296話
なにやら手の込んだ仕上がり。それについては作ったビロルから。
「今回はスリランカフェア、なんだとよ。味わって食え」
実は自身もよくわかっていない。とりあえずフランスへ行って知り合ったらしいショコラーデ職人。その人物と話し合って色々と情報を交換したとのこと。で、なんでかスリランカにたどり着いたと。うん、よくわからん。
そしてカッチャも同じ感想。
「なにそれ」
これのどこが? スリランカについて知ってること。紅茶の生産量とか。それもアニーから半ば強制的に教えられて知った。国の場所も曖昧。
一歩前に出るのはオリバー。早く伝えたくてウズウズしていた。
「テーブルウェアは僕におまかせを。スリランカといえば高級陶磁器のノリタケの工場があることなどが有名ですが、ダンコトゥワというブランドもあるんですね。ここを中心に取り扱ってみようと思います。北欧がメインの僕ではありますが、ダンコトゥワもシンプルかつ高級感があっていやはや——」
「まぁそういうわけでして。紅茶もコーヒーもショコラーデも、作っているスリランカならではのものを使っています。さすがにガレットの原料まで全て、というわけにはいきませんでしたが」
そこはまぁ、フランスで思いついたということで、とユリアーネが上手くまとめる。その時のことを回想すると、アドバイスをくれた人物の顔が浮かんできた。
今回のこのガレット・ブルトンヌも、カカオ・紅茶・コーヒーという三つの観点から思案した結果、導き出されたわけで。そしてそれを満たす国の中からスリランカが選出された。ならばプレートもそうしてしまえとこだわってみた。
さらにアニーは選択肢を増やしてみる。考えている時間は至高。
「紅茶もお客さんの好みに合わせられるように、色々作っておくっス。標高によって味も全然違うっスからねぇ」
渋み・香り・水色などがかなり差が出るため、人の好みに合わせることができる。ガレット・ブルトンヌで使用するとどうなるかは未知であったが、とりあえずやってみた。




