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魔法のない魔法使い 【並行世界料理譚】― Parallel Diner ―  作者: 伏木 亜耶


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17/21

1000人の食卓~料理は、奇跡を起こせるか~

【※以降、登場人物たちは次元ゲートの自動翻訳機能により、それぞれの母語で話していますが、読みやすさのため、すべて日本語で表記します】


無料食堂開催まで、あと三日。


大学の中央厨房では、リナたちが大量調理の準備に追われていた。

「1000食分の食材リスト、確認します」

エミリーが、書類を読み上げた。

「牛肉50キロ、鶏肉50キロ、野菜類200キロ、米100キロ...」


「C'est énorme!(これは膨大だ!)」

ピエールが、目を丸くした。


「1000人分を一度に調理するなんて、経験がないわ...」

リナも不安そうだった。


お駒が、落ち着いた声で言った。

「江戸の施し炊き出しでは、五百人分を作ったことがございます。大鍋を三つ使い、チームで分担すれば...」


マックスが腕組みをした。

「問題は、調理時間だ。当日の朝から作り始めても、昼までに1000食は厳しい」


ハリソンが、計算機を叩いた。

「大鍋一つで一度に200食分調理可能。三つの鍋を回転させれば...最低でも五時間必要です」


「五時間...」

リナが呟いた。


その時――

厨房の扉が開いた。

「すみませーん! ここが、ユナイティア国立料理大学ですか?」

明るい声が響いた。


振り返ると、そこには――

三十代前半の女性が立っていた。

茶色の髪をポニーテールにまとめ、エプロン姿。

陽気な笑顔。


「私、ソフィア・ロッシと申します! イタリアのローマから来ました!」

ソフィアは、ぱっと手を広げた。

「次元ゲートの噂を聞いて、飛んできちゃった! ここで料理を教えたいんです!」

リナは、ソフィアを見た。

エネルギッシュな雰囲気。そして、エプロンについた油のシミ。


「本物の料理人ね」

リナは、微笑んだ。

「ようこそ、ソフィアさん。校長のリナ・ナツメです」

「リナ先生! お会いできて光栄です!」

ソフィアは、リナの手を両手で握った。

「あなたのこと、イタリアでも噂になってるんですよ! 『並行世界で料理革命を起こした日本人』って!」

「そんな大げさな...」


ピエールが前に出た。

「Madame Rossi... いえ、ソフィアさん。私はピエール・ボーモン、フランスから来ました」

「あら、フランス人! ピエール、よろしくね!」

ソフィアは、気さくにピエールの肩を叩いた。

ピエールは、わずかに顔をしかめた。


「...フランス料理とイタリア料理は、ライバル関係だと聞いていますが」

「あら、そんなの昔の話よ!」

ソフィアは、笑った。

「今はグローバル時代! 協力し合わなきゃ!」


お駒が、丁寧にお辞儀をした。

「ソフィア様、わたくしお駒と申します。江戸の料理人でございます」

「江戸! すごーい! 時代を超えて来たんですね!」

ソフィアは、目を輝かせた。

「これって、まさに料理人の夢じゃないですか! 世界中、いえ、時代を超えた料理人が集まるなんて!」

リナは、ソフィアの明るさに、少し元気をもらった。


「ソフィアさん、実は今、ちょうど困ってたところなの」

「困ってる? 何ですか?」

リナは、状況を説明した。

1000人分の無料食堂。限られた時間。大量調理の経験不足――

ソフィアは、話を聞きながら、何度も頷いていた。

「なるほどなるほど」


そして――

「簡単じゃないですか!」

ソフィアは、にっこり笑った。

「え?」

全員が、ソフィアを見た。

「簡単って...どういうこと?」

ソフィアは、厨房を見渡した。


「イタリアには、『Cucina Povera(クチーナ・ポーヴェラ)』という料理文化があるんです」

「クチーナ・ポーヴェラ?」

「貧しい人々の料理、という意味です」


ソフィアは、説明を始めた。

「イタリアの農民たちは、高価な食材を買えなかった。だから、安い食材を工夫して、美味しく栄養価の高い料理を作った」


ソフィアは、パスタを指差した。

「例えば、パスタ。小麦粉と水だけで作れる。それに、トマトソース、ニンニク、オリーブオイル。シンプルだけど、美味しくて、栄養満点」

ソフィアは、続けた。

「そして、大量調理に向いてる。一つの大鍋で、何百人分も作れるんです」


リナの目が輝いた。

「それよ! それが必要だったの!」

ピエールが、考え込んだ。

「確かに...フランスのポトフも大量調理向きだが、パスタの方が調理時間が短い」


お駒が、感心した様子で言った。

「小麦粉と水だけで、そんなに美味しいものができるのでございますか?」

「できますよ!」

ソフィアは、自信満々に言った。

「でも、ポイントがあります」


ソフィアは、指を三本立てた。

「一つ、塩の量を正確に測る。パスタを茹でる水の塩分濃度は、1%」

「二つ、アルデンテに茹でる。柔らかすぎると、栄養が逃げるし、食感が悪い」

「三つ、ソースとパスタを『マンテカーレ』する――つまり、鍋の中で混ぜ合わせて、乳化させる」


リナが、ホワイトボードに化学式を書き始めた。

「塩分濃度1%...つまり、水10リットルに対して、塩化ナトリウム(NaCl)100g」

「アルデンテ...デンプン(C₆H₁₀O₅)ₙの糊化を70%程度に抑える」

「乳化...油と水を、タンパク質や多糖類で結合させる」


リナは、振り返った。

「科学的に理にかなってるわ!」


【化学コラム①:パスタの科学】

パスタは、小麦粉(主成分:デンプンとグルテン)と水から作られる。


デンプンの糊化: パスタを茹でると、デンプン粒が水を吸収し、60℃以上で糊化(ゲル化)する。

完全に糊化すると柔らかくなりすぎるため、「アルデンテ(歯ごたえがある状態)」に仕上げるには、中心部にわずかに硬い芯を残す。


グルテンの役割: 小麦粉のタンパク(グルテニンとグリアジン)が水と混ざると、グルテンという弾力のある網目構造を形成。

これがパスタの「コシ」を生む。


塩の役割: 茹で湯に塩を加えると、(1)パスタに下味がつく、(2)グルテンが引き締まり食感が良くなる、(3)水の沸点がわずかに上がる(沸点上昇)。


乳化: ソース(油と水)とパスタを混ぜる際、パスタから溶け出したデンプンが乳化剤として働き、油と水が混ざり合う。これにより、ソースがパスタに絡みやすくなる。


栄養面: パスタは、炭水化物源として優秀。低GI食品(血糖値の上昇が緩やか)であり、持続的なエネルギー供給が可能。トマトソースを加えることで、ビタミンC、リコピン、食物繊維も摂取できる。

―――――――――――――――――――

「じゃあ、メニューを決めましょう」


リナが、ホワイトボードに書いた。

「メインディッシュ:トマトソースのパスタ(ソフィア担当)」

「サブディッシュ:野菜のポトフ(ピエール担当)」

「ライス料理:けんちん汁と玉子粥(お駒さんたち担当)」


リナは、チームを見た。

「三つのチームで、それぞれ400食ずつ作る。合計1200食。少し余裕を持たせましょう」

マックスが、調理スケジュールを書き始めた。


「当日朝6時:仕込み開始

8時:調理開始

11時:配膳開始

14時:終了予定」


ハリソンが、栄養計算をした。

「パスタ一人前350kcal、ポトフ250kcal、けんちん汁150kcal...合計750kcal。タンパク質、脂質、炭水化物のバランスも良好です」

エミリーが、手を挙げた。

「リナ、学生たちの役割分担は?」

「学生は、五つのチームに分ける」


リナが説明した。

「チーム1:食材準備(野菜を切る、肉を下処理する)

チーム2:調理補助(火の番、混ぜる、味見)

チーム3:配膳準備(皿を並べる、スプーンを配る)

チーム4:配膳(料理を盛る、配る)

チーム5:清掃(使った器具を洗う、ゴミをまとめる)」


クロエが、意気込んで言った。

「私、チーム2に入ります! ピエール先生のポトフ、手伝わせてください!」

ピエールが、微笑んだ。

「もちろんです、クロエ。あなたの絶対音感は、煮込みの状態を判断するのに役立つでしょう」


ソフィアが、エミリーの肩に手を置いた。

「エミリーちゃん、あなたは私と一緒にパスタ作りましょ! 栄養学の知識があるなら、完璧なチームよ!」

「はい! 頑張ります!」


お駒が、静かに言った。

「わたくしたちは、お吉、おりん、そして学生たちと、心を込めて粥を作らせていただきます」


リナは、みんなを見渡した。

「よし。じゃあ、明日と明後日は、リハーサルよ。200食ずつ作って、手順を確認する」

リナは、拳を握った。

「本番で、失敗は許されない。人々は、私たちの料理を待ってるんだから!」

「はい!」

全員が、声を揃えた。


翌日、リハーサル。

ソフィアのチームが、200人分のパスタ作りに挑戦した。

「まず、パスタを茹でる大鍋を三つ用意!」

ソフィアが指示を出す。


「一つの鍋で、一度に5キロのパスタを茹でます! 水は50リットル、塩500g!」

学生たちが、慌ただしく動く。

「水が沸騰したら、パスタを入れて! 時間は8分! タイマーセット!」


エミリーが、トマトソースの準備をしていた。

「トマト缶20kg、ニンニク500g、オリーブオイル2リットル...」


エミリーは、大鍋でニンニクを炒めた。

「リナ、この香り...メイラード反応ですね!」

「そうよ。ニンニクのアリシン(C₆H₁₀OS₂)が、熱で変化して、独特の香気成分を生成する」


リナは、温度計を確認した。

「140℃前後をキープして。焦がさないように」

トマトソースが煮えてくると、厨房は甘酸っぱい香りに包まれた。

「うわぁ...美味しそう...」

学生たちが、思わず声を漏らした。


「Timer!(タイマー!)」

ピエールが叫んだ。

「パスタ、上げて!」

学生たちが、パスタを湯から上げた。


ソフィアが、確認する。

「OK! アルデンテに仕上がってる!」

ソフィアは、パスタを大きなフライパンに移した。


「ここからが勝負! トマトソースを加えて、マンテカーレ!」

ソフィアは、フライパンを力強く振った。

「パスタとソースを、踊らせるのよ! リズムが大事!」

ソフィアは、まるでダンスを踊るように、フライパンを振り続けた。


すると――

ソースが、パスタに完璧に絡み始めた。

「できた!」

ソフィアは、皿に盛った。

「Ecco! 完璧なトマトソースパスタ!」


リナが、一口食べた。

「...美味しい」

リナは、目を閉じた。

「トマトの酸味、ニンニクの香り、パスタの食感――すべてが完璧にバランスしてる」


ソフィアは、照れくさそうに笑った。

「イタリアの『マンマ(お母さん)』たちが、何百年も磨いてきた技ですからね」


ピエールも、味見をした。

「...認めざるを得ない。これは素晴らしい」

ピエールは、わずかに悔しそうだった。

「フランス料理の繊細さとは違う、力強い美味しさだ」


ソフィアは、ピエールの肩を叩いた。

「ピエール、競争する必要ないわよ。私たちは、同じ目的のために料理してるんだから」

ピエールは、考えて、それから笑った。

「...その通りですね」


次に、ピエールのチームがポトフのリハーサルをした。

「ポトフは、フランスの家庭料理です」

ピエールが説明した。

「牛肉と野菜を、長時間煮込む。シンプルだが、深い味わいが生まれる」


ピエールは、大鍋に材料を入れた。

「牛肉20kg、玉ねぎ10kg、人参10kg、セロリ5kg、じゃがいも10kg」

「水は100リットル。ローリエ、タイム、黒胡椒を加える」


クロエが、温度計を確認した。

「現在85℃です」

「良い。90℃をキープして、三時間煮込みます」

ピエールは、アクを丁寧に取った。

「アクを取ることで、透明で上品なスープになります」


三時間後。

鍋の中では、牛肉が柔らかく崩れ、野菜の旨味が溶け出していた。

「試食してみてください」

ピエールが、スープをカップに注いだ。


リナが、一口飲んだ。

「...これは...」

リナは、驚いた顔をした。

「野菜の甘み、牛肉の旨味、ハーブの香り――すべてが溶け合って、優しい味になってる」


お駒が、感動した様子で言った。

「これは...滋養のあるお味でございますね」


ピエールは、誇らしげに微笑んだ。

「ポトフは、病人や老人のための料理でもあるのです。消化しやすく、栄養価が高い」


ハリソンが、スープの成分分析をした。

「素晴らしい。ビタミンB群、ミネラル、コラーゲン由来のゼラチン...これは完璧な栄養食です」


最後に、お駒たちのチームが、けんちん汁と玉子粥のリハーサルをした。

「けんちん汁は、鎌倉の建長寺が発祥と言われております」

お駒が説明した。

「精進料理でございますゆえ、肉は使いません。しかし、野菜と豆腐だけで、十分な栄養と旨味が得られます」


お駒は、ごま油で野菜を炒めた。

「大根、人参、牛蒡、里芋、椎茸...」

「ごま油で炒めることで、香ばしさと、脂溶性ビタミンの吸収を高めます」


お吉が、昆布出汁を加えた。

「昆布のグルタミン酸と、椎茸のグアニル酸(C₁₀H₁₄N₅O₈P)。この二つが合わさると――」


おりんが続けた。

「旨味が、何倍にも増しますのよ」


お駒は、味噌を溶き入れた。

「最後に、豆腐と葱を加えて――」

お駒は、優しく混ぜた。

「できあがりでございます」


リナが、けんちん汁を一口飲んだ。

「...ほっとする味ね」

リナは、微笑んだ。

「派手じゃないけど、体に染み渡る」


お駒が、続けて玉子粥を作った。

「粥は、消化に良く、体を温めます」

お駒は、柔らかく炊いた米に、溶き卵を流し入れた。

「卵は、『完全栄養食品』と呼ばれます」

お駒は、優しくかき混ぜた。

「タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル...すべてがバランスよく含まれております」


ソフィアが、玉子粥を食べた。

「うわぁ...優しい...」

ソフィアは、涙ぐんだ。

「これ、子供の頃、病気の時に母が作ってくれた『リゾット』に似てる...」


ピエールも、食べた。

「フランスにも、似た料理があります。『ブイヨン・ドゥ・プール(鶏のスープ)』...」

ピエールは、静かに言った。

「料理は、国境を超えますね」


お駒は、微笑んだ。

「人は、どこでも、病める者を癒やし、弱き者を養うために、料理を作ってきたのでございますね」


リハーサルが終わり、夜。

リナ、ソフィア、ピエール、お駒は、一緒に食卓を囲んでいた。

テーブルには、三つの料理が並んでいる。

パスタ、ポトフ、けんちん汁――


「さあ、みんなで食べましょう」

リナが言った。

四人は、それぞれの料理を少しずつ皿に取った。


「Buon appetito!(召し上がれ!)」ソフィアが言った。

「Bon appétit!(召し上がれ!)」ピエールが続けた。

「いただきます」お駒が、手を合わせた。

四人は、静かに食べた。


それから――

ソフィアが、笑った。

「ねえ、すごくない? 私たち、イタリア、フランス、日本、そしてこの並行世界――全部違う場所から来たのに、一緒に料理を作って、一緒に食べてる」


ピエールが、頷いた。

「料理は、言語よりも強力なコミュニケーション手段かもしれませんね」

お駒が、静かに言った。

「料理は、人の心を繋ぐのでございますね」


リナは、三人を見た。

「明後日、私たちは1000人に料理を振る舞う」

リナは、グラスを掲げた。

「でも、それは単なる食事じゃない。私たちが、心を込めて作った、『希望』を届けるのよ」

リナは、微笑んだ。

「南地区の人々に、『あなたたちは忘れられていない』『誰かがあなたたちを大切に思っている』――それを、料理で伝えるの」


ソフィア、ピエール、お駒は、グラスを掲げた。

「乾杯!」

四人のグラスが、カチンと音を立てた。


そして――

無料食堂当日。

朝6時。

南地区の広場には、すでに巨大なテントが設営されていた。


その中には、三つの大鍋、配膳用のテーブル、そして――

「え...」

リナは、テントの外を見て、絶句した。


そこには――

信じられない光景が広がっていた。

列が、延々と続いている。

100人、200人、500人――


「ジョン! これ、何人いるの!?」

ジョン・スミスが、青ざめた顔で答えた。

「...最新の集計で、五千人以上です」

「五千!?」


リナは、頭を抱えた。

「私たち、1200食しか用意してないのよ!?」

ソフィアが、リナの肩を掴んだ。

「リナ、落ち着いて!」

ピエールも、冷静に言った。

「今から追加で作ることはできます。問題は、時間と食材の量ですが――」


お駒が、静かに言った。

「リナ様、昔、こんな言葉を聞いたことがございます」

お駒は、微笑んだ。

「『五つのパンと二匹の魚で、五千人が食べた』と」


リナは、お駒を見た。

「聖書の話ね...でも、あれは奇跡で――」

「奇跡ではございません」


お駒が、穏やかに言った。

「分け合う心が、奇跡を起こしたのでございます」

お駒は、テントの中を見た。

「私たちも、工夫しましょう。食材を最大限に活かし、一人一人に、少しずつでも届ける」


ソフィアが、ぱっと顔を上げた。

「そうだ! イタリアには、『Acquacotta(アクアコッタ)』という料理があるの!」

「アクアコッタ?」

「『煮た水』という意味。超シンプルな料理だけど、工夫次第で美味しくなる!」


ソフィアは、説明を始めた。

「基本は、水、パン、トマト、卵、チーズ。これだけ。でも、野菜の切れ端や、残ったスープを加えれば、栄養価も味も上がる!」


ピエールが、目を輝かせた。

「それは、フランスの『Soupe de pain(スープ・ド・パン)』に似ていますね!」


お駒も、頷いた。

「江戸にも、『水増し雑炊』という料理がございます。少ない米を、野菜や出汁で増やすのです」


リナは、三人を見た。

そして――

決意した。

「よし! やるわよ!」


リナは、学生たちを集めた。

「みんな、聞いて! 計画変更!」


リナは、ホワイトボードに書いた。

「新メニュー:『五大陸スープ』!」

「これは、パスタのトマトソース、ポトフのスープ、けんちん汁、それに水、パン、卵を全部混ぜた、『奇跡のスープ』よ!」


学生たちが、どよめいた。

「全部混ぜる...?」

「大丈夫なんですか...?」


リナは、自信を持って言った。

「大丈夫! すべて栄養価が高く、味の相性も良い材料だから!」


リナは、化学式を書いた。

「トマトのグルタミン酸、昆布のグルタミン酸、椎茸のグアニル酸――すべて旨味成分よ!」

「卵のタンパク質、野菜のビタミン、パンの炭水化物――完璧な栄養バランス!」


リナは、振り返った。

「さあ、作るわよ! 『料理の奇跡』を!」

【今回の化学式解説】

アリシン: C₆H₁₀OS₂

ニンニクに含まれる硫黄化合物。強い香りと抗菌作用を持つ。

グアニル酸: C₁₀H₁₄N₅O₈P

キノコ類に含まれる旨味成分。グルタミン酸と相乗効果を持つ。

デンプン(糊化): (C₆H₁₀O₅)ₙ

加熱により水を吸収し、ゲル化する。これが「糊化」。

グルテン: タンパク質複合体

小麦粉のグルテニンとグリアジンが結合して形成。弾力性を生む。


【今回の簡単レシピ:シンプルトマトパスタ】

材料(4人分):

パスタ 400g

トマト缶 400g

ニンニク 2片

オリーブオイル 大さじ3

塩 適量

バジル 適量


作り方:

鍋に水2リットル、塩20g(1%)を入れて沸騰させる

パスタを種類に合わせた時間で煮る

フライパンでニンニクをオリーブオイルで炒める(140℃程度)

トマト缶を加えて5分煮込む

茹で上がったパスタをソースに加える

フライパンを振りながら、ソースとパスタを混ぜる(マンテカーレ)

塩で味を調え、バジルを散らして完成

ポイント: マンテカーレの際、パスタの茹で汁を少し加えると、デンプンが乳化剤として働き、ソースがよく絡みます! シンプルだからこそ、一つ一つの工程が重要。特に、ニンニクを焦がさないように注意!

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