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第11話反響と誠実

数日後、事務所から帰るとき、私はふと立ち止まった。

事務所の前に並んだファンたちが、私に手を振っている。

その中には、以前のスキャンダルのせいで心配していたファンもいれば、変わらずに応援してくれる人たちもいた。


私は笑顔を作りながら手を振ったが、心の中では複雑な思いが交錯していた。


「ほのかさん、昨日のインタビューすごく良かったです!」

一人の女性ファンが声をかけてきた。


「ありがとう。心配かけてごめんね」


その言葉に、胸がじんと熱くなる。

SNSやネットニュースで誹謗中傷も受けたが、反応の中には私を励ましてくれる声もあった。


少しずつ、状況は変わり始めている。それでも、あのスキャンダルを完全に乗り越えたわけではない。

まだ不安が消えない。私の心の中には、あの写真がどうしても影を落としているから。


――でも、私は進み続ける。


家に帰ると、あの日から少し冷たくなった陸からのメッセージが届いていた。


《夜遅くまで仕事頑張ってるな。疲れたらちゃんと休めよ》


その内容には、いつもの優しさが溢れていた。でも、どこか距離を感じる。

私が“告白”した後、彼の態度が微妙に変わった気がしていた。


それでも、私はしばらく返信をせず、心の中で整理をしようとしていた。

でも、ふとした瞬間に陸の言葉が浮かんで、私は急いで返信した。


《ありがとう。私も頑張るから、陸くんも無理しないでね》


数秒後に、彼からの返信が返ってきた。


《いつでもお前を応援してるから》


その短いメッセージが、私の心に温かさを広げる。

だけど、正直なところ、私はまだ不安だった。

陸と私は、もう以前のように自然に話せていない。


数日後、ライブの準備が整い、私は再びステージに立つことになった。

事務所側は、今回のライブでファンの反応を見てから次のステップを考えようという意向だ。


「ほのかさん、頑張ってくださいね!」

ファンからの応援の声が、ステージ袖に届いている。


私は深呼吸をして、楽屋を出る。

音楽が鳴り始め、客席からの歓声が一気に響き渡る。

その中で、私は足を踏み出す。


観客の前に立った瞬間、全てが静まり返る。

その視線を浴びるのは、正直言って苦しい。しかし、私は微笑んだ。


「みんな、こんにちは!桜井ほのかです!」


一気に会場が沸き上がる。その中で、私は少しだけホッとした。


ステージが始まり、歌い始めると、気づけば少しずつリラックスできる自分がいた。

陸と作った「春花」も、歌うたびに心が温かくなる。

あの日、彼が作ってくれたあのメロディが、私の歌声に乗ると、何とも言えない安心感を覚える。


歌い終わった後、私はステージから一息つく。

すると、スタッフからの伝言があった。


「ほのかさん、アンケートの結果が出たよ」


その内容を見て、私は驚いた。

過去のスキャンダルに関しては「応援する」「気にしない」と答えたファンが多かった。それよりも「歌声が素晴らしい」「楽曲が素晴らしい」といった意見が目立っていたのだ。


「ほら、見てください。ほのかさんの歌声に心を打たれたという人が多いみたいですよ」


スタッフが嬉しそうに言ってくれた。それは、私がずっと求めていた答えだった。

本当は、私がアイドルとして認められるのは、歌とパフォーマンスで評価されるべきだと思っていた。


そして、ライブが終わった後。

控室に戻ると、陸が待っていた。


「ライブ、どうだった?」


「うん。予想以上に反応が良かったよ」


「本当に良かったな。これからも、少しずつでも自分を信じていこう」


私は彼に微笑みかけた。

その笑顔を見た陸も、少し安心した表情を浮かべた。


「ほのか、お前が本当に頑張っているから、俺ももっと頑張らないとな」


その言葉に、私は胸が熱くなる。


「ありがとう。私も、もっと頑張るね」


その後、私たちは少しだけ静かな時間を過ごした。

でも、私の中で何かが変わった気がした。

過去のスキャンダルや噂にとらわれず、私は前を向いていけるという確信が生まれたから。


翌日、SNSを再度確認すると、驚くべきことが起こっていた。

私に対する悪意ある投稿が減り、代わりに応援の声が増えていた。

ファンからのメッセージに、「前よりも強くなったね」とか「これからも応援する」という内容が多く見受けられた。


その中で、一番目を引いたのは、陸がつぶやいた一言だった。


《ほのか、無敵だな》


その一言に、私は思わず微笑んだ。

陸も私を信じてくれている。そして、私は自分を信じられるようになった。


これからが本当の勝負だ。

でも、今なら怖くない。私はもう、何があっても自分の道を歩いていける。

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