表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14 Glück 【フィアツェーン グリュック】  作者: じゅん
エスプレッソとコーラ。
55/319

55話

「挽き終わった豆をタンパーという道具で上から押し込み、豆の高さを水平に。高さに違いがあると、味にムラが出ますので」


 そして、マシンにポルタフィルターを取り付け、九気圧で抽出。この時、家庭用であれば、ラテアート用のスチームと圧力を四・五ずつに分散し減圧することで、豆を蒸らすことができる。さらに飲みやすくなるのだ。


「そして、二、三〇秒ほど抽出したら止めます。これ以上やると、苦味が出てきてしまうので、このくらいにしてください」


 抽出したエスプレッソは本来約六〇ミリリットルほどだが、アイスのため少し多めに八〇。これを氷入りのコップに入れれば、アイスエスプレッソの完成となる。


「完成っスか?」


 難しい表情のアニーが、液体とユリアーネの顔を見比べる。いくら氷で薄まるとはいえ、アニーにはただのアイスエスプレッソでしかない。あまり、コーヒー類の苦さは得意ではない。


 しかし、それを見越したようにユリアーネは、キッチンの冷蔵庫に向かう。


「これでも美味しいのですが、アニーさんを驚かせるには、これが必要となります」


 そう、言いながら持ち出したのは、三五〇ミリリットル缶のコーラ。先日、冷蔵庫を拝借した際に目をつけていた。あとで新しいのを買っておこう。


「あ、ボクの——」


 と言いかけてアニーは口をつぐむ。コーヒーとコーラ。聞いたことはある気がする。しかし、実際に見たことはない。飲むとなると少し勇気がいるが、味わったことがないという意味では、楽しみもある。それに、初めてのユリアーネの作ってくれるもの。口を挟まないようにしなければ。


「これをお好みで混ぜる。私のオススメはここにキャラメルフレーバーのシロップを少量。お借りしますね」


 戸棚から瓶を取り出したユリアーネは、その液体に数滴、シロップを振りかける。部屋にはほんのりと甘い香りが漂い、心身ともに穏やかになる。


「それもボクが紅茶で使ってるヤツっス」


 本来、アニーが家でフレーバーティーを楽しむために使っているものだが、ユリアーネはこちらも機会があれば使おうと思っていた。それにしても、かなりこの家のことを熟知している。


「それとバニラのアイスクリームも入れてもいいでしょう。簡単ですが、これで完成です」


 バニラアイスはユリアーネが持ち込んだものだが、甘さをさらに引き出すために多めに使う。ディッシャーですくい、クリームソーダのようにフロートさせ、スプーンを添えた。


「キャラメル風味のエスプレッソコーラ、アイスクリーム添えです」


 キャラメルやコーラやアイスなど、甘さが強いものが多いので、あえて従来よりもコーヒーの量を増やしている。アイスやキャラメルを追加しないのであれば、コーラを増やす。「どうぞ」と、アニーに差し出す。

ブックマーク、星などいつもありがとうございます!またぜひ読みに来ていただけると幸いです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ