表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
225/319

225話

 しかし手間が省けた、とばかりにベアトリスはあっさり承諾。


「そうか。なら頼む。豆は解凍したものがこれだ」


 そろそろ飲みたくなるだろう、と一時間ほど前に解凍を始めたもの。これまたフランスのガラスメーカー、ダルトンのタッパーを手渡す。中にはエスプレッソ用のコーヒー豆が入っている。


 受け取って蓋を開けるユリアーネ。コーヒーの香り。落ち着く。


「ありがとうございます。お借りします。ミルクはどうされますか?」


 カフェラテにするかどうか。自分はブラックで。もしやるのであればラテアートもしてみよう。せめてものお返しに。


「私はいい。そっちは」


 と断ってベアトリスは視線をリディアに向ける。


「私も。ブラックで。ユリアーネのコーヒー。これも楽しみだ」


 全員そのまま。コーヒーは味覚や嗅覚をリセットする特徴もある。ゼリーもプリンも。コーヒーも。完全な状態で味わってみたい。ユリアーネも「わかりました」と早速、奥のエスプレッソマシンで取り掛かる。


 待っている間。無視して食べてしまうのも気が引けるので、色々とここまでで気になったことをリディアは質問してみる。まずは。


「コーヒー豆って冷凍したほうがいいの? 好きだけどそこまで考えたことなかったね」


 全て常温で行っていたこと。ユリアーネに聞けばいいと思うが、この人の考えを聞いてみたい。


 今までに試した結果、これが個人的にいいという結論にベアトリスは達していた。エスプレッソマシンの下。収納部にある冷凍庫でとりあえずエスプレッソは凍らせている。


「好みによるがな。すぐに使い切るのであればあまり関係ないと思うが、保存には最適だ。ウチは使うぶんだけ解凍して使っている」


 しかし冷凍のままエスプレッソを作ると温度が低くなってしまい、なんとも中途半端な味になってしまった。お客にも出すもの。ということで、自分の納得のいく味が今まさにこれ。


 そこまでか、とその挑戦し続ける心にリディアは敬服する。


「へぇ、花屋なのにコーヒーにまでこだわるんだね。なんでこの仕事を始めたの?」


 質問二個目。特殊な花屋。欲しいって言われた花を包むだけのほうが楽なのに。他との差別化? それが楽しかったから? などなど聞きたいことは山盛り。だが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ