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第17球 強襲

 それから、2時間ほど歩いた。


 先頭を歩いていた護衛リーダーのドランが急に立ち止まる。そして、指を指した。


「あそこを見ろ! 向こうから何か来るぞ!」


 指を指す方向を見ると、黒い点のようなものが複数見える。よく見ると、それは黒い犬のような影。俺も見た事のあるモンスターだ。


「あれは、ダークウルフだ! 総員戦闘準備!」


 ドランの声とともに、他の戦士たちも剣を抜いてかまえる。向こうから来るダークウルフは、10匹以上いる。そして、その中に一回り大きいダークウルフがいた。


 後ろから、エルダが言った。


「まずいね…… あの大きいやつは、キングダークウルフだ。ダークウルフは普段、群れることのないモンスターだけど。あいつは別だ。キングダークウルフは、ダークウルフの群れを率いる上級モンスターだよ」


 ダークウルフの世界にも序列があるらしい。キングダークウルフを先頭に、ダークウルフたちは牙を剥きだして猛スピードで迫ってくる。


「システィーナ様は後ろに! 投石士! お前たちは邪魔はするな。我々が戦う!」


 護衛リーダーのドランが前に出る。しかし、どう考えたって多勢に無勢だ。俺は、ドランに言った。


「邪魔はしないが、俺たちも戦うぜ!」


「ふん! 足手まといにはなるなよ。自分の身くらいは守れ!」


 ドランたちは、あくまで俺を信用していない。だが、ここは俺とエルダも戦わざるを得ない状況だ。


「スキル発動! 石精製魔法!」


 俺は石精製魔法のスキルを発動させる。左手に光の粒子が集まって丸い石となる。迫ってくるダークウルフとの距離を見計ると、俺は流れるような投球フォームで石を投げた。


 シュルルルルルル…… ドガッ!


 1匹のダークウルフの頭部に石は命中した。


「ギャンッ!?」


 短い悲鳴を上げてダークウルフは倒れる。そして、光の粒子となって宙に溶けるように消えていく。


「お見事ですわ! キュータ様」


 後ろからシスティーナが感嘆の声を上げる。しかし、1匹倒したくらいじゃ焼け石に水だ。ダークウルフの群れは10匹くらいいる。


「行くぞッ! システィーナ様に1匹も近づけるな!」


 目前まで迫ったダークウルフに、ドランたちが斬りかかる。激しい戦闘になった。投石士の俺は、遠距離からの攻撃専門だ。前に出て戦うことはできない。後ろに下がった。


「キュータは、システィーナさんを守りながら戦って!」


 エルダもそう言いながら、果敢にダークウルフたちに斬りかかっていく。


「大丈夫ですか? システィーナさん」


 俺は、後ろに下がってシスティーナに声をかけた。システィーナは、真っ青な顔をしてブルブルと震えていた。


「は、はい…… しかし……」


 不安そうな顔をするシスティーナに言った。


「安心してください。俺もエルダも護衛に雇われた冒険者です。いざとなれば、身を盾にしてもあなたを守りますよ!」


「キュータ様……」


 前で戦う、ドランと他戦士2名。そして、エルダ。後ろのシスティーナの側には、俺と秘書のダリオ。ダリオも一応、剣を持っているが、戦いの経験はあまりないみたいだ。足を震わせている。


「スキル発動! 石精製魔法!」


 俺は、石精製魔法のスキルを発動させて石を作り、次の攻撃に備えた。足を止めているダークウルフを狙って石を投げる。


 そして、戦いが始まってから約10分が経過した頃……


 さすがは、大手マイヤ商会の代表を守る専属の護衛たち。徐々にダークウルをたちを倒していく。だが。


「ウオオオオーン!」


 ダークウルフたちの後ろで見守っていた、ひときわ大きいダークウルフ。そう、キングダークウルフが大きな咆哮を上げる。そして、すごいスピードで突っ込んできた。


 他のダークウルフよりスピードが速い。キングダークウルフは、護衛リーダーのドランに飛びかかる。そして、一撃でドランをはね飛ばした。


「大丈夫かッ!? ドラン!」


 俺は、たまらず声をかける。ドランは、腕に怪我を負ったもののすぐに立ち上がろうとしていた。


「かすり傷だッ! 気にするなッ!」


 大丈夫そうで、とりあえずホッとする。エルダが、戦いながら俺に言う。


「キュータ! この群れのボスは、あのキングダークウルフだ! あいつを倒せば群れは崩壊する。あいつを狙って!」


「分かった! スキル発動! 石精製魔法!」


 俺は、新たに石を作り出す。そして、キングダークウルフがドランたちに気を取られているのを見計らって投球フォームに入る。


「行くぞ! キングダークウルフ! 俺のツーシームを喰らえッ!」


 俺は、キングダークウルフに向かって石を投げた。変化球ツーシームだ。


 シュルルルルルルル……


 回転音を上げながら石は飛んでいく。だが、キングダークウルフは反応速度も速かった。迫る投石に気がついて、避けようとする。


「気づいたか…… しかし、甘いな!」


 俺が投げたのは普通のストレートではなく、変化球のツーシームだ。石は、キングダークウルの目前でシュート回転して左に変化する。


 ドガッ!!


 石は、キングダークウルフの頭に命中した。


「ふっ! ストライクだぜ!」


 俺は、小さくガッツポーズをした。しかし。


「グオオオオオーンッ!!!!」


 キングダークウルフは、耐久力も普通のダークウルフより格段に上だった。俺のツーシームを喰らっても倒れない。怒りの咆哮を上げる。


 キングダークウルフは、大きくジャンプをして前にいたドランや他の戦士たちを飛び越える。そして、一直線に俺を目がけて駆けてきた。


「危ないッ! キュータ!」


 エルダが声を上げた。


「来るなら来いッ! 普通の投石で倒せないなら、こっちも奥の手を使うぜ! スキル発動! 石精製魔法で爆裂石を精製!」


 スキルを発動させると左手に光る粒子が集まってくる。今度は、普通の石とは違う。手榴弾並みの威力を持つ爆裂石だ。



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