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201話

 薄々はユリアーネも感じ取っていた。それに本人も気づいているだろう。だからこそ、二人も追加できたわけで。


「私は目指せるほどではありませんし、目指す必要もありません。カフェを大きくする。経営学を学ぶ。それが目的ですから」


 国を支配するような人材にはならないしなれない。そもそもなる理由もない。学院に箔をつけるほどの忠誠も。


 おまけでついてきた自分はもちろん、そんな期待をされているわけもなく。きっと講師達からはマスコット程度にしか思われていないんだろう。全てはシシーのご機嫌取り。のびのびと行動するリディアは、むしろカフェ巡りを推奨したいほど。


「いいんじゃない? グランゼコールを卒業したからといって幸せになれるとは限らない。金融商品取引法違反で海外逃亡を続けたカルロス・ゴーンとかもいるくらいだし。パリはオシャレなカフェも多いし?」


 卒業生を引き合いに出し、彼女の生き方を肯定する動きを見せる。人生は楽しんだ者勝ちなんだから。


 友人、という間柄になったはいいものの、やはりどこか不思議な人物、という疑念はユリアーネは拭えないでいる。しかし、シシーに近い、なにか人を惹きつける力がある気もする。


「すでに何店舗かまわってみたのですか?」


 カフェ情報。なにかあれば得てしまったほうが効率がいい。協力してもらえたら万々歳、と思考を切り替えた。


 会話の方向性が合致した。内心、リディアは破顔する。


「一度先に来ていてね。すでにモンフェルナに友人もいる。プレゼント選びも手伝った」


 他の人達と比べても時間があるゆえ。すでに色々と興味のあるものには目をつけている。音楽科の少女とも知り合っており、パリの生きた情報は履修済み。


 理由はわからないし、聞くつもりもないが、なにやら信じてもいいのでは、という気持ちが不思議と湧いてくるユリアーネ。少なくとも、なにか不利益になるようなことではなさそう。


「……なるほど、それでどこかオススメのカフェなどがありましたらぜひ」


 感性が近ければ、もしかしたらぴったりの店を紹介してもらえるかもしれない。コーヒーなどにも詳しそうだし、味なんかも前もって情報を仕入れることができれば。


 カフェといっても夜はバーになるところもあれば、ピアノを弾いてもらえれば食事代をサービスしてくれる、というようなところも。どんなところにヒントが転がっているかわからない。


 いくつか候補がある。その中から厳選してリディアは決定した。


「私は行っていないんだけどね。カフェ、というかショコラトリー。七区にある〈WXY〉。あそこはモンフェルナの生徒がアルバイトしているらしいんだけど、その子が特殊なショコラーデを作ることで一部では有名なんだそう」

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