表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14 Glück 【フィアツェーン グリュック】  作者: じゅん
ビリヤードとダーツ。
291/319

291話

 どこまで言っていいものか。その塩梅がダーシャにもよくわかっていない。そのため、見るからに怪しさがどんどんと足されていく形に。


「うーん、どうなんだろうね……」


「……なんかはっきりしないわね。なにが目的?」


 よからぬことを企んでいることはカッチャはもう見抜いている。店長がこんな狼狽しているということは、きっとなにか、その行為にマイナスな面があると思っているから。


 相手の気持ちを考えれば、ここで詰め寄ってくるのはわかる。だが、秘密にしておいてくれと言われているダーシャは、その板挟みで不満は募っていく。


「まぁまぁ。騙されたと思って」


 もう面倒になってきたので、力技で納得させる。なにか不幸な目に合わせようというものではない。というかさっさと首を縦に振ってほしい。


「……ま、いいわ。で? 内容は?」


 かなりここにたどり着くまでに遠回りをした気がする。シンプルに終わらせる予定だったのに。もうカッチャにもどうでもよくなってきた。


「てなわけで。今日終わったらちょっと待ってて」


 そう言い残してダーシャはキッチンへ。今日は基本的に調理を担当している。


 その背中をジッと、それでいてジトッとした目で追うカッチャ。経験上、こういう時はだいたいロクなことにはならない。


「はぁ……なんなのよもう……」


 別に急いで帰る用もないけれども。モヤっとしたものを抱えたままこのあと閉店まで。さてどうするか。視線を切ると、そこには同じ制服を着たひとりの少女。


「ウルスラ、なにか店長から聞いてる?」


 声をかけたのはまだここでの日が浅い少女。こういうのは圧力をかけていけば口を割るはず。いや、なんか嫌な女だな、自分。


 だが、当のウルスラはキョトンとして、


「なにがですか? 私はなにも。なにかあったんですか?」


 と目を丸くする。プレッシャーに対しては耐性がある。なんでかわからないけど、もっと追い込まれそうになった経験がある、気がする。よく覚えていない。そしてその時を思い出すと。なぜか。頬が赤くなる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ