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友達って何だろう(途中原案)

ああ、今日もまきちゃんの雄叫びが聞こえる…。


そうマリヤは悲しんでいた。


「アアー! うえっぷjhjっこお!」


授業中の教室では、周囲のクラスメイトが爆笑しており、先生まで失笑。


叫んでいるのは私のクラスメイトのまきちゃんだ。


私達がクラスメイトになったのは小学一年生からだから、今は5年生だからそうなってから5周年になる。




まきちゃんは知的障害で、恐らく重度に当たる。


まきちゃんの両親は、まきちゃんを養護学校には入れず、普通教育を受けさせてくれと教育委員会に頼み込んだそうな。


そしてまきちゃんの両親はまきちゃんの置かれている実態を知らないのだろう。


彼女に取ってこんな事が続くのだから。




「…はい迷惑な子は席に座りなさいね」


そう先生が言うと、クラスメイトからはどっと笑い声が響く。


そして「あーーーーーー! マリヤちゃーーーーーん!」とまきちゃんが叫ぶと、私の背中をズゴゴゴッと叩いた。


いたたた! と私は声も出さずに心の中で叫ぶ。


先生も含め、どっと教室からは笑い声が響いた。


先生は矢作先生と言う人だが、「ぷっ! まきちゃんはマリヤちゃんが好きね!」と言って、マリヤがまきちゃんに暴力を受けたことに意を返さない。




それもそのはず、私の記憶では私が学生時代だったときにはどんな暴力もいじめも先生が隠蔽していた時代だ。


私の母があまりのいじめの酷さにPTAでいじめのアンケートを取った時に、先生に何度かアンケート用紙を捨ててしまったと言われ、数回撮り直している。


そのアンケート用紙には、明らかに子供の字で「いじめがひどい」と書かれていたものもあったそうだ。


私とまきちゃんが子供の時を過ごしていた時代はそういう事情があった。




チャイムが鳴り、半場妨害されながらも授業が終わる。


「おい身障」、「しーんしょう!!」とクラスメイトの大野や小杉たちがまきちゃんを呼び始める。


「身障、パンツ脱げよ!」




身障(しんしょう)とは、まきちゃんが障害者であることの略だ。


私が子供時代を過ごした時代は障害者と言えば身体障害者であり、現代でも大人になっても障害者に種類がある事を知らない人がいる。


私は親がNHKの特番に嵌まっているのもあり、いつのまにか障害者に知的障害や精神障害、難病がある事を知ってしまっていた。


今書いている時代の日本にはまだ、発達障害の概念は普及してはいなかった。




…そろそろ止めるか。


そう思い教室の席を私、マリヤは立ち上がる。


「あんたたち、やめなさいよ!」


そう言われて大野と小杉が縮み上がる。


「なんだマリヤかよ! うっせえなあ!」


実はマリヤは小学5年生にして身長が155センチあり、体格も筋力も男子顔負けだった。


とは言え何で男子数名に対してこの時勝っていたのだろう。


書いててふと思った。


「マリヤちゃーーーーーん!」


そう叫びながらまきちゃんが来る。


「あそぼーーーーーー!」


私はまきちゃんに「うん、いっしょに本でも読もうかね…」とまきちゃんを教室の本棚に誘った。




まきちゃんは見た目的には私と変わらない体格で豊満なスタイル、長い黒髪に切れ長の目が眼鏡に似合ってとても美人だ。


知的障害の子は成長が早いとのちに聞く事になるが、私はその分寿命も短いのだろうなと思ってしまった。


幼くしてあんなに成長するのだから。


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