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陽が高く、足元に光の方陣が出来ている。空を切り取っていた枠は、僕のいた囲いと同じ、けれどずっと澄んだ透明な板で蓋をされていた。
気がついたときには視界がひらけて高い位置に視点があった。見えたのは桃色でふわりとした床、白い壁、それに寄せられている少しの障害物。そして、中央の脚の付いた板に腕と頭を預けて眠っている少女。
何か複雑な感覚がして、下を見ようとすると、床にむかって伸びる何かがあった。白い布を引きずる、……あし。勿論蝶のものではない。
人の姿に、なって、いる。
確かめるようにてのひらを握り締めて、開く。それほど方法を考えなくても自然と体は動くみたいだ。三日の間、彼らの動きをずっと眺めていたから想像しやすいのかもしれない。
ふと、開いた手の向こうで何かが動いた。(——あ、)少女が薄く瞼を上げる。
目線が交わる。言葉が出ない。
誰、と、問われる。
答えようとはするものの、自分が何かを説明するのにぴったりな表現が思いつかなかった。
小さな囲いを覗くときよりずっと綺麗な瞳で、彼女は僕を見つめている。
やがて、少女が名を口にする。
僕も同じように名乗り、次いで飲み物が欲しいと言った。殆ど勢いや、思い付きから出たものだった。
あまりに喉が渇いていて、
(……そうだ、)
確か、僕は、蝶の姿で
(一旦、意識がとぎれた)
直前まで考えていた。花や、水や、生や、死を。
それから願っていたと思う。
(彼女と話せたなら、水を飲むことが出来るかもしれないのに)
彼女と話せたなら、空に逃げることも、
——この苦しみを分け与えることも、もしかしたら。
20130706




