表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
248/319

248話

 つけることはないが、そういったところもアニーは把握している。飲むだけが紅茶ではない。


「たしかにグッチとかジルスチュアートとか、そういった有名なとこにもありますけど、ボクが考えているのはそういうのじゃないんスよ」


 そしてさらに広がっていく無限の可能性。今日選ぼうと思っているものはそういう種類。


「? アロマオイルとかでしょうか」


 たしかそういうものもあると。室内を、ほんのりと香る癒しの空間に仕立て上げる。


 パッと明るい表情になりつつも、アニーが想像しているものは少しだけ違う。


「惜しいっス! けど秘密です。今夜のお楽しみにしておいてください」


 せっかくなのでお土産に。お返しになるかはわからないけれども。喜んでくれたら。髪飾りに触れて合図。

 

 それをユリアーネも察知。これ以上問い詰めるのは無粋というもの。


「わかりました。ワクワクしながら待ってます」


 たった数時間後に判明する楽しみ。それまで仕事を頑張るだけ。我慢。今は。


 そうこうしているうちに、アニーは街角のとある建物の前で止まる。荘厳で上品な、いかにもパリらしい建築。通りが車道で途切れるまで続くほどの大きさの建物。その入り口にあたるここが、シシーと待ち合わせている場所。


 これからユリアーネは〈WXY〉に向かわねば。今日もきっと混雑しているだろう。気を引き締めて。


「それでは。またのちほど」


 夜。どんなものなのか。予想だけしておこう。ワンディさん達にも聞いてみるのも楽しいかもしれない。

 

 寂しそうにその背中を見送ったアニー。目線はそのまま、建物を上まで見上げる形に。大きな広告が提げられている。角なので、右から来ても左から来ても見える。よくわからないがブランドものの新作でも発売したらしい。


「うーん、立派っスねぇ。やっぱこういうのも憧れっスよねぇ」


 故郷のフリースラントには流石にこういったものはない。大きな建物といえば風車。ベルリンに来た時もカルチャーショックだったが、さらに洗練されているような。いつまでも見ていられる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ