1/4
After all is done/流れゆく刻の中で
「君が消えてからどれ程の刻が経ったろうか…千年か、あるいは……」
そう独り言を呟いていた人物は突如こちら側に目を向けて話し始めた。
「あぁ、本を読みに来たのか」
「それならばあの本を……読んでみてくれないか?」そう話す彼の姿はどこか圧があった。その圧に押され、僕は渋々読むことにした。
本をめくると、大きな違和感に気づいた。
──白紙だ。いくらページをめくっても目に見えるのは何も、ない。その仕草に気づいたのか彼はこちらに近寄ってきた。
「どうやら忘れさられているみたいだな、この本は」
「ならば仕方がない、私がこの本の内容を語ろう」突然の彼の意気揚々な発言に僕は驚愕した。発言そのものにも当てはまるが、先ほどまで暗い雰囲気を出していた人物から突然そんな雰囲気が出るとは思ってもいなかったのだ。
そんな僕の思いを無視するかのように彼は語り始めた
「この本は、信念を持った者が紡ぐ創造と破滅の物語」
──それがこの本のプロローグだ。