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どすこいだけが取り柄の俺はお師匠譲りの100万馬力のどすこいだけで異世界を救うようです

作者: 朱鷺羽処理


「どすこい!どすこい!!」


 俺の名前は押森平吉(おすもりへいきち)。20歳。どすこいを極める為に日夜修行に励んでいる漢だ。そんな俺は見ての通りどすこいの真っ最中だ。

 精神を研ぎ澄まし、俺はひたすら大気にむけてどすこいを撃ち続ける。

 時に辛くなる時だってある。どすこいはとんでもなく肉体を酷使し体力を消耗するからだ。だがその厳しいどすこいの先に光はあるとお師匠は言っていた。


――――――――――

 

「どすこいを極めろ平吉。世の理全てはどすこいから成り立っておる……テレビで活躍する名女優もトップアイドルも女子アナも有名インスタグラマーも人気Vtuberも全て例外なくどすこいを極めておる」

 

――――――――――


 そうお師匠は言っていた。俺はそれを聞いて以来どすこいを欠かしたことはない。いついかなる時も俺はどすこいを極めるために時間を費やしてきた。

 修学旅行の時も大学受験前日も親が再婚した時も俺が養子だって事を聞かされた日も俺はどすこいと向き合い、熱を注ぎ続けた。

 俺にはどんなやつにだって負けない自信がある。何故なら俺には最強のどすこいがあるからだ。


「むっ……!?」


 目の前の景色が歪む。一体何が起ころうとしているのか……俺は訳もわからずどすこいの構えを取るがその抵抗虚しく俺は歪みの中へと吸収され気がつけば見知らぬ土地にいた。

 察するにここは俺がいた日本。いや、JAPANではない。外国なのか?わからない。俺には学がないからだ。とりあえず辺り一面は木だらけだ。森の中って奴だろう。

 ……森の中。昔じっちゃんのルンバが消滅したと言って森の中まで探しに行かされた過去を思い出す。結局見つからなかったが寅次郎の奴、元気にしてるだろうか……。


 そんな事を思いながら森を散策していると悲鳴が聞こえてくる。


「ウギャギャギャオオ!!」


「きゃあああぁぁぁ!!!」


 俺は声が聞こえた方へ駆けつけた。すると全身が緑で染まったファンタジーな洋画に出てきそうな見た目の怪物と金髪の髪が長くておっぱいが大きい可愛い女の子がおり女の子は怪物に襲われていた。


「こんな森の中に女の子だと!?何を考えてるんだ!!」


 か弱き命の危機を感じ俺は気付けば駆け出していた。武器?必要ない。俺にはこいつがある……。


「どすこい!!!!」


 俺のどすこいが怪物に直撃し怪物はぎゃおぉ!!とか言って吹き飛ばされる。


「あ、あなたは!?」


(手に汚れはない……どうやら素肌であの色らしいな……)

「通りすがりのどすこい見習いだ!怪我はありませんか!?」


「わ、私は大丈夫です!それより早く逃げてください!あいつはパワフルゴブリン!並大抵のゴブリンより力が強く危険です!」


「力自慢という訳か……」


 問題ない。粉砕してやる……真正面から。俺の自慢のどすこいでな!


「なんだぁ……てめぇは!まぁいい俺が直々にぶち殺してやるぜ」


 ふ、喋れたのか。パワフルなんちゃらが俺に向かってくる。強靭な爪での攻撃を回避して俺はすかさず叩き込む……どすこいを!!


「ぐはぁ!!」


 奴は地面に倒れ気絶した。それに対して合掌をし終わると俺の方へ女の子が走ってきた。


「あなたのおかげで命が助かりました!なんとお礼を言ったらいいか……私、モーシェット・メルフェンと申します!私なんかでよければ何かお礼をさせてください!」


 お礼か……なにか礼をくれると言うのであれば俺が求めるものは一つしかない。


「俺と一緒にどすこいの道を歩んでくれないか」


 そう言うと彼女はぽかんとしてしまった。どこか困惑していそうにも見える。なにか俺……おかしな事言ってしまったのか……?


「あの……どすこいってなんですか?」


 俺のありとあらゆる脳みそに電撃が走った。まさかどすこいを知らない?理解が出来なかった。やはりここは日本……いや、JAPANではない?俺の常識が通用しない世界なのか?俺は咄嗟に質問を投げかける。


「すまない!ここはどこなんだ?とりあえず国名を教えてくれ!」


「ここはコスルバビナ国。カヌバロッコ大陸のタンタバッカの森だよ」


 全く聞き覚えがない横文字だらけだった。俺は全てを察した。俺は異世界に飛ばされてしまったのだと。


「俺はJAPANという国から来た。聞き覚えはあるか?」


「JAPAN!?私の住む村の村長から聞いていた言い伝えで確かそんな名前がありました!JAPANという国からいずれこの世界に平和をもたらす勇者が現れると!」


「なるほど……どうやらやる事は見えたようだな」


 帰る方法もわからない。だがここがどすこいが全く知られていない異世界なのだとして世界は俺に救いを求めている。ならばする事は一つだろう。俺は力強くガッツポーズを取る。


「俺のどすこいで世界を救ってみせる!!着いてこい!ロナウジーニョ!!」


「えっ?ロナ……私のことですか?」


 俺はそう言ってロナウジーニョの手を取り、希望とやる気に溢れた顔を浮かべながら駆け出す。やってやるぜ!じっちゃん!俺はこの世界でどすこいを極めて、世界も救ってみせる!!いつの日かぜってぇ、どすこいマスターになってやるんだ!!


 ―――― fin ――――


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