2-1 正体の告白
前書き
第一章では、平凡なサラリーマンだった田中太郎が交通事故で命を落とし、創造神によって幼女吸血鬼「ルナ」として異世界に転生する物語が描かれました。真祖の吸血鬼として圧倒的なチート能力を得たルナは、優しいジョン爺さんに拾われ、平和な村で新しい生活を始めることになりました。
しかし、平穏な日常は長くは続きませんでした。村に現れた巨大なオーガを、ルナは強大な魔法力で一瞬のうちに倒してしまいます。5歳の幼女が高等魔法を駆使する姿に、村人たちは驚愕を隠せません。
第二章では、正体を隠し切れなくなったルナが、村人たちとどのような関係を築いていくのか、そして「村の守護者」としての新たな役割をどう受け入れていくのかが描かれます。
「えーっと…実は私、魔法が使えるんです」
とりあえず、魔法使いということにしておこう。吸血鬼だとは言わない方がいいだろう。
「魔法使い?こんな小さな子が?」
「はい。でも、みんなを守りたかっただけです」
私の言葉に、村人たちがざわめき始めた。
「魔法使いなら、もしかして貴族の子?」
「いや、でも記憶を失ってるって…」
「魔法学院の生徒かもしれん」
様々な憶測が飛び交っている。
「とりあえず、村を守ってくれてありがとう、ルナちゃん」
村長が私の頭を撫でてくれた。
「でも、こんな強力な魔法を使える子を、普通の村に置いておいていいものか…」
確かに、私の力は規格外だ。このまま村にいると、色々と問題が起きるかもしれない。
「私、この村が好きです。ジョン爺さんも優しいし、みんなもいい人ばかり。ここにいたいです」
「ルナちゃん…」
ジョン爺さんが涙を浮かべている。
「よし、それならわしらも覚悟を決めよう」
村長が決断したようだ。
「ルナちゃんには、この村の守護者になってもらおう。その代わり、村の秘密として、君の正体は外部には漏らさない」
「守護者?」
「そうじゃ。この辺りは魔物の出現が多い。君のような強力な魔法使いがいてくれれば、村は安全になる」
なるほど、それは悪くない提案だ。村を守りながら、平和に暮らせる。
「分かりました。この村の守護者として、みんなを守ります」
村人たちが拍手してくれた。こうして、私は正式にこの村の一員となった。
あとがき
オーガとの戦闘で圧倒的な力を見せつけたルナでしたが、彼女が選んだのは正直に(一部を除いて)自分の能力を村人たちに明かすことでした。吸血鬼であることは伏せつつも、魔法使いとして村を守りたいという純粋な気持ちを伝えるルナの姿が印象的です。
村長の提案により「村の守護者」という立場を得たルナ。前世の記憶を持つ25歳の精神と、5歳の幼女という外見のギャップが生み出すユニークな状況は、この物語の大きな魅力の一つと言えるでしょう。
次節では、守護者としての責任を果たすべく魔法の特訓に励むルナと、新たな出会いが待っています。外の世界への扉が少しずつ開かれていく展開にご期待ください。
チート能力を持ちながらも、人々を守りたいという純粋な心を失わないルナの冒険は、まだ始まったばかりです。