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14 Glück 【フィアツェーン グリュック】  作者: じゅん
ビリヤードとダーツ。
278/319

278話

 まぁ、そういう反応になるよねと予想通りのバーテンダー。様々なボトルやらグラスやらを用意し、カウンターに置く。


「ロングアイランド・アイスティーは、アイスティーと言っているけどかなりアルコール度数の高いお酒だからね。ウォッカやラムなんかを使ったりするもので、強い人でも全然酔う」


 別名『レディキラー』。かくいう自分も一度飲んだことがあるだけで、味に自信はない。だけどここは専門的なバーではない。そのへんはご愛嬌。味にこだわるなら本格的なところに行ってくれ。


 もちろんカッチャも飲んだことはない。たまたま頭に舞い降りてきただけ。そしてそんなアルコール強めなもの、人の奢りでなくては選択肢にはない。


「紅茶の茶葉とかは入っていなくて、それ以外のものでアイスティーを表現したお酒、ってところかな。見た目も」


 ネットで調べた知識。もしなにも言わずに出されたら口をつけてしまうだろう。そして含んだ瞬間に吐き出す、かも。ウォッカとか飲んだことないし。ロシア人用みたいなもんでしょ、あれ。ロシアじゃ産湯もウォッカ、とか聞いたことある。冗談だろうけど。


 その情報量にアリアデリアも感心しきり。意外な一面を見た。


「はー。よく知ってんねぇ。カフェ店員てみんなそうなの?」


 褒められているのだろうが、カッチャには複雑。いらんことに脳の容量が割かれている。


「……いや、ウチは特別……」


 たぶん。アニーのせいで。あいつが「こんなんもあるっス」とか教えてくるから。もはや『紅茶っぽいもの』ならなんでもござれな感じ。


 とりあえず作ってみるバーテンダー。飲めなかったら自分が飲む。


「面白いカクテル、と言われてそれが出てくるあたり、将来が想像できるね」


 事情は知らないけど。きっとあと数年もしたら、水のような感覚で飲む子になるのだろう、と予想。


「……」


 そんな空気を悟ったカッチャは、なんかもう面倒なので適当にお任せすることにした。

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