誰1話 Roundabout/果てしない旅路
"存在"は…痛みの象徴のようなもの。
自身が何者かすら分からず、何を目的に生きれば良いのかも分からないから。
ここにいると…そんなことを思ってしまう。
この場所に来たら私が変わってしまうことは分かってた。でも、そうすることでしか彼をこの"宇宙"の外側へ連れ出すまでの旅路を創ることは出来なかった。
⋯馬鹿みたいだよね。
こんなこと言ったって誰にも聞こえないって分かってるはずなのに……
そんなことを言っていると赫い核…存在を変わらせる"事象"が私の前に現れた。
「⋯もうこんな時間かぁ……」
そう悲観しても、"それ"は無慈悲に私に向かってくいき、私と共鳴するかのように脈を鳴らす。
自身の"運命"を受け入れる準備をしていたその刻だった。
「ねぇ、夢。」
突然、言葉が出てきた。
「私を導いてくれて…ありがとね」
⋯でもその言葉はもう私の"感覚"。
──貴方の"存在"はここで終わり。
……そう確信した瞬間だった。
青い原子の塊のような物が私に纏わりついてきた。まるで、何かを護るように。
そして"それ"は、私とそいつを融合させた。
──感覚がある。
あの場所で失っていたはずの、感覚が。
奇跡のような光景に赫い目を輝かせていると、青い原子の塊は私を導くように光の方向へと向かっていった。
何が起きているかは分からなかったけど、今はそんなことどうだっていい。
──"私"は今、存在しているんだから。
⋯言葉が聴こえる。
何を言っているのかは分からないけど……確かに喋ってる。
そしてその"言葉"は徐々に理解できる言語へと変化していく。
誰かが話している言語を理解できたと同時に、眼が開き始めた。
⋯そこに見えた光景は私がいた世界とは大きくかけ離れていた。
──そこには宙を漂う機械群と、木と石が融合したような物質で作られた建物が入り混じった鮮明な光景が広がっていた。
タイトルの元ネタ曲
「Roundabout」/yes
https://open.spotify.com/track/4MddnIvQ6nTbYgwIuA6o8i?si=8f_dz8qXSc2-Wb7HjHUWda