表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
256/319

256話

 すぐに切り替えてアニーは決意。こういったプライベート的なことは口外しないが吉。


「ひとつしか違わないはずなのに、すごく大人に感じて。いや、これはみんなには秘密にしておくっスよ」


 大統領と食事とかしてても驚かない自信がある。そんな人物の隠れた一面を知ってしまった。これは墓まで持っていく。


 別に構わないけど、と前置きをしつつシシーは謝辞を述べる。


「まぁ、積極的に広められても困ることもあるかもね。色々と根掘り葉掘り質問されるのは大変そうだ。そうしておいてもらえると助かるよ」


 心に深く刻み込み、この話はここらで終えつつアニーは自分の目的にシフトチェンジする。


「わかりました。じゃあボクも買いたいものがあります。ちょっと待っててほしいっス。終わったら、地上階に集合で」


 ユリアーネは持っていなかったものが必要になる。なので、茶葉だけでなく買ってこなければならないものがある。そしてそれはここにはない。このデパートには食料品や雑貨品などの別館もあるため、そちらにならあるはず。人混みにぶつかりながらエスカレーターへ。


「やれやれ。忙しい子だ」


 紅茶缶の詰め合わせセット。とりあえず買ってしまおう。それを持ちながらシシーが会計に向かおうとした時。


「可愛いものですね。まるで子犬みたい」


 背後から語りかける女性の声。子犬、とはアニーのこと。いいなぁ、従順で。私も一匹欲しい。寮だと飼えないからなぁ。


 ゆっくりと振り返るシシー。ちゃんと、しっかりと笑顔は作ってある。今はまだ、優等生シシー・リーフェンシュタールで通しているから。


「グウェンドリンさん。奇遇だね、キミもお土産でも選びに来たのかな?」


 そんな聖者のような輝きを放たれても。モンフェルナの制服にカーキ色のコートを着た、グウェンドリンと呼ばれた少女は少々焦る。


「白々しいですよ。私が尾行してたのバレてましたよね。学園から」


 気づかれていたことに気づいていた。一度でもこちらを確認したわけではない。だが、牽制されていたような空気感は突き刺さってきていた。「今は邪魔するな」と。楽しい時間なのだから。そんな無粋なことなんてしないのに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ