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第一話 ダンジョン経営マスターに俺はなる!

みんなは知っているだろうか?


なぜダンジョンには宝箱があり、時間が経つと復活するのか。


なぜ、魔物は倒すとお金を落とすのか⋯



─────この世界は、大魔王バロンによって支配されていた。


と言っても、街を破壊したり国を滅ぼしたりはしていない。


王の座につき、自由気ままな生活を送っていた⋯


そして、その息子のマロンは暇を持て余していた。



バロン「おう、来たか息子よ。」


マロンは父に呼び出されていた。


マロン「なんだよ親父。」


バロン「お前は毎日、寝て食ってふらついて⋯暇を持て余しておるな。」


マロン「⋯悪いのか?退屈なんだよ⋯この世界は。」


バロン「そんなに暇なら、ダンジョン経営をしてみないか?」


マロン「⋯なんだそれは?」


ダンジョン経営とは、この世界で地位のある魔族の娯楽である。


ダンジョンにモンスターと宝箱を配置して冒険者を呼び寄せ、ダンジョン内を水晶で観察する遊びだ。


マロン「⋯!?」

マロンに衝撃が走った⋯

「おもしろそう」と思ったのだ!


バロン「どうだ?やってみるか?」


マロン「⋯親父、俺⋯偉大なダンジョン経営マスターになってみせるよ!!」


マロンはやる気に満ち溢れていた。


バロン「グハハハ!そうか頼もしいな。ではお前に、私が所有しているダンジョンの一つを授けよう。」


マロンは父が所有しているダンジョンの一つを貰った。


バロン「冒険者を呼び寄せ、大量のマナを集めるのだ!!」


マナとは、魔族にとってパワーの源であり、質のいい食事でもある。


魔族はご飯を食べなくても生きていけるが、マナが無くなると弱ってしまう。なので、定期的にマナを取り込まないといけない。


人間にとっての食事がご飯を食べることなら、

魔族にとっての食事はマナを取り込むことである。


そして、マナは【マナ(せき)】という石に溜め込む事ができる。


溜め込んだマナを使って、魔族と取り引きができ、人間でいうお金のような存在にもなる。


マロン「冒険者を倒すとマナが集められるのか?」


バロン「その通りだ!冒険者を倒すと、その者のマナがダンジョン内に放出される。それを、マナ石を使って集めるのだ!」


マロン「楽しそうじゃねぇか⋯娯楽でもあり仕事でもあるということか。でもどうやって冒険者を集めるんだ?」


バロン「それはな、お金を取り込ませた魔物やアイテムを入れた宝箱をダンジョン内に配置すれば自然と集まってくるぞ。」


ダンジョン内に配置した物につられて冒険者がやってくる。


冒険者にはランクがあり高ければ高いほど放出されるマナが多くなる。


マロン「わかったよ親父!!おれ、ダンジョンに行ってくる!」


バロン「その前に、こいつを連れて行け。初めてダンジョン経営をするお前にとって、良い指導者になるだろう。リリス!こっちに来い。」


呼ばれて現れたのは、リリスという小さな妖精の女の子だった。


リリス「はいはーい!呼ばれて出てきたリリスちゃんだよー。」


バロン「リリスよ、マロンに付いて、ダンジョン経営の手助けをしてやれ。」


リリス「おっけい!バロン様。キミがマロンだね?それじゃあまずはダンジョンに向かおっか!」


マロンは父から貰ったダンジョンの場所が書かれた地図を受け取り、リリスと共にダンジョンへ向かった。


リリス「ここだね。」


それは何の変哲もない、普通の入口だった。


マロン「中に入るか。」


マロンはダンジョンの中へ足を進めた。


マロン「⋯普通だな。」


中も普通だった。そして、1階しかない。


リリス「何も改良されてないみたいだねー。でもね、マナを集めて魔族と取り引きすれば色んな改良ができるようになるよ!」


魔族には、マナと引き替えにダンジョンを改良してくれる職人のような存在がいる。


ダンジョンに罠を設置したり、地下を掘ってくれたり、魔物の卵を購入できたりもする。


マロン「それじゃあ、まずはマナを集めるところからだな。」


リリス「そうだねー。魔物を捕まえに行こっか!」


マロン「魔物はどうやって捕まえるんだ?」


リリス「低レベルの魔物なら、死なない程度にボコボコにして、思念を伝えれば服従させることができるよ!」


高位の魔族はマナに思念を乗せて伝えれば、魔物を服従させることができる。


服従させるには、自分より弱くてボコボコにした状態でなければならない。


マロン「簡単だな。毎日、暇を持て余していた俺は力が満ち溢れているんだ。ついに解放する時が来たようだな。フッフッフ」


リリス「おぉ!いいねぇ。それじゃあ魔物狩りしゅっぱ〜つ!」



二人が探索をしていると、早くも魔物を見つけた。



リザードマン「⋯⋯」


剣と軽装の鎧を身につけたリザードマンが、水辺で水浴びをしていた。


マロン「お!いたな。」


リリス「あれは、リザードマンだね。武器を扱える器用さと知能があって、人間から奪った装備を身につけているんだよ。」


マロン「最初の下僕にはちょうどいいな⋯フッフッフ」


リリス「そこそこ強いよ。大丈夫なの?」


マロン「まぁ、見てなって。」


そう言うとマロンはリザードマンの元に突っ込んで行った。


リザードマン「グァァァア!」


結果は、惨敗だった⋯


マロン「⋯⋯」


リリス「⋯⋯キミ、弱いんだね。」


マロン「⋯⋯」


毎日ゴロゴロしてばかりいたマロンは、弱かった。


リリス「最初は低レベルな魔物から始めよっか。」


マロン「⋯⋯そうだな。」


二人は再び探索を続け、スライムを見つけた。


スライム(ぽよんっぽよんっ)


リリス「あ、ちょうどいいのがいたね。あれならキミでも勝てるんじゃない?」


マロン「⋯⋯行ってくる」


スライム「ピキっ?」


マロンはスライムの前に立った⋯


マロン「おりゃゃゃぁあ!」


スライム「ピキー!!」


リリス「うわぁ⋯」


マロンはスライムをボコボコにした。


スライム「ピー…。」


マロン「どうだ!リリス。これが俺の本当の実力だ。」


リリス「あはは…すごいすごい!それじゃあ思念をスライムに伝えてみて。俺に服従しろ!!って強い想いを込めてね。」


マロン「⋯⋯⋯」


マロンは強い想いを込め、スライムに思念を伝えた。「俺に従わなければ殺すぞ。」と。


スライム「ピ⋯ピピ!!」


スライムがマロンにすり寄ってきた。


マロン「⋯⋯これは成功したのか?」


リリス「成功したよ!!スライムはまん丸だから分かりずらいねぇ。この調子で沢山スライムを増やそう!!」


こうしてマロンのダンジョン経営マスターへの第一歩が踏み出された。


伝説のスライム使いマロンの名声が轟くのもそう遠くないのかもしれない⋯

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