないのだろう。

この人は、料理を知らない。味わうという行為を知らない。

「・・・転送可能です」別の使者が報告した。「厨房道具、食材、冷蔵庫含めて、総重量2.3トン。転送可能範囲内です」

「よし」リナは立ち上がった。「じゃあ、準備するわ。全部リストアップして、梱包しないと」

「お手伝いします」

使者たちが一斉に動き出した。


一時間後。

『ナツメ亭』の厨房は、まるで引っ越し現場のようになっていた。

段ボール箱が山積みにされ、業務用冷蔵庫が玄関先に運び出されている。

「米30キロ、醤油、味噌、みりん、酒・・・」リナはリストをチェックしながら指示を出す。

「あ、出汁昆布も! 鰹節も! 発酵食品が重要なのよ!」

「は、発酵食品?」使者の一人が首を傾げた。

「そうよ。納豆、漬物、ヨーグルト、チーズ・・・腸内細菌を復活させるには必須なの」

「・・・腸内細菌?」

「あんたたち、本当に何も知らないのね」リナは呆れた。「腸内には100兆個以上の細菌が住んでて、消化吸収を助けたり、ビタミンを合成したり、免疫を調整したりしてるの。これがいないと、人間はまともに生きられないのよ」

使者は理解できないという顔をしている。


リナはため息をついた。

「・・・まあ、いいわ。実際に見せてあげる。百聞は一見にしかずよ」

「リナさん」ジョンが声をかけた。「一つ、お願いがあります」

「何?」

「我が国では、火を使う調理は違法です。ですので、大統領府内に『実験室』として特別許可を取得しました。そこで調理をしていただくことになります」

「実験室・・・」

「はい。化学実験という名目であれば、火の使用が認められます」

「なるほどね。料理は化学実験、か。まあ、間違ってないけど」

リナは父の形見の包丁を手に取った。

柄には「夏目」と刻まれている。

父が料理人として生きた証。

そして今、リナがそれを受け継いでいる証。

「お父さん・・・見守っててね」

リナは包丁をケースに仕舞い、エプロンを畳んだ。


夜。


港の上空には、巨大な光の円環が輝いている。

その下に、大量の荷物と、リナ、そして使者団が集まっていた。

「準備はいいですか?」ジョンが確認する。

「・・・正直、全然できてないわ」リナは苦笑いした。

「並行世界なんて、SFの中だけの話だと思ってたもの」

「ご安心ください。我々がサポートします」

「ありがと。でも、一つだけ約束して」

「何でしょう」

「あなたたちの世界を、私は変えるかもしれない。料理を取り戻すってことは、生活を変えるってこと。それでもいいの?」


ジョンは、初めて笑顔を見せた。

ぎこちない、慣れない笑顔だったが、確かに人間的な温かさがあった。

「我々は、変化を恐れていません。むしろ、変わりたいと願っています。失ったものを取り戻したい。そのために、あなたをお呼びしたのです」

「・・・そう。なら、覚悟しなさいよ。私、結構厳しいから」

「はい!」

ジョンが使者たちに合図を送ると、荷物が次々と光の円環に運び込まれていく。


そして――

「では、リナさん。参りましょう」

ジョンがリナの手を取った。

「え、ちょ、手を繋ぐの!?」

「転送中に離れると危険ですので」

「そ、そう・・・」

リナは顔を赤らめた。27年間、男性と手を繋いだことなんて数えるほどしかない。

「緊張されていますか?」

「べ、別に! ちょっと心臓がバクバクしてるだけよ!」

「大丈夫です。転送は一瞬で終わります」

ジョンに導かれ、リナは光の円環に足を踏み入れた。


瞬間――

世界が、歪んだ。

「うわああああ!?」

視界がぐにゃりと曲がり、体が浮き上がる感覚。重力が消失し、上下左右の感覚が失われる。

色とりどりの光が乱舞し、耳には不思議な音楽のような、機械音のような、何とも表現しがたい音が響く。

「き、気持ち悪い・・・!」

「もうすぐ到着します! 耐えてください!」


そして――

ドン、と衝撃。

リナは地面に倒れ込んだ。

「うぷ・・・」

吐き気。めまい。全身の脱力感。

「リナさん、大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫じゃない・・・ すっごく酔った・・・」

「申し訳ありません。初めての方は、転送酔いを起こすことがあります」

「・・・先に言いなさいよ」

リナはゆっくりと立ち上がり、周囲を見渡した。


そして――

息を呑んだ。

「・・・これが、ユナイティア?」


そこは、白い世界だった。

真っ白なビル群が整然と立ち並び、空には雲一つない青空が広がっている。

道路は完璧に舗装され、一台の車もない。代わりに、透明なチューブの中を小型のカプセルが高速で移動している。

人々は皆、同じような白い服を着て、無表情で歩いている。

「・・・綺麗、だけど」

リナは違和感を覚えた。


清潔すぎる。整いすぎている。

そして――

何の匂いもしない。


料理の匂い、花の香り、土の匂い、海の潮の香り・・・

そういった「生活の匂い」が、一切しない。

まるで、消毒された実験室のような世界。

「ここが・・・料理のない世界・・・」

「はい」ジョンが答えた。「我が国、ユナイティア合衆国の首都、ニューユートピアです」

「ニューユートピア・・・新しい理想郷、ってこと?」

「その通りです。効率と合理性を追求した、完璧な都市」


「完璧、ね・・・」

リナは複雑な表情になった。

確かに綺麗だ。清潔だ。整っている。

でも――

「なんか、息苦しいわね」

「え?」

「空気が・・・じゃなくて、雰囲気が。人々の表情が、みんな同じ。笑顔がない」

ジョンは黙った。

リナの指摘が、核心を突いていたからだ。

「・・・参りましょう。大統領がお待ちです」

使者団に導かれ、リナは白い道を歩き出した。

途中、巨大な建物の前を通りかかった。

「あれは?」リナが指差す。

「栄養カプセル配給センターです。国民は毎日、ここで一日分のカプセルを受け取ります」

「見学できる?」

「・・・はい。ただし、時間が」

「少しだけでいいわ。この世界を理解しないと、治療もできない」

ジョンは頷き、リナを建物の中へと案内した。


配給センターの内部は、まるで巨大な薬局のようだった。

壁一面に、無数の小さな引き出しが並んでいる。

人々が整然と列を作り、順番に引き出しを開けて、中から小さなカプセルを受け取っている。

「これが・・・栄養カプセル?」

リナは近くの引き出しを覗き込んだ。

中には、透明なカプセルが三つ入っている。朝食用、昼食用、夕食用。


「成分表を見せてもらえる?」

「こちらです」

ジョンが端末を操作すると、ホログラムに成分表が表示された。

リナはそれを凝視した。

「炭水化物・・・マルトデキストリン(C₆H₁₀O₅)ₙ。タンパク質・・・分離大豆タンパク。脂質・・・MCTオイル。ビタミン各種、ミネラル各種・・・」

一つ一つ、完璧に計算されている。

カロリー、栄養バランス、すべてが理想的。


でも――

「食物繊維が、ない」

「食物繊維?」ジョンが首を傾げた。

「そう。野菜や穀物に含まれる、消化されない成分。以前は『不要』とされてたけど、実は腸内細菌の餌なのよ。これがないと・・・」

リナは成分表をスクロールした。

「やっぱり。ポリフェノール、カロテノイド、フラボノイド・・・ファイトケミカルも全部ない」

「ファイトケミカル?」

「植物由来の機能性成分よ。抗酸化作用、抗炎症作用、免疫調整作用・・・様々な健康効果がある。でも栄養素としては『必須』じゃないから、この成分表には載ってない」


リナは端末を閉じた。

「わかったわ。これが原因ね」

「原因・・・ですか?」

「ええ。完璧すぎるのよ、このカプセル。必要最小限の栄養素『だけ』を含んでる。でも、人間の体はそんなに単純じゃない。必須栄養素以外にも、健康を維持するために必要な成分がたくさんあるの」

「しかし、我々はこれで500年間・・・」

「生きてこれた、でしょ? でも、健康だった? 本当に?」

ジョンは答えられなかった。


リナは配給センターを後にした。

外に出ると、目の前を一人の老人が歩いていた。

いや、老人?

リナは目を凝らした。

「・・・あの人、何歳くらいに見える?」

「70歳前後かと」

「いえ・・・歩き方だけを見ればそんな年齢じゃない」

リナは老人に駆け寄った。

「あの、すみません!」

老人が振り返る。

リナはその顔を見て、そして質問をして確信した。

ジョンに耳打ちする。

「この人・・・まだ50代よ」

「え?」ジョンが驚いた。


「顔のシワ、皮膚のたるみ、髪の状態・・・老化が早すぎる。栄養カプセルだけの生活で、抗酸化物質が不足してるのよ。活性酸素を除去できなくて、細胞が酸化して老化が加速してる」

老人は不思議そうにリナを見ていたが、やがて歩き去った。

リナは周囲の人々を観察した。

全員、実年齢より老けて見える。

肌のツヤがない。髪が薄い。目に生気がない。

「・・・この世界、病んでるわ」

リナは呟いた。

「完璧な栄養管理のはずなのに、みんな不健康。これが、料理のない世界の現実なのね」

「リナさん・・・」

「大統領府に案内して。早く治療を始めないと」

リナの目に、強い決意が宿っていた。


大統領府は、街の中心にそびえる巨大な白い建物だった。

リナは使者団に導かれ、最上階の執務室へと向かった。

廊下を歩く途中、何人もの職員とすれ違ったが、誰も彼もが疲れ切った表情をしている。

「大統領の側近たちも、体調が優れないのですか?」

「はい」ジョンが答えた。「大統領府で働く者は、最高級の栄養カプセルを支給されています。しかし、それでも・・・」

「最高級も何も、根本が間違ってるんだから意味ないわよ」

やがて、重厚な扉の前に到着した。

「ここが、大統領の執務室です」

扉が開かれる。

中は、医療機器に囲まれた病室のようになっていた。

そして、ベッドの上には――

「・・・これが、大統領?」

リナは息を呑んだ。

ベッドに横たわる人物は、骨と皮だけになっていた。

顔色は土気色で、呼吸は浅く、意識も朦朧としている。

「今は何歳なの?」

「55歳です」

「嘘・・・80代にしか見えない・・・」

リナはベッドに近づいた。

大統領の手を取る。

冷たい。血行不良だ。

脈を測る。弱々しく、不整。

舌を見せてもらう。白く、苔が厚い。

「完全に栄養失調ね。でも、普通の栄養失調じゃない。これは・・・」


リナは傍らの医療チームを見た。

五人ほどの医師が、深刻な表情で立っている。

「あなたたちが、この国の医師団?」

「はい」リーダー格の男性が答えた。「私は主治医のドクター・ジョンソンです。しかし、我々には・・・もう打つ手がない」

「血液検査のデータを見せて」

ジョンソンが端末を渡す。

リナはデータをスクロールした。

「・・・本当だ。すべて正常値」

「そうなのです。血糖値、コレステロール、肝機能、腎機能・・・すべて正常。画像診断でも異常なし。遺伝子検査でも問題なし。なのに、大統領は衰弱し続けている」

「おかしいと思わなかった?」

「思いました。しかし、データは嘘をつきません」

「いいえ」リナは首を振った。「データは、見るべきものを見ていないだけ。あなたたちは、腸内細菌叢の検査はした?」

「腸内細菌?」

「そう。腸内フローラ。マイクロバイオーム。調べた?」

「・・・いいえ。それは栄養状態とは関係ないと」

「大ありよ!」


リナは端末を操作し、大統領の便検査データを探した。

「・・・あった。これ」

画面には、腸内細菌の種類と数が表示されていた。

ジョンソンたちが覗き込む。

そして――

「これは・・・」

「ほとんど、いないわね。善玉菌も悪玉菌も、日和見菌も。腸内が、完全に死んでる」

リナは断言した。

「これが原因よ。大統領は、栄養カプセルだけの生活で腸内細菌叢が全滅した。結果、ビタミンKやビタミンB群の一部が体内で合成できなくなった。それに、短鎖脂肪酸も産生されない。短鎖脂肪酸――酢酸(C₂H₄O₂)、プロピオン酸(C₃H₆O₂)、酪酸(C₄H₈O₂)は、大腸粘膜のエネルギー源なの。これがないと、腸のバリア機能が崩壊する」

「バリア機能・・・」

「そう。腸壁が正常に機能しなくなると、本来吸収されるべきでない物質が血中に入り込む。リーキーガット症候群って言うんだけど、全身に慢性炎症が起こるの。その結果・・・」


リナは大統領を見た。

「栄養は摂ってるのに、使えない。満腹なのに、飢餓状態。これが、完璧な栄養管理が生んだ悲劇よ」

医師団が息を呑んだ。

「では・・・どうすれば・・・」

「治すわよ」

リナは力強く言った。


「料理で。まず腸内環境を再構築する。善玉菌を増やし、短鎖脂肪酸の産生を回復させる。それから、蓄積した合成栄養素の排出を促す。最後に、本物の食事で体を立て直す」

「本当に・・・可能ですか?」

「やってみせるわ。ただし」


リナは医師団を見渡した。

「邪魔しないで。私のやり方を信じて」

「・・・わかりました」ジョンソンが頷いた。「あなたに、すべてを委ねます」

「よし」

リナは腕まくりをした。

「じゃあ、まずは厨房・・・いえ、『実験室』を見せて。戦いは、そこから始まるわ」


大統領の治療が、今、幕を開けようとしていた。

【今回の化学式解説】


マルトデキストリン - (C₆H₁₀O₅)ₙ


でんぷんを部分的に分解した多糖類。消化吸収が早く、エネルギー源として利用される。栄養カプセルなどでよく使用されるが、血糖値の急上昇を招く可能性がある。


MCTオイル(中鎖脂肪酸)


ココナッツオイルなどに含まれる炭素数8〜10の脂肪酸。消化吸収が早く、エネルギーとして利用されやすい。しかし長鎖脂肪酸と比べて、必須脂肪酸は含まない。


短鎖脂肪酸


酢酸(C₂H₄O₂):大腸粘膜のエネルギー源

プロピオン酸(C₃H₆O₂):肝臓での糖新生に関与

酪酸(C₄H₈O₂):大腸粘膜細胞の主要エネルギー源、抗炎症作用


これらは腸内細菌が食物繊維を発酵分解することで産生される。


ファイトケミカル


植物由来の機能性成分の総称。ポリフェノール、カロテノイド、フラボノイドなど。抗酸化作用、抗炎症作用、免疫調整作用を持つ。必須栄養素ではないが、健康維持に重要。


リーキーガット症候群(腸管壁浸漏症候群)


腸壁のバリア機能が低下し、本来吸収されない物質が血中に入り込む状態。全身性の慢性炎症、アレルギー、自己免疫疾患などの原因となる。


腸内細菌叢(マイクロバイオーム)


腸内に生息する100兆個以上の細菌群。善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスが重要。ビタミンK₂やビタミンB群の一部を合成し、免疫調整にも関与する。


【合成ビタミンと天然ビタミンの違い】


化学式は同じでも、立体構造や付随する補因子が異なる場合がある:

ビタミンE


天然:d-α-トコフェロール(生物活性が高い)


合成:dl-α-トコフェロール(d型とl型の混合、活性は天然の約2/3)


葉酸


天然:食品に含まれる様々な形態の葉酸

合成:プテロイルモノグルタミン酸(吸収率は高いが、過剰摂取のリスクあり)


ビタミンC


天然:アスコルビン酸+バイオフラボノイド

合成:アスコルビン酸のみ(バイオフラボノイドがないと吸収率・利用効率が低下)


リナのメモ:完璧な栄養管理の落とし穴


単一栄養素の限界


栄養素は単独では機能しない

相互作用が重要(例:ビタミンCが鉄の吸収を促進)



食物繊維の重要性


かつては「不要」とされた

実は腸内細菌の餌として必須


ファイトケミカルの役割


必須栄養素ではないが健康に重要

合成できない、天然食品から摂取必要


腸内細菌叢の崩壊


合成栄養素のみでは腸内細菌が生きられない

ビタミン合成、免疫調整が不可能に


結論


完璧に見える栄養管理ほど危険

人間の体は、まだ完全には理解されていない

「食べる」という行為は、単なる栄養摂取以上の意味を持つ


【参考文献・もっと知りたい人へ】

腸内細菌と健康


『腸内細菌の驚愕の真実』辨野義己 NHK出版

『あなたの体は9割が細菌』アランナ・コリン 河出書房新社

『腸科学』ジュリア・エンダース サンマーク出版

研究論文:「Short-chain fatty acids in control of body weight and insulin sensitivity」Nature Reviews Endocrinology


リーキーガット症候群


『腸もれがあらゆる病気の原因だった!』藤田紘一郎 PHP研究所

『腸の力であなたは変わる』デイビッド・パールマター 三笠書房

医学論文:「Intestinal Permeability and Its Regulation」Gut誌


合成vs天然栄養素


『天然と合成、その違いを検証する』東京化学同人

『栄養学の基本がわかる事典』成美堂出版

『サプリメントの正体』東洋経済新報社


ファイトケミカル


『ファイトケミカル事典』学研プラス

『抗酸化物質の科学』講談社ブルーバックス

『機能性食品の科学』朝倉書店


食物繊維の重要性


『食物繊維のすべて』女子栄養大学出版部

『第6の栄養素 食物繊維』NHK出版

研究論文:「Dietary fiber and health outcomes」The Lancet


栄養失調とマイクロバイオーム


『マイクロバイオームの世界』講談社ブルーバックス

『栄養と免疫』医歯薬出版

WHO報告書:「Malnutrition and the Microbiome」


ビタミン・ミネラルの立体化学


『立体化学入門』化学同人

『ビタミンの科学』東京化学同人

『栄養化学』化学同人


免責事項

本作品は栄養学・生化学の知識を基にしたフィクションです。腸内細菌叢の改善や栄養療法については、個人の体質や健康状態により効果が異なります。健康上の問題や治療については、必ず医師や管理栄養士にご相談ください。特に重篤な疾患の場合、自己判断での食事療法は危険です。


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