表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14 Glück 【フィアツェーン グリュック】  作者: じゅん
ビリヤードとダーツ。
275/319

275話

「ふーん、複雑だねぇ」


 適当にアリアデリアは返す。別にそんなことは思ってないけど。それよりセーフティに置かれた。さて、どう撞いたらいいものか。「俺が負けたら奢るよ」と相手は言ってたんだから、それは奢りたいんじゃないんかい。そんなガチで勝ちにこなくても良くない? 


 という状況であることは、ぼんやりとカッチャにもわかった。そのぶんダーツはビリヤードより、自分の世界を持てる。相手の介入はあまりない。狙ったところにいくかいかないか。ビリヤードはルールにもよるけど、あえて相手が撞きづらい状況にするのも戦術。むしろそれは攻撃的な手。


「辞める、なんて言ったらどんな顔するかねぇ」


 ビロルと店長はなんだかんだわかってくれそう。ユリアーネは悲しい顔で受け入れる。オリバーくんは「……口惜しいですが、マチルダをどうぞ……!」とか言いながら、カップとかくれそう。マチルダって誰よ。


 問題はアニー。自分で言うのもアレだけど、使える手を全部使って引き止めてきそう。ありがたいけど。別にあの店に行かなくなるわけではない。遊びに行ったりとかもいいし、どうしても人手が足りなければ少しくらいなら無料で手伝ってもいい。その代わり食事はタダにしろ。


「ぐぬぬ……」


 ビリヤード台をぐるぐる回りながら、あーでもないこーでもないとアリアデリアが唸る。マッセか? マッセなのか? できるのか? ラシャ代、いくらなんだ? 


 その友人の感情が羨ましい、とカッチャは素直に認める。真面目に遊ぶ。それは案外、できないこと。どこか力を抜いてしまうから。それが悪いことではないし、それこそが遊戯ってものなんだろうけど。彼女のような人は、努力してるってことに自分で気づかずに努力できるタイプ。


「……なにやってんだかね」


 それは今、悩んでいる自分に対して。そして、なぜ悩んでいるのかもよくわからない自分について。結局、誰かが手を引っ張ってくれたほうに自分は進む。しっかり者、みたいに見られているかも知れないけど、そういうとこある。自分。引っ張られた先で頑張るだけ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ